朝型・夜型が極端に乱れている
こんなお悩みはありませんか?
- 「どんなに早く寝ようとしても、夜の11時前には眠れない」
- 「朝がとにかく弱く、何度アラームをセットしても起きられない」
- 「休日は自然と夜更かしになり、翌日は昼過ぎまで寝てしまう」
- 「朝の会議や早い時間の予定には間に合わないことが多い」
- 「周囲から『怠けている』と誤解されることがある」
- 「社会生活のリズムとズレを感じ、いつも体調が優れない」
こうした症状は、単なる生活習慣の乱れではなく、「概日リズム睡眠障害」と呼ばれる睡眠障害の一種かもしれません。特に極端な夜型傾向を示す「睡眠相後退症候群」や、極端な朝型傾向を示す「睡眠相前進症候群」など、体内時計が社会的な時間とずれてしまう状態を指します。
概日リズム睡眠障害とは
私たちの体には約24時間周期で活動する「体内時計」が存在し、睡眠と覚醒、体温、ホルモン分泌など、様々な生理機能を調整しています。この体内時計のリズムが社会的な時間とずれてしまうことで生じる障害が「概日リズム睡眠障害」です。
主な種類
1. 睡眠相後退症候群(夜型)
- 就寝時間と起床時間が通常より2〜3時間以上遅れる
- 深夜0時〜3時頃にならないと眠れない
- 朝は非常に起きにくく、日中は強い眠気に悩まされる
- 10〜20代の若年層に多い
2. 睡眠相前進症候群(朝型)
- 就寝時間と起床時間が通常より2〜3時間以上早まる
- 夕方から夜の早い時間(18時〜20時頃)に強い眠気を感じる
- 早朝(3時〜5時頃)に自然と目覚めてしまう
- 高齢者に多い
3. 非24時間型睡眠覚醒リズム障害
- 体内時計が24時間より長く(多くは25時間前後)、毎日少しずつ就寝・起床時間が遅れていく
- 数週間で一周し、一時的に社会的時間と一致する時期もある
- 全盲の方に多いが、晴眼者でも発症することがある
4. 不規則型睡眠覚醒リズム障害
- 24時間を通じて複数回の短い睡眠が不規則に出現
- 明確な睡眠・覚醒パターンがない
- 認知症や発達障害を持つ方に多い
概日リズム睡眠障害の原因
1. 生物学的要因
- 遺伝的要素:体内時計をコントロールする遺伝子の個人差
- 年齢:成長過程で夜型化しやすい思春期、加齢とともに朝型化する高齢期
- 光への感受性:朝の光や夜の光に対する感受性の違い
2. 環境・生活習慣的要因
- 不規則な生活:休日と平日の睡眠時間の大きな差
- 光環境:朝の光不足、夜間の過剰な光(特にブルーライト)への曝露
- 社会的制約:仕事や学校の時間に合わせた無理な生活
3. 心理的要因
- ストレスや不安による睡眠の乱れ
- うつ病などの精神疾患に伴う睡眠リズムの変化
概日リズム睡眠障害が及ぼす影響
- 日中の強い眠気と疲労感
- 学業・仕事のパフォーマンス低下
- 社会活動への参加困難(朝の会議や早朝の予定に間に合わないなど)
- 精神的ストレス(社会の時間に合わせられないことへの自責感)
- 抑うつ気分や不安の増加
- 身体的不調(胃腸障害、頭痛など)
- 生活習慣病リスクの増加
すみだ両国まちなかクリニックでの診療
当院の睡眠外来では、概日リズム睡眠障害に対して以下のような診療・治療を行っています。
1. 詳しい問診と評価
- 睡眠・覚醒パターンの確認(睡眠日誌の記録をお願いすることも)
- 生活習慣や光環境の確認
- うつや不安などの精神的問題のスクリーニング
- 他の睡眠障害(睡眠時無呼吸症候群など)の併存確認
2. 体内時計を整えるための総合的アプローチ
光療法
- 朝の光(特に自然光)を積極的に浴びる方法の指導
- 必要に応じて高照度光療法の提案
時間生物学的アプローチ
- 体内時計を少しずつ調整するためのスケジュール立案
- 食事・運動・入浴など生活習慣全般の時間調整
睡眠衛生指導
- 就寝環境の改善
- カフェイン・アルコールの摂取タイミングの見直し
- 夜間のブルーライト対策
薬物療法(必要に応じて)
- メラトニン受容体作動薬などの体内時計調整薬の検討
- 短期的な睡眠薬の使用検討
心理的サポート
- 社会的時間とのずれによる心理的ストレスへの対処法
- 必要に応じて専門医療機関をご紹介
体内時計を整えるためのセルフケア
光環境の調整
- 朝の光浴:起床後30分以内に30分間程度、明るい光(できれば自然光)を浴びる
- 日中の光:日中はなるべく明るい環境で過ごす
- 夜間の光制限:就寝2〜3時間前からは部屋の照明を暗めにし、ブルーライト(スマホ、PC、TV)を制限
生活習慣の調整
- 一貫した睡眠スケジュール:休日も平日もなるべく同じ時間に起床・就寝
- 朝食の重視:朝食をしっかり摂ることで体内時計にシグナルを送る
- 規則正しい食事時間:毎日同じ時間帯に食事を摂る
- 運動のタイミング:朝〜夕方の運動が睡眠の質を高める(就寝3時間前までに)
段階的な時間調整(特に夜型の方向け)
- 段階的な調整:いきなり早寝早起きにせず、15〜30分ずつ少しずつ前倒し
- 起床時間の固定:まずは起床時間を固定し、徐々に就寝時間を調整
- 休日の寝だめを避ける:休日も平日より2時間以上遅く起きないようにする
- 短時間昼寝の活用:どうしても日中眠い場合は、15〜20分程度の短い昼寝を取り入れる
こんな方は早めの受診をおすすめします
- 極端な夜型または朝型傾向が3ヶ月以上続いている
- 自分の睡眠リズムが原因で、社会生活(仕事、学校、家庭)に支障がある
- 睡眠リズムを自己流で整えようとしたが改善しない
- 睡眠リズムの乱れに加えて、抑うつ気分や強い不安感がある
- 睡眠薬を自己判断で使用している
朝型・夜型に関するよくある誤解
「夜型は怠け癖や意志が弱いせいだ」
→ 夜型・朝型の傾向には遺伝的・生物学的な要因が大きく関与しており、単なる怠惰や意志の問題ではありません。
「朝型の人の方が生産性が高い」
→ 時間帯によるパフォーマンスは個人の体内時計によって異なります。自分の体内時計に合わせた活動時間を選べれば、夜型の方も高いパフォーマンスを発揮できます。
「休日に寝だめをすれば平日の睡眠不足は解消できる」
→ 休日の寝だめは体内時計をさらに乱す原因となり、平日への切り替えを難しくします。規則正しい睡眠スケジュールを維持することが重要です。
まとめ
朝型・夜型の極端な乱れは、単なる生活習慣の問題ではなく、体内時計と社会的時間とのミスマッチという観点から理解することが大切です。適切な光環境の調整や生活習慣の見直しによって、多くの場合改善が期待できます。
すみだ両国まちなかクリニックでは、患者さん一人ひとりの体内時計の特性や生活背景に合わせた個別的なアプローチで、概日リズム睡眠障害の改善をサポートします。「極端な夜型で困っている」「どうしても朝起きられない」とお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。