脚のむずむず感で眠れない
こんなお悩みはありませんか?
- 「夜になると脚に不快な感覚(むずむず、チクチク、虫が這うような感じ)が出て眠れない」
- 「じっとしていると脚の不快感が強まり、動かさずにはいられない」
- 「横になって休もうとすると、足がむずむずして落ち着かない」
- 「脚を動かすと一時的に症状が和らぐが、また同じ症状が繰り返される」
- 「長時間の座り仕事や飛行機など、長く座っている状況で症状が悪化する」
- 「家族から『寝ている間に足をよく動かしている』と言われる」
これらの症状は、「レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)」と呼ばれる神経学的な疾患の特徴です。特に夕方から夜間にかけて症状が強まり、睡眠の妨げになることが多いため、慢性的な睡眠不足や日中の疲労感につながることがあります。
レストレスレッグス症候群とは
レストレスレッグス症候群(RLS)は、脚に不快な感覚が生じ、動かさずにはいられなくなる神経疾患です。以下の4つの特徴が診断基準となります:
- 脚を動かしたい強い欲求:むずむず感、チクチク感、虫が這うような感覚など、表現しにくい不快な感覚
- 安静時に悪化:座っていたり横になっているときに症状が強まる
- 運動で改善:脚を動かすことで症状が一時的に軽減する
- 夕方・夜間に悪化:特に就寝時に症状が強まり、睡眠の妨げになる
症状は主に下肢(ふくらはぎから太もも、足首)に出現しますが、腕や体幹部に症状が出ることもあります。
レストレスレッグス症候群の主な原因
1. 原発性(特発性)
- 遺伝的要因:家族歴がある場合が約50%
- ドパミン神経伝達物質の異常:脳内のドパミン機能の乱れが関与
- 年齢:加齢とともに有病率が上昇(特に中年以降)
2. 続発性(二次性)
- 鉄欠乏性貧血:血清フェリチン値の低下と関連
- 腎不全や透析治療中の患者
- 妊娠:特に後期に症状が出やすい(産後は自然軽快することが多い)
- 神経疾患:末梢神経障害、脊髄疾患など
- 薬剤の影響:抗うつ薬、抗アレルギー薬、抗精神病薬など
レストレスレッグス症候群が睡眠に与える影響
- 入眠困難:就寝時の不快感で寝付けない
- 睡眠の質の低下:浅い睡眠が増え、深い睡眠が減少
- 周期性四肢運動障害の合併:睡眠中に脚が周期的に動く症状(自覚なく起こることも多い)
- 日中の眠気と疲労感:睡眠不足による集中力低下や気分の落ち込み
- パートナーの睡眠への影響:足の動きが激しい場合、同床者の睡眠も妨げる
すみだ両国まちなかクリニックでの診療
当院の睡眠外来では、レストレスレッグス症候群に対して以下のような診療・治療を行っています。
1. 詳しい問診と評価
- 症状の詳細(部位、感覚の種類、時間帯、頻度など)
- 家族歴や生活習慣の確認
- 他の疾患や服用中の薬の確認
- 必要に応じて睡眠日誌の記録をお願いすることも
2. 検査による原因特定
- 血液検査(鉄欠乏、腎機能、甲状腺機能など)
- 必要に応じて神経学的検査
- 周期性四肢運動障害を合併している場合は、簡易検査を実施
3. 原因に応じた治療
非薬物療法
- 生活習慣の改善指導
- 鉄欠乏がある場合の食事指導や鉄剤補充
- リラクゼーション法の指導
- 症状緩和のためのストレッチやマッサージ法の指導
薬物療法(必要な場合)
- 症状の重症度に応じた適切な薬剤の検討
- ドパミン作動薬などの処方
- 定期的な効果確認と副作用のモニタリング
続発性の場合
- 原因となっている疾患の治療
- 原因と考えられる薬剤の調整
- 必要に応じて専門医療機関をご紹介
レストレスレッグス症候群の症状を軽減するためのセルフケア
日常生活での工夫
- 規則正しい生活習慣:就寝・起床時間を一定に保つ
- 適度な運動:ウォーキングなどの有酸素運動を日中に取り入れる(就寝直前の激しい運動は避ける)
- リラクゼーション:入浴、ストレッチ、深呼吸法などでリラックス
- 睡眠環境の整備:快適な寝具や適温の寝室環境
症状が出たときの対処法
- 軽いストレッチ:足首の回転、ふくらはぎのストレッチなど
- マッサージ:脚を優しくマッサージする
- 温冷療法:温かいシャワーや冷たいタオルを当てる
- 気分転換:短時間起き上がって、別の活動をする
生活習慣の見直し
- カフェイン・アルコール:夕方以降の摂取を控える
- 喫煙:ニコチンは症状を悪化させることがあるため、禁煙を検討
- 食事:バランスの良い食事、特に鉄分を含む食品(レバー、ほうれん草、レンズ豆など)の摂取
- 疲労管理:過度の疲労は症状を悪化させるため、休息をしっかり取る
長時間の座位や移動時の工夫
- 定期的な休憩:長距離移動や座り仕事では、1時間ごとに立ち上がって動く
- 足を伸ばせる位置を選ぶ:飛行機や電車では可能な限りアイルシートを選ぶ
- 軽い運動:移動中でもできる足首の回転や足の屈伸
- 圧迫を避ける:きつい靴下や締め付けの強い服装を避ける
こんな方は早めの受診をおすすめします
- 脚のむずむず感で睡眠が著しく妨げられ、日中の活動に支障がある
- 症状が週に3回以上あり、1ヶ月以上続いている
- 症状が徐々に悪化している、または広範囲に広がっている
- 自己流の対策を試しても改善しない
- 家族にレストレスレッグス症候群の方がいる
よくある質問(Q&A)
Q: レストレスレッグス症候群は治りますか?
A: 原発性の場合は完全に治癒することは少ないですが、適切な治療やセルフケアにより症状をコントロールすることが可能です。続発性の場合は、原因となる疾患や要因が改善されれば、症状が軽減・消失することもあります。
Q: 薬を飲まずに改善する方法はありますか?
A: 軽症の場合は、生活習慣の改善や鉄分補給などの非薬物療法で症状が軽減することもあります。ただし、症状が重く日常生活に支障がある場合は、薬物療法を併用することで効果的に症状をコントロールできることが多いです。
Q: 妊娠中に症状が出た場合はどうすればよいですか?
A: 妊娠に関連したレストレスレッグス症候群は、出産後に自然軽快することが多いです。妊娠中は薬物療法に制限がありますが、鉄分補給やセルフケアで症状を軽減できることがあります。必ず産婦人科医と相談しながら対応しましょう。
まとめ
レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)は、睡眠の質を著しく低下させる可能性のある神経疾患ですが、適切な診断と治療により症状を改善することが可能です。原因が多岐にわたるため、専門医による評価が重要です。
すみだ両国まちなかクリニックでは、患者さん一人ひとりの症状や原因に合わせた個別的なアプローチで、レストレスレッグス症候群の診断・治療を行っています。「脚のむずむず感で眠れない」「じっとしていられない不快感がある」とお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。