心療内科症状

極端な気分の上下が繰り返される

「急に気分が高揚して止まらなくなり、その後極端に落ち込む」「周期的に活動的な時期と無気力な時期を繰り返す」「感情のコントロールができず、周囲を困惑させる」
このような極端な気分の変動は、単なる「気分屋」ではなく、双極性障害(躁うつ病)などの気分障害や、他の心理的・身体的要因による可能性があります。適切な評価と治療により、気分の波を安定させ、生活の質を向上させることができます。

1.極端な気分の上下の主な原因

  1. 精神疾患関連
    • 双極性障害(Ⅰ型、Ⅱ型、循環気質型)
    • 気分変調症
    • 境界性パーソナリティ障害
    • うつ病の非定型症状
    • 注意欠如・多動症(ADHD)
  2. ホルモン・身体疾患関連
    • 甲状腺機能障害
    • 副腎機能障害
    • 更年期障害
    • 月経前症候群(PMS)・月経前不快気分障害(PMDD)
    • 慢性疼痛や慢性疾患
  3. 薬物・物質関連
    • アルコールや薬物使用
    • ステロイド薬の影響
    • 抗うつ薬の副作用(双極性障害への誤投与時)
    • 中枢神経系に作用する薬剤
  4. 心理社会的要因
    • 強いストレスや生活の変化
    • 不規則な生活リズム
    • 睡眠障害
    • 対人関係の問題
    • トラウマの影響

2.気分の変動の主な特徴

  1. 双極性障害の場合
    • 躁状態(または軽躁状態):
      • 異常な高揚感や多幸感
      • エネルギー増加と活動過多
      • 睡眠欲求の減少
      • 集中困難と気が散りやすさ
      • 自尊心の肥大と誇大的思考
      • 衝動的な行動(浪費、性的問題など)
      • 思考や会話の早さと量の増加
    • うつ状態:
      • 持続的な気分の落ち込み
      • 興味や喜びの喪失
      • 疲労感と活力の低下
      • 集中力や決断力の低下
      • 無価値感や罪悪感
      • 睡眠や食欲の変化
      • 自殺念慮
  2. 境界性パーソナリティ障害の場合
    • より短期間(数時間から数日)の気分変動
    • 対人関係のストレスに反応しやすい
    • 空虚感や見捨てられ不安
    • 激しい怒りと衝動性
    • 自己像の不安定さ
  3. ホルモン関連の場合
    • 月経周期やホルモン変動と関連した規則的な変化
    • 身体症状(疲労、痛み、倦怠感など)を伴うことが多い
    • 特定の生活期(更年期など)に関連した発症

3.気分の変動が与える影響

  1. 日常生活への影響
    • 仕事や学業のパフォーマンスの不安定さ
    • 対人関係の困難
    • 経済的問題(衝動的な浪費など)
    • 生活リズムの乱れ
    • 計画立案や継続的な活動の困難
  2. 心理的影響
    • 自己評価の低下
    • 将来への不安
    • 自己コントロール感の喪失
    • 対人関係への不安と孤立感
    • 二次的なうつや不安
  3. 身体的影響
    • 睡眠の質の低下
    • 免疫機能の変化
    • 慢性的ストレスによる身体症状
    • 薬物やアルコールへの依存リスク

4.日常生活での対策

  1. 生活リズムの安定化
    • 規則正しい睡眠・起床時間の維持
    • 規則的な食事と運動
    • 日光を浴びる時間の確保
    • 過度の刺激(長時間の作業、過剰な社交活動)を避ける
  2. モニタリングと予防
    • 気分日記をつけて変動パターンを把握
    • 気分変調の前兆サインを特定する
    • 前兆が見られたら早めに対処行動をとる
    • ストレス要因の特定と管理
  3. 環境調整とセルフケア
    • サポートネットワークの構築
    • リラクセーション法の習得(深呼吸、瞑想など)
    • 過度のカフェインやアルコールを避ける
    • 定期的な運動習慣の確立
    • 活動レベルの調整(過活動や過度の引きこもりを避ける)
  4. 対人関係の工夫
    • 信頼できる人に自分の状態を理解してもらう
    • 気分が極端な時の対応について周囲と相談しておく
    • 重要な決断は安定した時期に行う
    • 必要に応じて専門家の支援を求める勇気を持つ

5.いつ専門家に相談すべき?

  • 気分の波が日常生活や仕事に著しい支障をきたしている
  • 躁状態やうつ状態が2週間以上続く
  • 自殺念慮や自傷行為がある
  • 衝動的な行動(過度の浪費、性的問題など)が止められない
  • 幻覚や妄想を伴う
  • 薬物やアルコールに頼るようになっている
  • 家族や友人から心配されている
  • 自己対処の努力をしても改善しない

特に躁状態では自己認識が低下していることもあるため、周囲の人からの観察も重要な手がかりとなります。

6.診察・評価で何がわかる?

  1. 問診と精神状態評価
    • 気分変動の詳細なパターン(頻度、持続期間、強さなど)
    • 躁・うつ症状の特徴と経過
    • 初発年齢と発症の経緯
    • 既往歴や家族歴
    • 心理社会的背景の評価
  2. 身体的評価
    • 甲状腺機能などのホルモン関連検査
    • 薬物使用の影響評価
    • 基礎疾患の確認
  3. 鑑別診断
    • 双極性障害の種類(I型、II型、特定不能型など)
    • 他の気分障害との鑑別
    • パーソナリティ障害との鑑別
    • 身体疾患による二次的な症状の可能性

7.すみだ両国まちなかクリニックでのサポート

すみだ両国まちなかクリニックでは、気分の変動に悩む患者さんに対し、以下のような診療を行っています。

  1. 丁寧な問診と評価
    • 気分変動の詳細なパターン分析
    • 生活歴や発症背景の聴取
    • 身体疾患の可能性の評価
    • 心理社会的ストレスの評価
  2. 基本的な検査
    • 血液検査(甲状腺機能、貧血、炎症マーカーなど)
    • 必要に応じたホルモン検査
    • 薬物の影響評価
  3. 治療とケア
    • 診断に基づいた適切な治療計画の立案
    • 必要に応じた薬物療法
      • 気分安定薬の適切な選択と調整
      • 抗精神病薬の低用量使用(必要な場合)
      • 抗うつ薬の慎重な使用(双極性障害の場合)
    • 心理教育
      • 疾患や症状の理解促進
      • 再発予防のための自己管理スキル
      • 前兆サインの特定と早期介入
    • 生活リズム調整のサポート
    • ストレス管理法の指導
  4. 専門医療機関との連携
    • より専門的な治療が必要な場合は、精神科専門医へのご紹介
    • 急性期の症状で入院が必要な場合は、適切な医療機関との連携
    • 心理療法が有効と判断される場合は、専門的な心理療法が可能な医療機関をご紹介
    • 複雑な症例や治療抵抗性の場合の専門医へのコンサルテーション
  5. 継続的なフォローアップ
    • 症状の経過観察と治療効果の評価
    • 薬物療法の効果と副作用のモニタリング
    • 再発予防のための継続的支援
    • 長期的な機能回復と生活の質の向上をサポート

極端な気分の変動は適切な治療と自己管理により、多くの場合コントロール可能です。すみだ両国まちなかクリニックでは、患者さん一人ひとりの状況に合わせた包括的なアプローチで、安定した状態の維持と生活の質の向上を目指します。

8.まとめ

  • 極端な気分の上下は、双極性障害などの気分障害やホルモン変動など、様々な要因で生じる可能性がある
  • 躁状態とうつ状態の繰り返しは、日常生活や対人関係に大きな影響を与え、適切な治療が必要
  • 規則正しい生活リズムの維持、ストレス管理、前兆サインの把握などが重要な自己管理法となる
  • 症状が日常生活に支障をきたす場合や、自殺念慮がある場合は早急に専門家に相談することが大切
  • すみだ両国まちなかクリニックでは、総合的な評価と初期治療、必要に応じた専門医療機関との連携を提供

気分の波に悩まされている方は、一人で抱え込まず、ぜひご相談ください。適切な治療と支援により、多くの方が安定した状態を取り戻すことができます。

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