食欲低下・体重減少
最近、「食欲が落ちてきた」「体重がみるみる減っている」といった変化に気づき、不安を感じてはいませんか。これは単なる加齢や疲れのせいではなく、体からの重要なサインである可能性があります。特に、がんや重度の慢性疾患、神経難病などが進行している場合、食欲低下は全身状態の悪化を示す深刻な兆候です。患者様ご本人やご家族が抱える見過ごせない症状への不安、今後の生活に対する心配に、当院は心から寄り添います。このような状態を放置せず、早めに専門的な評価と対応が必要です。通院が困難な方には訪問診療を、まだ体力的に迷っている方や初期の相談を希望される方は、まずは外来でのご相談も承ります。
訪問診療を検討すべき主な症状・状態
食欲低下・体重減少はADL低下と密接に関連し、自宅療養の継続を困難にする深刻な状態です。症状が進行し通院が難しくなった場合、訪問診療による包括的な在宅医療サポートが必要となります。食欲低下は「消耗(カヘキシア)」という全身状態の悪化を示唆しており、特に以下の表に示すような進行性・重度な合併症がある場合、きめ細かな訪問診療管理が不可欠です。
| 状態の分類 | 具体的な症状・状態 | 関連疾患 |
| 1. 終末期・緩和ケア | がんによる疼痛、著しい食欲不振、全身倦怠感(カヘキシア)、ADL低下、看取り期 | 肺がん、胃がん、大腸がん、膵臓がん、肝臓・胆道がん、乳がん、前立腺がん、婦人科系がん、血液のがん・脳腫瘍など |
| 2. 慢性疾患の重症化 | 栄養状態悪化に伴う消耗、呼吸困難・心不全の頻発、肝硬変による腹水貯留 | 慢性呼吸不全/COPD(肺気腫)、慢性心不全、慢性腎臓病(保存期の在宅管理)、肝硬変・腹水管理 |
| 3. 摂食・嚥下機能障害 | 経口摂取の困難、誤嚥性肺炎の反復、嚥下機能の低下 | 誤嚥性肺炎をくり返す、脳卒中後遺症(嚥下障害)、パーキンソン病/パーキンソン症候群、ALSなど神経難病 |
| 4. 専門的な栄養管理 | 胃ろう、腸ろう、中心静脈栄養(IVH)による管理が必要な重度の栄養不良状態 | 胃ろう・経管栄養の管理、中心静脈栄養(ポート/IVH)の管理 |
| 5. 精神・神経疾患 | 食事拒否や拒食、行動・心理症状(BPSD)に伴う消耗、治療抵抗性の重度うつ病 | 認知症(行動・心理症状ふくむ)、うつ病、摂食障害(神経性やせ症・過食症) |
訪問診療で対応可能な医療処置・管理
食欲低下は疼痛や嘔気を伴うことが多く、全身管理と栄養管理に加え、専門的な緩和ケアが必要です。当院では、自宅で低栄養状態を改善し、苦痛を和らげる専門的な医療処置を提供します。
高度な医療処置への対応
重度の食欲低下には非経口的な栄養管理が必須です。当院は、中心静脈栄養(IVH)、胃ろう・経管栄養チューブの管理・交換、脱水予防の点滴治療(皮下点滴・静脈点滴)を実施し、栄養状態維持をサポートします。さらに、がん性疼痛(吐き気、嘔吐、呼吸困難など)に対し、医療用麻薬を用いた専門的な緩和ケアを提供し、苦痛を軽減します。
自宅で実施可能な基本的な診療・検査
訪問診療では、医師が問診、視診、聴診で病状を定期的に評価します。自宅で迅速な状態把握のため、血液、尿、便検査、インフルエンザ・コロナの迅速診断検査を実施可能です。パルスオキシメーターによる酸素飽和度測定や簡易心電図測定も自宅で行い、全身状態の変化を早期に察知します。
在宅チーム(多職種)との連携体制
食欲低下や体重減少に対するケアは、医療面だけでなく、生活全般にわたるサポートが必要です。
多職種連携による包括的ケア
当院は、訪問看護師やケアマネジャー、リハビリスタッフなど、多職種と密に連携し、患者様にとって最適なケアを提供します。これにより、医療、看護、リハビリテーション、生活支援を一体となって提供し、患者様が住み慣れた環境で快適に過ごせるよう支援します。
早めの相談・検討が重要な理由(訪問診療のメリット)
食欲低下は急激な体調悪化と直結し、予期せぬ緊急入院のリスクを高めます。訪問診療の最大のメリットは、この予期せぬ危機を未然に防ぎ、患者様にとって最高の療養環境である自宅を維持できる点にあります。
1. 重症化・入院リスクの予防と継続的な管理
食欲低下を放置すると、脱水、低栄養による免疫力低下、感染症、誤嚥性肺炎などの重篤な合併症で緊急入院のリスクが高まります。訪問診療による定期的な診察・検査で、栄養状態や全身状態の変化を早期に察知し、迅速な治療介入を行うことで、自宅での安定療養を継続し、重症化・入院を未然に防ぎます。
2. 住み慣れた環境でのQOLの維持・向上
住み慣れたご自宅での療養は、精神的な安定をもたらし、食欲や生活意欲の回復につながります。慣れた環境での生活は治療効果を高め、特に終末期では、患者様の「自分らしい生活」を最期まで支えること(QOL向上)に直結します。
3. ご家族の介護負担軽減と安心の提供
食欲低下の進行は、食事介助や栄養管理、急変への不安など、ご家族の負担を大きく増加させます。当院の24時間365日の緊急対応体制と定期的な専門ケアにより、ご家族は精神的・物理的な負担から解放され、安心して介護に取り組めます。
ご相談方法と診療開始までの流れ
当院は、墨田区、江東区、台東区、中央区、荒川区、江戸川区、千代田区を中心に訪問診療を提供しております。その他のエリアについても、患者様の状況やご希望に応じて対応可能な場合もございますので、個別にご相談ください。
① 外来でご相談いただく場合の流れ
訪問診療に迷っている方や、症状の相談をご希望の方は外来受診をご利用ください。
- 予約・受付: 電話またはウェブで予約後、受付で症状と保険証を確認します。
- 診察・相談: 医師が食欲低下・体重減少の状況について問診・診察を行います。
- 今後の治療方針検討: 診察結果に基づき、外来継続か訪問診療への移行かを患者様・ご家族と検討します。
② 訪問診療を希望する場合の流れ
通院困難な方、終末期で在宅緩和ケアを希望される方は訪問診療をご検討ください。
- お問い合わせ(HPフォーム/電話): 食欲低下や通院の状況についてご相談ください。
- 事前面談(情報共有・病状確認): 訪問診療の適応確認と病状を詳しく伺うための面談(初回訪問)を行います。
- 診療開始: 診療計画を立案後、定期的な医師の訪問診療を開始します。
食欲低下・体重減少でお悩みなら、まずご相談ください
食欲低下・体重減少は、進行すると命に関わる重大なサインであり、自宅療養を続ける上での大きな障壁となります。決して一人で悩まず、専門的なサポートに頼ってください。当院は、住み慣れた地域で、患者様の生活の質(QOL)を最優先にした医療を提供することをお約束します。ご相談をお待ちしております。

