訪問診療対象の症状

服薬が続かない・受診が途切れている

「処方された薬がつい余ってしまう」「足腰が弱り、通院するのが億劫で予約をキャンセルしてしまった」。そのようなお悩みをご本人様やご家族だけで抱えていませんか？服薬や通院が途切れる背景には、身体的な辛さや認知機能の低下など、様々な理由があります。当院では、そのような患者様が安心して治療を継続できるよう、訪問診療という形でお手伝いをしています。

訪問診療のご相談は、HPからのお問い合わせの他、直接、医師に話したいという方や、通院負担の移行を迷っている方向けに外来でのご相談も承っております。まずはお気軽にお声がけください。

訪問診療を検討すべき主な症状・状態

服薬管理ができない、あるいは通院が続かない状況には、必ず原因があります。「飲み忘れ」や「通院疲れ」は、病気の進行や新たな疾患のサインかもしれません。

具体的には、認知症による記憶障害で薬の管理が難しい、うつ病や精神疾患により外出が困難、または心不全や呼吸器疾患で移動そのものが身体的負担になっているケースなどが挙げられます。

以下のような疾患や状態にある場合、無理に通院を続けるよりも、訪問診療への切り替えが適している場合があります。

状態の分類	具体的な症状・状態	関連疾患
認知機能・精神面の課題	薬の管理ができない、飲み忘れ・飲み間違いが多い、外出への不安、意欲低下、拒薬、介護抵抗	認知症（行動・心理症状ふくむ）、うつ病、統合失調症、不安障害／パニック障害、社交不安障害
身体機能・神経難病	歩行困難、麻痺により通院が重労働、嚥下障害、姿勢保持が困難、移動時の転倒リスク	脳卒中後遺症（片麻痺・嚥下障害など）、パーキンソン病／パーキンソン症候群、ALSなど神経難病
慢性疾患・生活習慣病	症状が安定せず頻繁な調整が必要、多剤併用による管理困難、自己注射（インスリン等）の管理不安	高血圧・脂質異常症の在宅管理、糖尿病（内服・インスリン管理）、慢性心不全、心房細動など抗凝固療法の在宅管理、慢性腎臓病（保存期の在宅管理）、肝硬変・腹水管理、慢性呼吸不全／COPD（肺気腫）、気管支喘息（通院困難な方）
がん・緩和ケア	通院の体力低下、疼痛管理が必要、最期まで自宅で過ごしたい	肺がん、胃がん、大腸がん、食道がん、膵臓がん、肝臓・胆道がん、乳がん、前立腺がん、婦人科系がん、血液のがん・脳腫瘍など（緩和ケア・看取り）
小児・若年者の課題	起立性調節障害で朝起きられない、学校に行けない、社会的な引きこもり、発達特性による通院困難	起立性調節障害（OD）、うつ病（思春期・若年者）、適応障害、自閉スペクトラム症（ASD）、注意欠如・多動症（ADHD）、摂食障害（神経性やせ症・過食症）、チック障害／トゥレット症候群、ゲーム障害・インターネット依存（依存症）
医療処置・管理	自宅での医療機器管理が必要、排泄管理のトラブル、経管栄養の実施	胃ろう・経管栄養の管理、中心静脈栄養（ポート／IVH）の管理、留置カテーテル・膀胱瘻の管理、ストーマ（人工肛門・人工膀胱）のトラブルケア、誤嚥性肺炎をくり返す

訪問診療で対応可能な医療処置・管理

服薬や受診が途切れがちな方に対し、当院では単に薬を処方するだけでなく、「確実に治療を継続できる環境」を整えます。患者様の生活リズムに合わせた服薬指導や、飲みやすい剤形への変更、カレンダーを用いた管理など、きめ細やかなサポートを行います。

自宅で実施可能な基本的な診療・検査

ご自宅にいながら、病院の外来とほぼ同等の基礎的な診療が受けられます。

診察・処方：聴診、触診、問診を行い、症状に合わせた薬の処方・調整を行います。
血液検査・尿検査：全身状態や栄養状態、内臓機能の数値を定期的にチェックします。
バイタル測定：血圧、脈拍、酸素飽和度などを測定し、日々の体調変化を監視します。
薬剤管理：訪問薬局と連携し、一包化やセットなどの服薬支援を行います。

在宅療養を始めるためのサポート体制

治療を継続するためには、医療と介護の連携が不可欠です。当院は、地域の基幹病院と連携し、緊急時のバックアップ体制を確保しつつ、日々の生活を支えるケアマネジャーや訪問看護師と密接に情報を共有します。

特に、介護保険サービスにおける居宅療養管理指導を活用することで、医師や薬剤師が定期的にご自宅を訪問し、療養上の管理や指導を行うことが可能です。これにより、ヘルパーやご家族とも「正しく薬が飲めているか」「体調に変化はないか」という情報を一元化し、医療と介護が一体となった切れ目のないサポートを提供します。

早めの相談・検討が重要な理由（訪問診療のメリット）

1. 治療の中断を防ぎ、重症化を予防できる

「薬が切れた状態」が続くことは、高血圧や糖尿病などの慢性疾患を一気に悪化させ、脳卒中や心筋梗塞などの重大な発作を招くリスクを高めます。訪問診療による定期的な管理は、こうした治療の中断を防ぎ、病状の安定化と重症化による緊急入院を未然に防ぐことにつながります。

2. 通院に伴う身体的・精神的負担がなくなる

「通院しなければならない」というプレッシャーや、移動の疲労、待合室での長い待ち時間は、患者様にとってもご家族にとっても大きなストレスです。自宅で待つだけで医師が来るスタイルに切り替えることで、これらの負担がゼロになり、穏やかな気持ちで療養に専念できます。

3. 生活環境に即した現実的なアドバイスが受けられる

診察室では見えない「実際の生活状況」を医師が直接確認できるため、食事の内容や住環境、家族のサポート状況に合わせた、無理のない服薬方法や療養指導が可能になります。

ご相談方法と診療開始までの流れ

当院は、墨田区、江東区、台東区、中央区、荒川区、江戸川区、千代田区を中心に訪問診療を提供しております。その他のエリアについても、患者様の状況やご希望に応じて対応可能な場合もございますので、個別にご相談ください。

① 外来でご相談いただく場合の流れ

訪問診療に迷っている方や、症状の相談をご希望の方は外来受診をご利用ください。

予約・受付：電話またはWebで予約後、受付で症状と保険証を確認します。
診察・相談：医師が症状について問診・診察を行います。
今後の治療方針検討：診察結果に基づき、外来継続か訪問診療への移行かを患者様・ご家族と検討します。

② 訪問診療を希望する場合の流れ

通院困難な方、終末期で在宅緩和ケアを希望される方は訪問診療をご検討ください。

お問い合わせ（HPフォーム/電話）：現在の症状についてご相談ください。
事前面談（情報共有・病状確認）：訪問診療の適応確認と病状を詳しく伺うための面談（初回訪問）を行います。
診療開始：診療計画を立案後、定期的な医師の訪問診療を開始します。

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