健康診断で血糖値・血圧・コレステロールを指摘され、「食事に気をつけてください」と言われたものの、何をどう変えればよいのか分からず、そのままになっていませんか。あるいは、思い切って始めた厳しい食事制限が長続きせず、リバウンドでかえって数値が悪くなってしまった経験はないでしょうか。
生活習慣病の食事療法でいちばん大切なのは、短期間の極端な制限ではなく、無理なく一生続けられる食べ方を身につけることです。このページでは、減塩・糖質やカロリーの考え方・脂質の選び方といった基本から、外食やコンビニ、お酒との付き合い方まで、今日から実践できる具体的な工夫を、できるだけやさしくまとめました。すみだ両国まちなかクリニックは両国駅A5出口から徒歩2分・年360日診療で、健診結果票を1枚お持ちいただくだけで、その日から食事の相談を始められます。
なお、糖尿病・高血圧・脂質異常症といった病気そのものの定義や症状については、糖尿病・高血圧・脂質異常症の各解説ページで詳しくご案内しています。このページは「食事で何をどう変えるか」の実践に絞ってお話しします。
食事療法の基本 ── 「やめる」より「置き換える」、そして「続ける」
食事療法と聞くと、「好きなものを我慢する」「量をぎりぎりまで減らす」といった、つらいイメージを持つ方が少なくありません。けれども、毎日の食事は一生続くものです。つらい方法はどんなに効果的でも続かず、続かなければ効果も得にくくなります。だからこそ、食事療法の出発点は「我慢」ではなく「工夫」だと考えてください。
ポイントは、好きなものを完全に「やめる」のではなく、より体にやさしいものへ「置き換える」ことです。たとえば白いごはんを玄米や雑穀米に、揚げ物を焼き物や蒸し物に、ジュースをお茶や水に置き換える。ひとつひとつは小さな変化でも、毎日積み重なれば、数値の改善が期待できます。次の3つを意識するだけでも、食事の質は大きく変わります。
- 食べる順番を変える──野菜・きのこ・海藻などの食物繊維を最初に食べ、ごはんなどの主食を最後にすると、食後の血糖値の急な上昇をゆるやかにできます。
- よく噛んでゆっくり食べる──早食いは食べ過ぎと血糖値の急上昇につながります。ひと口ごとに箸を置くだけでも、満腹感を得やすくなります。
- 主食・主菜・副菜をそろえる──丼ものや麺類だけの食事は、糖質に偏り野菜が不足しがちです。野菜のおかずを一品足すことを習慣にしましょう。
もうひとつ大切なのが、自己流の極端な制限に走らないことです。糖質をいっさい断つ、一食を抜く、特定の食品だけを食べ続けるといった偏った方法は、体調を崩したり、栄養が不足したり、反動でリバウンドを招いたりすることがあります。当院では、一人ひとりの生活や食の好みに合わせて、無理なく続けられる範囲の食べ方を一緒に考えます。年360日診療で平日夜・土日も受診できるため、忙しい方でも経過を見ながら少しずつ調整していけます。
減塩のコツ ── 高血圧の方は1日6g未満を目安に
血圧が高めと言われた方にとって、減塩はもっとも基本となる食事の工夫です。塩分(ナトリウム)をとり過ぎると体に水分がたまり、血液の量が増えて血圧が上がりやすくなります。逆にいえば、塩分を減らすことは、お薬に頼る前にできるもっとも身近な血圧対策です。
高血圧の方が目安とされる食塩の量は、1日6g未満です。日本人の平均摂取量はこれを大きく上回っているといわれ、多くの方にとって「減らす余地」があります。とはいえ、いきなり薄味にすると物足りなく感じて続きません。次のような工夫で、おいしさを保ちながら少しずつ塩分を減らしていきましょう。
- だし・うま味を効かせる──昆布・かつお・しいたけなどのだしや、トマト・きのこのうま味を使うと、塩分が控えめでも満足感が出ます。
- 酸味・香り・辛味で味を補う──酢・レモンなどの柑橘・こしょう・しょうが・にんにく・大葉・みょうがなどを使うと、塩を減らしても物足りなさを感じにくくなります。
- 「かける」より「つける」──しょうゆやソースは料理に直接かけず、小皿に取って少しだけつけると、使う量を大きく減らせます。
- めん類の汁は残す──ラーメン・うどん・そばの汁には多くの塩分が含まれます。汁を残すだけで2〜3gの減塩につながることもあります。
- 加工食品・練り物に注意──ハム・ソーセージ・ちくわ・かまぼこ・漬物・梅干しは塩分が多めです。頻度と量を意識しましょう。
- 表示を見るクセをつける──食品の栄養成分表示は「食塩相当量」で確認します(ナトリウム量しか書かれていない場合、ナトリウム[mg]×2.54÷1000で食塩相当量[g]の目安になります)。
一方で、塩分を抑えるとともに大切なのが、カリウムを多く含む野菜・果物・いも・豆をしっかりとることです。カリウムには、体にたまった余分なナトリウムを外に出すのを助ける働きがあります。ただし、腎臓の働きが低下している方はカリウムの制限が必要なことがあるため、自己判断で増やさず、必ず医師と相談してください。腎臓については慢性腎障害(CKD)の解説ページもご覧ください。
糖質・カロリーの考え方 ── 糖尿病・肥満が気になる方へ
血糖値やHbA1cを指摘された方、体重・腹囲が気になる方にとっては、糖質とカロリーのとり方が重要になります。ここでも基本は「ゼロにする」ことではなく、「適量を、上手にとる」ことです。糖質は体を動かす大切なエネルギー源であり、極端に断つ方法は長続きしにくく、体調を崩す原因にもなります。
糖質は「量」と「質」と「食べ方」で考える
- 量──ごはん・パン・麺・いも・甘いものに多く含まれます。おかわりや大盛りを控え、まずは「いつもより少なめ」から始めましょう。
- 質──白米より玄米・雑穀米、白いパンより全粒粉パン、うどんよりそばといったように、食物繊維を多く含む「精製度の低い主食」を選ぶと、血糖値の上がり方がゆるやかになります。
- 食べ方──前述の「野菜から食べる」「ゆっくり食べる」に加え、ながら食いやだらだら食べを避けることも、血糖値の急な上昇を防ぐうえで効果的です。
とくに見落とされがちなのが、甘い飲み物です。ジュース・缶コーヒー・スポーツドリンク・エナジードリンクには多くの糖分が含まれ、液体の糖は血糖値を急激に上げます。のどが渇いたときは、水・お茶・無糖の炭酸水などに置き換えるだけでも、大きな効果が期待できます。
カロリーは「腹八分目」と「内容のバランス」で
減量が必要な方は、消費するエネルギーより食べるエネルギーが多い状態が続いていることがほとんどです。とはいえ、毎食カロリーを細かく計算し続けるのは大変で、長続きしません。まずは腹八分目を心がけ、揚げ物や脂っこい料理の頻度を減らし、野菜・たんぱく質・主食のバランスを整えることから始めましょう。体重はわずかに減るだけでも、血糖・血圧・脂質の数値が改善することが知られています。減量をより本格的に進めたい方は、ダイエット外来(自由診療)もご検討いただけます。費用や治療内容、主なリスク・副作用は外来ページでご確認いただけます。
脂質・コレステロールを意識した食べ方 ── 脂質異常が気になる方へ
LDLコレステロール(悪玉)や中性脂肪を指摘された方は、あぶら(脂質)の「量」だけでなく「種類」を意識することが大切です。脂質は完全に避けるものではなく、体によい油を選び、控えたい脂を減らすという考え方で見直していきます。数値そのものの見方はLDL・HDL・中性脂肪の見方で解説しています。
控えたい脂
- 飽和脂肪酸──肉の脂身・バター・生クリーム・ラードなどに多く、とり過ぎるとLDLコレステロールを上げやすいとされます。脂身の多い肉は赤身を選び、調理で出た脂は落とすようにします。
- トランス脂肪酸──一部のマーガリン・ショートニングを使った菓子パン・洋菓子・スナック類などに含まれます。頻度を控えめにするのがよいとされます。
とり入れたい油
- 青魚の油(EPA・DHA)──さば・いわし・あじ・さんまなどの青魚に多く、中性脂肪を下げる方向に働くとされます。週に数回、魚を取り入れるのがおすすめです。
- 植物性の油(オレイン酸など)──オリーブオイル・なたね油などを、揚げ物ではなく和え物や炒め物で適量使うとよいでしょう。
- 食物繊維──野菜・きのこ・海藻・大豆製品・玄米などに含まれる食物繊維は、コレステロールの吸収を抑える働きが期待できます。
調理法も大切です。同じ食材でも、「揚げる」より「焼く・蒸す・ゆでる・煮る」を選ぶと、余分な脂を減らせます。鶏肉なら皮を外す、ひき肉ではなく赤身を使うといった小さな工夫の積み重ねが、数値の改善につながります。
DASH食・地中海食 ── 世界で評価される食べ方の考え方
「結局、何を食べればいいの?」という方のために、生活習慣病の予防・改善によいとされる代表的な食事スタイルを2つご紹介します。どちらも特別な食材を買いそろえる必要はなく、日本の食卓にも取り入れやすい考え方です。
DASH食 ── 高血圧の方の食事の考え方
DASH食は、高血圧を予防・改善するために考えられた食事の方法です。野菜・果物・低脂肪の乳製品を増やし、塩分・赤身肉・甘いものを控えるのが基本で、前述の「減塩」と「カリウムをしっかりとる」という考え方とよく重なります。難しく考えず、「毎食に野菜のおかずを足し、味つけは薄めに、間食の甘いものは控えめに」と意識するだけでも、DASH食の考え方に近づきます。
地中海食 ── 脂質が気になる方の食事の考え方
地中海食は、地中海沿岸の伝統的な食事をもとにした食べ方で、野菜・果物・豆・全粒の穀物・魚・オリーブオイルを中心にし、赤身肉や甘いものは控えめにするのが特徴です。控えたい脂を減らし、とり入れたい油(魚やオリーブオイル)を選ぶという、脂質を意識した食べ方と方向性が一致します。和食に置き換えれば、「魚を中心に、野菜・大豆・海藻をそろえた一汁三菜」がこれに近い形です。
いずれの食事スタイルも、ひとつの正解として丸ごとまねる必要はありません。大切なのは、これらに共通する「野菜を増やし、塩分と甘いものと動物性の脂を控える」という方向性です。ご自身の数値や好みに合わせて、どこから取り入れるとよいかは、診察のなかで具体的にご提案します。
外食・コンビニ・飲酒との付き合い方 ── 我慢しないための具体例
毎日自炊できる方ばかりではありません。仕事が忙しく外食やコンビニが中心という方でも、選び方を知っていれば食事療法は続けられます。「外食だからダメ」ではなく、「外食でもこう選ぶ」という発想に切り替えましょう。
外食での選び方
- 単品より定食──丼ものや麺類の単品より、主食・主菜・副菜のそろった定食を選ぶと、栄養のバランスが整い、野菜も補えます。
- ごはんは「少なめ」と頼む──多くのお店でごはんの量を調整できます。大盛り無料につられないことも大切です。
- めん類は汁を残す──ラーメン・うどんなどの汁は塩分が多いため、飲み干さずに残すだけで減塩になります。
- 揚げ物より焼き魚・刺身・しょうが焼きなど──和定食は比較的バランスを整えやすい選択肢です。揚げ物が続くときは、翌食を軽めにして調整します。
- 洋食・中華は野菜の多いメニューを──パスタならクリーム系より野菜やトマトのソース、中華なら八宝菜や野菜炒めなど、野菜がとれる一皿を選びましょう。
コンビニでの選び方
- サラダ・カット野菜・海藻・もずくをプラス──おにぎりやお弁当に一品足すだけで、食物繊維がとれて食べる順番も整えやすくなります。
- たんぱく質をしっかり──サラダチキン・ゆで卵・焼き魚・豆腐・納豆などを選ぶと、満足感が出て主食に偏りません。
- 主食は精製度の低いものを──白いパンより全粒粉やライ麦のパン、おにぎりなら玄米・雑穀のものを選べるとより良いでしょう。
- 飲み物は無糖を基本に──お茶・水・無糖の炭酸水やコーヒーを。甘い飲み物・加糖の乳飲料は控えめに。
- カップめん・揚げ物の総菜は頻度を意識──塩分・脂質が多くなりがちです。選ぶ日を決めるなど、続きすぎないようにします。
- 成分表示の「食塩相当量」をチェック──同じようなお弁当でも塩分量は商品によって差があります。見比べるクセをつけましょう。
お酒との付き合い方
お酒は、量によっては中性脂肪を上げたり、血圧に影響したり、食欲が増しておつまみで食べ過ぎたりと、数値に関わる要素が多くあります。完全にやめる必要は必ずしもありませんが、適量を守り、休肝日をつくることが大切です。
- 飲む量の目安を決めておく──だらだら飲み続けず、その日に飲む量をあらかじめ決めておきましょう。
- 週に2日は休肝日──肝臓を休ませる日をつくることで、飲み過ぎの習慣化を防げます。
- おつまみは塩辛いもの・揚げ物を避ける──枝豆・冷ややっこ・刺身・お浸し・きゅうりなど、塩分と脂質を抑えたものを選びましょう。
- 締めのラーメン・ごはんに注意──飲んだ後の主食は、塩分・糖質・カロリーがまとめて加わりがちです。
適量は、お酒の種類や体質、服用中のお薬によっても変わります。お薬を飲んでいる方は飲酒を控えたほうがよい場合もあるため、ご自身にとっての付き合い方は、医師と相談のうえで決めましょう。
こうした食事の工夫は、運動と組み合わせることでより効果が高まります。忙しい方でも続けやすい運動の始め方は運動療法 完全ガイドでご紹介しています。
よくある質問(FAQ)
Q. 糖質制限をすれば、ごはんやパンは食べなければ食べないほどよいのですか?
A. いいえ、食べないほどよいわけではありません。糖質は体を動かす大切なエネルギー源で、極端に断つと体調を崩したり、長続きせずリバウンドを招いたりすることがあります。大切なのは「ゼロにする」ことではなく、量を適度にし、玄米や全粒粉など精製度の低い主食を選び、野菜から食べるといった「上手なとり方」をすることです。ご自身に合った量は、数値を見ながら医師と一緒に決めましょう。
Q. 減塩をすると味けなくて続きません。おいしく減塩するコツはありますか?
A. だしやうま味(昆布・かつお・きのこ・トマトなど)を効かせる、酢やレモンなどの酸味・こしょう・しょうが・香味野菜で味を補う、しょうゆは「かける」より小皿で「つける」、めん類の汁は残す、といった工夫で、薄味でも満足感を保てます。いきなり薄くせず、少しずつ慣らしていくのが続けるコツです。具体的な方法は受診時にもご説明します。
Q. 外食やコンビニが多くても、食事療法はできますか?
A. できます。外食では単品より定食を選び、ごはんは少なめに、めん類の汁は残す。コンビニではサラダや海藻、サラダチキンやゆで卵を一品足し、飲み物は無糖を選ぶ。こうした選び方を知っていれば、自炊が難しい方でも十分に取り組めます。「外食だからダメ」ではなく「外食でもこう選ぶ」と考えることが、続けるコツです。
Q. お酒は完全にやめないといけませんか?
A. 必ずしも完全にやめる必要はありませんが、量を守り、週に2日ほど休肝日をつくることが大切です。お酒は中性脂肪や血圧に影響し、おつまみで食べ過ぎる原因にもなります。ただし、服用中のお薬や数値の状態によっては飲酒を控えたほうがよい場合もあるため、ご自身にとっての適量は医師と相談のうえで決めましょう。
Q. DASH食や地中海食は、特別な食材をそろえないとできませんか?
A. 特別な食材は必要ありません。どちらも「野菜・果物・豆・魚を増やし、塩分・甘いもの・動物性の脂を控える」という考え方が共通しており、和食の「一汁三菜」に置き換えて取り入れられます。毎食に野菜のおかずを足し、味つけを薄めにし、魚を取り入れる──まずはこの方向性から始めてみてください。
Q. どれくらい食事を変えれば、数値は改善しますか?
A. 数値の種類や程度、もともとの食生活によって変化の出方は異なります。とくに中性脂肪や血糖値は、食事の見直しで比較的早く変化が出やすい数値です。一方で、体質や数値の程度によっては、食事の改善と並行してお薬による治療をすすめたほうがよい場合もあります。当院は血液検査で、食事を変えた後の数値の変化を確認しながら調整できます。「自分の場合はどこまで食事で変えられるか」を、一緒に確認していきましょう。
Q. 仕事が忙しく、平日昼間に通えません。食事の相談だけでも続けられますか?
A. 当院は年360日診療で、平日は20時まで診療、土曜・日曜も診療しています。両国駅A5出口から徒歩2分と通いやすく、仕事帰りや週末に無理なく通院できます。食事療法は数か月単位で経過を見ながら少しずつ整えていくものですので、続けやすさを重視して、生活に合わせた通院プランをご提案します。