生活習慣病の薬の種類と選び方|降圧薬・スタチン・血糖の薬

健診で血圧・コレステロール・血糖の数値を指摘され、「お薬を始めましょう」と言われると、「一生飲み続けるのでは」「副作用が心配」「たくさん種類があってよく分からない」と不安になる方が少なくありません。生活習慣病のお薬は種類が多く、名前も似ていて、何のために飲むのかが見えにくいのも事実です。

このページでは、生活習慣病で使われる代表的なお薬を「種類」と「役割」という視点から、患者さんの目線でやさしく整理します。具体的な用量や細かい商品名の話ではなく、「自分が飲んでいるお薬は、体の中で何をしてくれているのか」を理解していただくことが目的です。仕組みが分かれば、お薬とのつき合い方がぐっと楽になります。

なお、実際にどのお薬を選ぶかは、数値の程度・年齢・他の病気・お仕事や生活のリズムによって一人ひとり異なります。最終的な判断は必ず医師とご相談のうえで決めていきますので、まずは全体像をつかむための地図としてお読みください。健診で数値を指摘された方の受診の流れは生活習慣病外来トップでもご案内しています。すみだ両国まちなかクリニックは、両国駅A5出口から徒歩2分・年360日診療の体制で、お薬の開始から調整・減量まで、長くお付き合いできるかかりつけ医です。

生活習慣病の薬は「一生もの」とは限らないという考え方

「一度お薬を始めたら一生やめられない」という思い込みは、受診や治療開始をためらわせる大きな原因です。けれども、これは必ずしも正しくありません。

たしかに、長く付き合っていく前提で続けたほうがよいお薬もあります。一方で、特に治療の早い段階であれば、お薬で数値を落ち着かせている間に食事・運動を整え、体質そのものが改善してお薬を減らせたり、中止できたりするケースもあります。お薬は「一生の足かせ」ではなく、「今の体を守りながら、生活を立て直すための時間をつくる道具」と考えると分かりやすいでしょう。

大切なのは、お薬を始めるかどうかを「飲みたくないから先送りする」のではなく、数値の程度を医学的に確認したうえで判断することです。数値が高いまま放置した数年は、血管に確実にダメージを残します。お薬で早めにリスクを下げておくことが、結果として「お薬を卒業できる体」への近道になることも少なくありません。お薬の減量・中止は自己判断ではなく、医師と相談しながら進めていきましょう。

降圧薬の主な種類と役割

血圧を下げるお薬を「降圧薬(こうあつやく)」と呼びます。血圧は「血液が血管の壁を押す力」のことで、これが高い状態が続くと血管が傷つき、動脈硬化が進みます。降圧薬は、その押す力をいくつかの異なる仕組みで和らげるお薬です。仕組みが違ういくつかのグループがあり、患者さんの状態に合わせて使い分けたり、組み合わせたりします。

グループ(種類)体の中での役割(ざっくり)こんな方に向くことが多い
カルシウム拮抗薬
(きっこうやく)
血管をゆるめて広げ、血液が流れやすくする 幅広い方に使われる基本的なお薬のひとつ
ARB/ACE阻害薬 血圧を上げるホルモンの働きを抑える。腎臓を守る働きも期待される 糖尿病や腎臓の数値が気になる方に選ばれやすい
利尿薬
(りにょうやく)
体にたまった余分な塩分と水分を尿として出し、血圧を下げる 塩分のとり過ぎやむくみが関係する方など
β遮断薬
(ベータしゃだんやく)
心臓の働きすぎを抑え、脈と血圧を落ち着かせる 心臓に負担がかかっている方など

降圧薬を選ぶときは、血圧の値だけでなく、糖尿病や腎臓の状態、年齢などを総合的にみて、その方に合うグループを選びます。1種類で十分に下がらないときは、作用の異なるお薬を少しずつ組み合わせることで、それぞれを少ない量にとどめながら、しっかり血圧を下げる工夫もします。

降圧薬で大切なのは「血圧が下がったから」と自己判断でやめないことです。血圧は薬を飲んでいる間だけ下がり、やめれば元に戻ります。お薬の効果を正しく確かめるには、ご自宅での血圧測定(家庭血圧)が欠かせません。測り方や記録のコツは家庭血圧の正しい測り方で解説しています。高血圧という病気そのものの症状・診断については高血圧のページをご覧ください。

脂質の薬(スタチン等)の役割

コレステロールや中性脂肪が高い「脂質異常症」に使われるお薬の代表がスタチンです。スタチンは、肝臓でコレステロールがつくられるのを抑え、特に動脈硬化の原因になりやすいLDLコレステロール(悪玉)を下げる働きがあります。脂質異常症の治療で中心的な役割をになうお薬で、長年にわたって世界中で使われてきた実績があります。

グループ(種類)体の中での役割(ざっくり)
スタチン 肝臓でのコレステロール合成を抑え、LDL(悪玉)を下げる
小腸でのコレステロール吸収を抑えるお薬 食事由来のコレステロールが体に取り込まれるのを抑える。スタチンと組み合わせることもある
中性脂肪を下げるお薬 中性脂肪(TG)が高いタイプに用いられる

「自覚症状がないのに、なぜコレステロールの薬を飲むのか」と疑問に思う方は多いものです。脂質異常症の治療は、今ある症状をとるためではなく、将来の心筋梗塞・脳卒中を防ぐために行います。LDLコレステロールを下げておくことが、動脈硬化の進行をゆるやかにし、血管を守ることにつながります。だからこそ、症状がなくても続ける意味があるのです。

スタチンを飲んでいて筋肉痛やだるさが気になる場合は、自己判断で中止せず必ず医師にご相談ください。お薬の種類を変えたり、量を調整したりすることで対応できる場合があります。LDL・HDL・中性脂肪の数値それぞれの意味はLDL・HDL・中性脂肪の見方で、脂質異常症という病気の概要は脂質異常症で解説しています。

血糖の薬 ── 飲み薬からGLP-1・インスリンへ

血糖値を下げるお薬は、生活習慣病のお薬の中でも特に種類が多い分野です。これは、血糖が上がる仕組みが人によって違うため、その方の体質に合わせて細かく選べるようにお薬が発達してきたからです。大きく分けると「飲み薬(経口薬)」と「注射薬」があり、まずは飲み薬から始めることが多くなっています。

まずは飲み薬(経口血糖降下薬)から

はたらき方のタイプ体の中での役割(ざっくり)
インスリンを効きやすくするタイプ 自分のインスリンの効き目(効きにくさ=インスリン抵抗性)を改善する
インスリンの分泌を助けるタイプ すい臓に働きかけて、インスリンを出やすくする
糖の吸収・排出に働くタイプ 腸からの糖の吸収をゆるやかにしたり、余分な糖を尿から出したりする

飲み薬は1種類から始めて、効果をみながら調整します。血糖の状態によっては、作用の異なる飲み薬を組み合わせることもあります。お薬の効果は、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)という「過去1〜2か月の血糖の平均」を映す数値で確認していきます。HbA1cと血糖値の読み方はHbA1c・血糖値の見方をご覧ください。

注射薬 ── GLP-1受容体作動薬とインスリン

飲み薬だけでは血糖が十分に下がらない場合や、状態によっては、注射のお薬を使います。注射と聞くと身構えてしまう方も多いのですが、近年の注射薬はとても細い針で、ご自身で簡単に扱えるよう工夫されています。

注射薬の代表がGLP-1受容体作動薬です。これは、食事をとると腸から出る「血糖を下げるよう促すホルモン」の働きを助けるお薬で、2型糖尿病の方では、血糖を下げる働きに加えて、食欲が穏やかになり体重が減りやすくなる場合もあります。週1回タイプなど、続けやすい製剤も増えています。もうひとつがインスリン製剤で、体内で足りなくなったインスリンを外から補い、血糖をしっかりコントロールします。

すみだ両国まちなかクリニックでは、適応のある2型糖尿病の方に対して、GLP-1受容体作動薬(マンジャロ・オゼンピックなど)を保険適用で処方しています。すでに在宅自己注射を始めている方の手技指導や継続のフォローは、当院でサポートします。GLP-1治療の効果・適応・費用の考え方はGLP-1治療(保険適用)ガイドで詳しく解説しています。糖尿病という病気そのものの概要は糖尿病をご覧ください。

尿酸の薬について(簡単に)

尿酸値が高い状態(高尿酸血症)を放置すると、ある日突然、足の親指の付け根などに激しい痛みが起こる「痛風発作」につながることがあります。尿酸のお薬は、大きく分けて尿酸が体内でつくられるのを抑えるタイプと、尿酸を尿から排出しやすくするタイプがあり、その方が「つくり過ぎ」なのか「出しにくい」のかに応じて選びます。

注意したいのは、痛風発作が起きている最中に、尿酸を下げるお薬を急に始めたり量を変えたりすると、かえって痛みが悪化することがある点です。お薬を始めるタイミングや量の調整は、医師と相談しながら慎重に進めます。尿酸値が高いと指摘された方は、痛みが出る前のご相談をおすすめします。詳しくは外来でご相談ください。

お薬と上手につき合うために知っておきたいこと

ジェネリック医薬品(後発医薬品)について

ジェネリック医薬品とは、最初に開発されたお薬(先発医薬品)の特許が切れたあとに、同じ有効成分でつくられるお薬です。有効成分と効き目は先発品と同等とされ、お薬代の負担を抑えられるのが大きな利点です。生活習慣病のように長く飲み続けるお薬では、ジェネリックに切り替えることで毎月の費用がぐっと軽くなることがあります。ご希望があれば遠慮なくご相談ください。

飲み忘れを防ぐ工夫

生活習慣病のお薬は、飲み忘れが効果を大きく損ないます。続けやすくするコツをいくつかご紹介します。

  • 毎日の習慣に結びつける ── 「朝食後すぐ」「歯みがきのあと」など、すでにある習慣とセットにすると忘れにくくなります。
  • お薬を一包化(いっぽうか)する ── 何種類かのお薬を1回分ずつ1つの袋にまとめてもらうと、飲み間違い・飲み忘れが減ります。薬局にご相談ください。
  • ピルケースやお薬カレンダーを使う ── 飲んだかどうかが一目で分かり、家族も気づきやすくなります。
  • スマートフォンのアラームを活用する ── 決まった時刻に通知が来るよう設定しておくと安心です。

お薬の相互作用と「お薬手帳」

複数のお薬を飲んでいると、お薬どうしが影響しあって効きすぎたり、効きにくくなったりすることがあります。これを「相互作用」といいます。市販の薬やサプリメント、グレープフルーツなど一部の食品が関係することもあります。だからこそ、お薬手帳に飲んでいるものをすべてまとめておくことが大切です。他院や歯科を受診するとき、薬局でお薬を受け取るときに提示すれば、危険な組み合わせを未然に防げます。当院を受診される際も、ぜひお薬手帳をお持ちください。

自己判断での中断は危険です

最も注意していただきたいのが、調子がよいからといって、自己判断でお薬をやめてしまうことです。血圧・血糖・コレステロールのお薬は、飲んでいる間だけ数値を抑えています。数値が落ち着いているのは「お薬が効いている証拠」であって、「治った」わけではありません。急にやめると数値が跳ね上がり、かえって危険な状態を招くことがあります。

もちろん、生活改善が進めばお薬を減らせる場合もあります。ですが、それは数値を確認しながら医師と一緒に判断することです。「やめたい」「減らしたい」という希望はとても自然なことですので、隠さずにご相談ください。一緒に安全な道筋を考えます。当院では血液検査で数値の変化を確認しながら、お薬の調整を進められます。

よくある質問

Q. 一度お薬を始めたら、本当に一生やめられないのですか?

A. 必ずしもそうではありません。特に早い段階の2型糖尿病や軽症の高血圧では、食事・運動の改善で数値が安定し、お薬を減量・中止できるケースもあります。一方で、長く続けたほうが安全なお薬もあります。いずれにせよ自己判断での中断は危険ですので、減らしたいご希望は遠慮なくお伝えいただき、医師と相談しながら調整しましょう。

Q. 副作用が心配です。お薬を飲み始めて大丈夫でしょうか?

A. どんなお薬にも副作用の可能性はありますが、医師は数値だけでなく、年齢や他の病気、体質を考慮してお薬を選び、開始後も検査で安全性を確認しながら進めます。気になる症状が出たときは、自己判断で中止せず、まずご連絡ください。お薬の種類変更や量の調整で対応できることが多くあります。

Q. ジェネリック医薬品に変えても効果は同じですか?

A. ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同じ有効成分でつくられ、効き目は同等とされています。お薬代の負担を抑えられる利点があります。生活習慣病のように長く続けるお薬では費用面のメリットが大きいので、ご希望があればお気軽にご相談ください。

Q. 注射のお薬は痛くて怖いのですが、飲み薬だけではだめですか?

A. まずは飲み薬から始めることが多く、可能であれば飲み薬で続けます。ただし血糖の状態によっては注射薬のほうが効果的な場合があります。近年の注射薬は針がとても細く、ご自身で簡単に扱えるよう工夫されています。すでに在宅自己注射を始めている方の手技指導や継続のフォローは当院でサポートしますので、ご不安な点は遠慮なくお尋ねください。

Q. たくさん薬を飲んでいて管理が大変です。減らせませんか?

A. お薬の種類を整理できる場合があります。何種類かを1回分ずつまとめる「一包化」や、配合されたお薬への変更で、飲む手間を減らせることもあります。お薬手帳をお持ちいただければ、今の処方全体を確認したうえで、無理のない形をご提案します。自己判断で中断せず、まずはご相談ください。

Q. 健診で数値が高いと言われましたが、いきなり薬になるのでしょうか?

A. 数値の程度によります。軽度であれば、まず食事・運動の改善から始めることも多くあります。一方で、数値が高い場合や合併症のリスクが高い場合は、生活改善と並行してお薬を始めたほうが安全なこともあります。当院では一方的にお薬を押しつけることはせず、現在の状態を医学的に確認したうえで、一緒に方針を決めていきます。

Q. 平日は仕事で通えません。お薬の調整も土日に相談できますか?

A. はい。当院は土曜・日曜も診療しており、平日は20時まで診療しています。年360日診療の体制ですので、お仕事やご家庭の都合に合わせて、お薬の調整やご相談を続けていただけます。両国駅A5出口から徒歩2分と通いやすい立地です。

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