寝入りばなに突然足がつる
こんなお悩みはありませんか?
- 「寝ようとした時やちょうど眠りに落ちる頃に、ふくらはぎが突然痛くつる」
- 「夜中に足の痛みで目が覚め、しばらく眠れなくなってしまう」
- 「足をピンと伸ばしたり、寝返りを打った時に突然足がつってしまう」
- 「数分間の激しい痛みの後も、翌朝まで筋肉の痛みや違和感が残る」
- 「足がつることを恐れて、安心して眠れない」
- 「週に何度も繰り返し起こり、睡眠の質が低下している」
これらの症状は、「夜間足cramping(夜間足cramps、nocturnal leg cramps:夜間足cramps)」と呼ばれる、睡眠中や寝入りばなに起こる足の筋肉の突然の痙攣(けいれん)です。特にふくらはぎ(腓腹筋)に多く起こりますが、太もも(大腿部)や足の裏(足底部)にも生じることがあります。
夜間足crampsの特徴
- 突然の発症:予兆なく、急に強い痛みを伴う筋肉の硬直が起こる
- 持続時間:数秒から数分間(まれに10分以上続くこともある)
- 発生タイミング:寝入りばな、深い睡眠への移行時、夜間の寝返り時など
- 痛みの強さ:中等度〜強度の痛み(目が覚めるほどの激しさ)
- 回復過程:痙攣が治まった後も、筋肉の痛みや違和感が残ることがある
- 頻度:週に数回発生することも珍しくない
夜間足crampsの主な原因
1. 身体的要因
- 脱水:日中の水分摂取不足
- 電解質バランスの乱れ:カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラル不足
- 筋肉の疲労や過使用:長時間の立ち仕事、運動後など
- 筋肉の短縮:長時間同じ姿勢でいることによる筋肉の短縮
- 加齢:筋肉量の減少や柔軟性の低下(50歳以上で発生率上昇)
2. 基礎疾患との関連
- 末梢動脈疾患:動脈の狭窄による血流低下
- 糖尿病:神経障害や血流障害による影響
- 甲状腺機能障害:代謝異常による筋肉への影響
- 腎疾患:電解質バランスの乱れ
- 肝疾患:代謝産物の蓄積による筋肉への影響
3. 薬剤の影響
- 利尿薬:電解質バランスへの影響
- スタチン系コレステロール降下薬
- ベータ遮断薬
- アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)
- 長時間作用型気管支拡張薬
4. その他の要因
- 妊娠:特に後期に多い
- 就寝環境:足が窮屈な姿勢(足首が底屈位)での睡眠
- アルコールの過剰摂取:脱水や電解質バランスの乱れを促進
夜間足crampsが睡眠に与える影響
- 睡眠の分断:痛みによる覚醒で睡眠サイクルが中断される
- 入眠困難:再び眠りにつくまでに時間がかかる
- 睡眠の質の低下:浅い睡眠が増え、深い睡眠(徐波睡眠)が減少する
- 不安感の増加:「また足がつるのでは」という不安から入眠困難に
- 日中の疲労感:睡眠の質低下による日中のパフォーマンス低下
すみだ両国まちなかクリニックでの診療
当院の睡眠外来では、夜間足crampsでお悩みの患者さんに対して以下のような診療・治療を行っています。
1. 詳しい問診と評価
- 症状の詳細(頻度、強さ、部位、持続時間など)
- 生活習慣や運動習慣の確認
- 服用中の薬剤の確認
- 基礎疾患の有無の確認
2. 原因特定のための検査
- 必要に応じて血液検査(電解質、腎機能、肝機能、甲状腺機能など)
- 糖尿病や末梢動脈疾患などの評価
- 薬剤との関連性の評価
3. 原因に応じた治療と対策
生活習慣の改善指導
- 水分摂取量の調整
- ミネラルバランスの改善策
- ストレッチや運動方法の指導
薬物療法(必要な場合)
- 症状が重度で日常生活に支障がある場合に検討
- 原因となっている薬剤がある場合は、代替薬の検討
基礎疾患への対応
- 糖尿病や甲状腺疾患などの基礎疾患がある場合はその治療
- 必要に応じて専門医療機関をご紹介
夜間足crampsの予防と対策
日常生活での予防策
- 十分な水分摂取:特に運動後や暑い日は意識して水分補給
- バランスの良い食事:カリウム(バナナ、ジャガイモ)、カルシウム(乳製品)、マグネシウム(ナッツ類、緑黄色野菜)を含む食品を意識的に摂取
- 就寝前のストレッチ:ふくらはぎや足底のストレッチを習慣化
- 適度な運動:過度な運動は避け、定期的に適度な運動を行う
- 寝具と寝姿勢の見直し:足が伸びた自然な姿勢で眠れるよう工夫
- アルコールの適量摂取:過剰な飲酒を避ける
crampsが起きた時の対処法
- ストレッチ:
- つったふくらはぎを伸ばす:足首を手で引き上げる(背屈)
- 壁を利用する:壁に向かって立ち、つった脚を後ろに伸ばし、かかとを床につけたままストレッチ
- マッサージ:つった筋肉を優しくもみほぐす
- 温め:温かいタオルや湯たんぽで筋肉を温める
- 歩行:可能であれば、少し歩いてみる
足cramps予防のためのベッドサイドストレッチ
ふくらはぎのストレッチ
- 仰向けに寝た状態で、片足を持ち上げる
- 足首を手で引き寄せて、つま先を身体方向に引く(背屈)
- ふくらはぎが伸びていることを感じながら15〜30秒キープ
- 両足交互に2〜3回繰り返す
足底(足の裏)のストレッチ
- 座った状態で、片足の足裏をもう片方の太ももの上に乗せる
- 足の指を手で後ろに引き伸ばす
- 足の裏のアーチが伸びていることを感じながら15〜30秒キープ
- 両足交互に2〜3回繰り返す
こんな方は早めの受診をおすすめします
- 夜間の足crampsが頻繁に(週に3回以上)起こる
- 症状が強く、睡眠が著しく妨げられる
- cramps以外に足のしびれや痛み、むくみがある
- 筋力低下や歩行困難など、他の症状を伴う
- crampsが日中にも頻繁に起こる
- 最近薬の種類や量が変更された後に症状が始まった、または悪化した
よくある質問(Q&A)
Q: 夜間足crampsと「むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)」は同じものですか?
A: 別の症状です。むずむず脚症候群は「脚を動かしたい衝動」や「むずむずする不快感」が特徴で、動かすと一時的に楽になります。一方、夜間足crampsは突然の痛みを伴う筋肉の硬直が特徴で、ストレッチが必要になります。
Q: 市販のマグネシウムサプリメントは効果がありますか?
A: マグネシウム不足が原因の場合は効果的な可能性がありますが、全ての方に効果があるわけではありません。また、腎機能障害のある方は注意が必要です。サプリメントの使用を検討される場合は、事前に医師に相談されることをおすすめします。
Q: 年齢とともに足crampsが増えるのはなぜですか?
A: 加齢に伴う筋肉量の減少、血行不良、薬剤使用の増加、慢性疾患の発症など複数の要因が関与します。また高齢者は若い世代に比べて脱水状態になりやすいこともcramps増加の一因と考えられています。
まとめ
夜間足crampsは、睡眠の質を低下させ、日常生活に支障をきたす可能性のある症状です。一過性のものもありますが、頻繁に起こる場合は、電解質バランスの乱れや基礎疾患、薬剤の影響などが考えられるため、適切な評価と対策が重要です。
すみだ両国まちなかクリニックでは、患者さん一人ひとりの生活背景や症状に合わせた総合的なアプローチで、夜間足crampsの原因特定と改善をサポートします。「寝入りばなに足がつる」「夜間の足のcrampsで眠れない」とお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。