家庭血圧の正しい測り方|診察室の血圧との違い

「家で測ると血圧が高くて心配」「病院では正常なのに、自宅だと数値が違う」──こうしたお悩みは、家庭血圧を測り始めた多くの方が経験します。実は、血圧を正しく評価するうえで、診察室で測る血圧よりも毎日同じ条件で測る家庭血圧のほうが重要だと考えられています。測り方ひとつで数値は10mmHg以上も変わるため、正しい手順を知ることが、ご自身の本当の血圧を知る第一歩になります。

このページでは、家庭血圧の測り方・測るタイミング・基準値の見方を、実践的に分かりやすく解説します。高血圧という病気そのものの症状や診断については高血圧のページで詳しくご説明していますので、あわせてご覧ください。

なぜ家庭血圧が大切なのか

血圧は一日のなかで絶えず変動しています。緊張・運動・気温・食事・睡眠など、さまざまな要因でこまめに上下するため、診察室で一度測っただけの値では、その人の「ふだんの血圧」を正しくとらえきれません。そこで役立つのが、リラックスした自宅で毎日測る家庭血圧です。同じ条件で繰り返し測ることで、変動の波をならした「本当の血圧」が見えてきます。

白衣高血圧 ── 病院でだけ高くなる

白衣高血圧とは、診察室で測ると高い値が出るのに、自宅で測ると正常な状態を指します。「白衣」を着た医療者の前で緊張し、一時的に血圧が上がってしまうために起こります。家庭血圧を測らずに診察室の値だけで判断すると、本来は必要のないお薬を始めてしまうおそれがあります。家庭血圧の記録があれば、こうした「思い込み」を避けられます。

仮面高血圧 ── 病院では隠れてしまう

逆に、診察室では正常なのに自宅や職場では高くなっているのが仮面高血圧です。マスク(仮面)をかぶったように、病院の血圧では見つけられないため、この名前がついています。早朝や夜間、ストレスの強い時間帯にだけ血圧が上がるタイプで、放置すると気づかないうちに動脈硬化が進みます。仮面高血圧は家庭血圧を測らなければ発見できません。診察室では見えないリスクをすくい上げられることが、家庭血圧の最大の価値です。

家庭血圧の正しい測り方 ── 手順とコツ

家庭血圧は「いつ・どんな姿勢で・どこに巻いて測るか」で数値が変わります。次のポイントを守ると、ブレの少ない信頼できる値が得られます。

1. 上腕で測れる血圧計を選ぶ

血圧計には、二の腕に巻く上腕式と手首に巻く手首式があります。家庭で測るなら、心臓の高さに近く誤差が出にくい上腕式がおすすめです。手首式は手軽ですが、巻く位置や角度で数値がぶれやすいため、より正確に管理したい方は上腕式を選びましょう。

2. 測るタイミングは「朝」と「夜」の2回

  • :起床後1時間以内・トイレを済ませたあと・朝食やお薬を飲む前・座って1〜2分落ち着いてから
  • :就寝前・入浴や飲酒の直後を避け、座って1〜2分落ち着いてから

朝の血圧は一日のなかでも特に大切な情報です。起床後に血圧が急に上がる「早朝高血圧」は、脳卒中・心筋梗塞のリスクと関わると考えられているため、朝の測定は欠かさないようにしましょう。

3. 正しい姿勢で測る

  • 背もたれのある椅子に座り、足を組まずに床につける
  • 1〜2分静かに座って、呼吸を整えてから測り始める
  • 測定中は会話をしない・スマートフォンを見ない
  • カフ(腕に巻く帯)を巻いた腕を、机の上などに置いて心臓と同じ高さにする

腕の位置が心臓より下がると数値は高めに、上がると低めに出ます。机に肘を置いて支えると、ちょうどよい高さになります。

4. カフ(腕帯)の位置と巻き方

  • 厚手の服やセーターの上から巻かない。素肌か薄手の服の上で測る
  • カフの下端が肘の関節から1〜2cm上にくるように巻く
  • 指が1〜2本入る程度のゆるすぎず・きつすぎずの強さで固定する
  • チューブが腕の内側(手のひら側)の中央を通るようにする

5. 1回の機会に2回測り、平均を記録する

1回だけの測定では、たまたま高い・低い値が混じることがあります。1〜2分あけて2回測り、その平均を記録するのが基本です。2回の差が大きいときは、もう一度落ち着いてから測り直しましょう。毎日続けることがいちばん大切なので、無理のない範囲で習慣にしてください。

家庭血圧の基準値 ── 診察室140/90との違い

家庭血圧と診察室血圧では、「高血圧」とみなす基準値が異なります。リラックスした環境で測る家庭血圧のほうが、診察室血圧よりも5mmHg低い値が目安になります。

測定場所高血圧の目安
家庭血圧 135/85mmHg以上
診察室血圧 140/90mmHg以上

つまり、自宅で測って上が135・下が85を超える日が続くようなら、高血圧の可能性があります。診察室で正常でも家庭血圧が高い場合は仮面高血圧、その逆は白衣高血圧が疑われます。どちらの場合も、家庭血圧の記録があってはじめて正しく見分けられます。

なお、上の数字(収縮期血圧)と下の数字(拡張期血圧)は、どちらか一方でも基準を超えていれば注意が必要です。「下は正常だから大丈夫」とは限りません。高血圧という病気そのものの診断・症状については高血圧のページをご覧ください。診断は1日の数値だけで決めるものではなく、複数日の記録をもとに医師が総合的に判断します。

記録のしかたと、受診時に持参するメリット

測った血圧は、必ず記録に残しましょう。血圧計に付属する血圧手帳や、スマートフォンの記録アプリ、メモ用紙など、続けやすい方法で構いません。記録するのは次の4つです。

  • 測定した日付と時間(朝・夜)
  • 上の血圧(収縮期)と下の血圧(拡張期)
  • 脈拍
  • 気づいたこと(眠れなかった・お酒を飲んだ・体調がすぐれない等)

記録を受診時にお持ちいただくと、診療の質が大きく上がります。診察室での一度きりの測定では分からないふだんの血圧の傾向や日内変動が読み取れるため、白衣高血圧・仮面高血圧の見分けや、お薬が効いているかの判断に直接役立ちます。当院では血液検査も行えるため、血圧手帳と健診結果をあわせてお持ちいただければ、全身の状態を確認しながら方針を立てられます。

記録は最低でも1〜2週間分あると傾向がつかみやすくなります。1日や2日だけ高い値が出ても、すぐに高血圧と決まるわけではありません。逆に、たまたま低い日があっても安心はできません。毎日コツコツ続けた記録こそが、最も信頼できる判断材料になります。

高い値が続いたら、どうすればいい?

家庭血圧で135/85mmHgを超える日が続いたら、まずは生活習慣を見直しましょう。なかでも効果が大きいのが減塩です。塩分のとりすぎは血圧を上げる大きな原因のため、まずは次のような工夫から始めてみてください。

  • 麺類の汁を残す、しょうゆやソースは「かける」より「つける」
  • 加工食品・漬物・練り物を控えめにする
  • だし・酢・香辛料・薬味で、塩分を減らしてもおいしく食べる
  • カリウムを多く含む野菜・果物・海藻を取り入れる(腎機能に注意が必要な方は医師に相談)

減塩に加えて、適度な運動・節酒・禁煙・十分な睡眠・体重管理も血圧を下げる助けになります。具体的な食事の工夫は食事療法ガイドで詳しく解説しています。

ただし、生活改善だけで様子を見てよいかは、血圧の高さや他の病気の有無によって変わります。家庭血圧の上が135、下が85を超える日が続く場合や、上が160を超えるような高い値が出た場合は、自己判断で放置せず受診をおすすめします。すでにお薬を飲んでいる方も、家庭血圧が下がらないときは医師にご相談ください。お薬の調整が必要なことがあります。

「数値は気になるけれど、忙しくて受診の時間がとれない」という方もご安心ください。当院は両国駅A5出口から徒歩2分・年360日診療で、平日は20時まで診療、土曜・日曜も診療しています。お仕事帰りや週末に、血圧手帳を持って気軽に立ち寄っていただけます。家庭血圧の記録があれば、初診でもスムーズに状態を把握できます。

よくある質問

Q. 朝と夜で血圧が違います。どちらを信じればいいですか?

どちらも大切な情報です。血圧は一日のなかで変動するのが自然で、朝と夜で差が出るのはよくあることです。一方だけを選ぶのではなく、朝・夜それぞれの値を記録して傾向を見ます。特に朝の血圧が高い「早朝高血圧」は注意が必要なため、朝の測定は欠かさないようにしましょう。

Q. 1回目より2回目のほうが低く出ます。故障でしょうか?

故障ではありません。最初の測定では緊張や動作の影響で高めに出やすく、2回目以降は落ち着いて低くなることがよくあります。だからこそ、1〜2分あけて2回測り、その平均を記録することをおすすめしています。差が大きいときは、もう少し落ち着いてから測り直してください。

Q. 病院では正常なのに、家で測ると高いです。大丈夫でしょうか?

診察室で正常・自宅で高い場合は「仮面高血圧」の可能性があります。診察室の血圧だけでは見つけられず、放置すると動脈硬化が進むことがあるため、注意が必要なタイプです。家庭血圧の記録をお持ちのうえ、一度ご相談ください。記録があれば医師が正確に評価できます。

Q. 手首式の血圧計でも大丈夫ですか?

手軽さでは手首式も便利ですが、巻く位置や腕の角度で数値がぶれやすいという弱点があります。より正確に血圧を管理したい方には、心臓の高さに近く誤差の出にくい上腕式をおすすめします。すでに手首式をお使いの場合は、毎回手首を心臓の高さに合わせて測ることを意識してください。

Q. 血圧が高い日が1日だけありました。すぐ受診すべきですか?

1日だけ高い値が出ても、すぐに高血圧と決まるわけではありません。睡眠不足・飲酒・ストレスなどで一時的に上がることがあります。まずは数日から1〜2週間、毎日記録を続けてみてください。高い日が続く場合や、上が160を超えるような値が出た場合、強い頭痛・吐き気・胸の痛みなどを伴う場合は、早めに受診してください。

Q. 測るたびに数値が違って不安です。どう考えればいいですか?

血圧は本来、測るたびに多少変動するものなので、毎回ぴったり同じ数値にはなりません。大切なのは1回ごとの値に一喜一憂することではなく、毎日同じ条件で測り続けて「全体の傾向」を見ることです。記録をためていくと、ご自身のふだんの血圧が見えてきて、かえって不安が和らぐ方が多くいらっしゃいます。

Q. お薬を飲んでいますが、家庭血圧も測ったほうがいいですか?

はい、ぜひ続けてください。お薬が効いて血圧が目標まで下がっているか、効きすぎて下がりすぎていないかを確認するうえで、家庭血圧の記録はとても役立ちます。記録を受診時にお持ちいただければ、お薬の量や種類の調整に直接活かせます。自己判断でお薬を中断せず、必ず医師と相談しながら進めましょう。

家庭血圧の記録を、治療に活かしましょう

家庭血圧は、ご自身の体からの大切なメッセージです。正しく測って記録を続けることで、診察室だけでは見えない「本当の血圧」が分かり、必要な治療を必要なだけ、無駄なく進められます。すみだ両国まちなかクリニックは、両国駅から徒歩2分・年360日診療で、墨田区両国を中心に錦糸町・蔵前・浅草橋エリアの皆様の血圧管理をサポートしています。血圧をはじめとした生活習慣病全般のご相談は生活習慣病外来でも受け付けています。

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