心療内科症状
常に何かを心配して落ち着かない
「いつも何かが心配で頭から離れない」「ささいなことが気になって集中できない」「将来のことを考えると不安で眠れなくなる」
このような持続的な心配や不安は、現代社会に生きる多くの人が経験するものですが、それが日常生活に支障をきたすほど強くなると、「全般性不安障害(GAD)」などの不安症の可能性もあります。適切な対処法や必要に応じた治療により、過度な心配や不安から解放され、心の安定を取り戻すことができます。
1.過度な心配や不安の主な原因
- 心理的要因
- 完璧主義的な思考傾向
- コントロールへの過度なこだわり
- 不確実性に対する耐性の低さ
- 否定的な結果を予測する思考パターン
- 過去のトラウマや否定的経験
- 生物学的要因
- 神経伝達物質(セロトニン、GABA、ノルアドレナリンなど)のバランスの乱れ
- 不安反応に関わる脳領域(扁桃体など)の過活動
- 家族歴・遺伝的要因
- 身体疾患や薬物の影響
- 環境的・社会的要因
- 慢性的なストレス状態
- 仕事や経済的な不安定さ
- 対人関係の問題
- 情報過多社会における不安喚起情報への過剰暴露
- コロナ禍のような社会的危機
2.主な症状と影響
- 精神的症状
- 制御困難な過度の心配
- 心配から注意が逸れない
- 将来に対する漠然とした不安感
- 集中力の低下
- イライラ感
- 決断の困難さ
- 身体的症状
- 筋肉の緊張や痛み(特に肩や首)
- 疲労感
- 睡眠の問題(入眠困難、中途覚醒、熟睡感の欠如)
- 落ち着きのなさや緊張感
- 動悸や呼吸の変化
- 消化器症状(腹部不快感、下痢など)
- 日常生活への影響
- 仕事や学業のパフォーマンス低下
- 人間関係の質の低下
- 趣味や楽しみへの興味減退
- 心配を和らげるための回避行動
- 過度な確認行為や安全探求行動
3.日常生活での対策
- 心配・不安への向き合い方
- 「心配時間」の設定:1日15〜30分の特定の時間を心配に当てる
- 心配事を書き出す:頭の中だけで考えるより、紙に書き出す
- 心配の「事実」と「想像」を区別する練習
- 「今ここ」に意識を向けるマインドフルネス実践
- 対処可能な問題と不可能な問題の切り分け
- 生活習慣の改善
- 規則正しい睡眠リズムの確保
- バランスのとれた食事と水分摂取
- カフェインやアルコールの摂取制限
- 定期的な有酸素運動(ウォーキングなど)
- リラクセーション法(深呼吸、漸進的筋弛緩法など)の練習
- 思考パターンの見直し
- 最悪のシナリオばかり考える傾向への気づき
- 過度な一般化(「いつも」「絶対に」などの極端な言葉)の修正
- 心配の有用性を過大評価していないか確認
- 不確実性を受け入れる練習
- 過去の経験から、心配の多くが現実にならないことを思い出す
- ソーシャルサポートの活用
- 信頼できる人に気持ちを話す
- 一人で抱え込まず、必要に応じて助けを求める
- 同じような経験をしている人々との交流
- SNSやニュースとの距離の取り方を工夫する
4.いつ専門家に相談すべき?
- 心配や不安が6ヶ月以上持続している
- 日常生活(仕事、学業、家事など)に明らかな支障がある
- 不安のために睡眠が著しく妨げられている
- 身体症状(頭痛、筋肉の緊張、消化器症状など)が頻繁に現れる
- アルコールや薬物に頼るようになっている
- 自分なりの対処法を試みても改善が見られない
- 希死念慮(死にたいという考え)がある
専門家のサポートを早期に受けることで、症状の悪化を防ぎ、効果的な対処法を学ぶことができます。
5.診察・評価で何がわかる?
- 問診と心理評価
- 不安や心配の内容、程度、持続期間
- 日常生活への影響度
- 身体症状や睡眠の状態
- 不安障害の診断基準との照合
- 自己対処法とその効果
- 他の精神疾患との鑑別
- うつ病
- パニック障害
- 社交不安障害
- 強迫性障害
- 心的外傷後ストレス障害(PTSD)
- 身体的要因の除外
- 甲状腺機能亢進症など内分泌疾患
- 貧血や栄養障害
- 薬物やカフェインの影響
- その他の身体疾患
6.すみだ両国まちなかクリニックでのサポート
すみだ両国まちなかクリニックでは、継続的な心配や不安に対し、以下のような診療を行っています。
- 丁寧な問診と評価
- 症状の詳細な評価と生活への影響度の確認
- 心配や不安のパターンと誘因の特定
- 身体症状の評価
- 心理社会的背景の理解
- 基本的な検査(必要に応じて)
- 甲状腺機能など、身体的要因の評価のための血液検査
- その他の身体症状に応じた検査
- 治療とケア
- 症状の程度に応じた治療計画の立案
- 認知行動的アプローチによる対処法の指導
- 心配のメカニズムに関する心理教育
- 不安を引き起こす思考パターンの特定と修正
- 不安に対する具体的な対処スキルの習得
- 必要に応じた薬物療法
- 不安症状に対する抗不安薬・抗うつ薬の検討
- 身体症状(不眠、身体的緊張など)の緩和
- リラクセーション法の実践指導
- 生活習慣改善のアドバイス
- 専門医療機関との連携
- より専門的な認知行動療法が必要な場合は、専門医療機関をご紹介
- 複雑な精神疾患が背景にある場合は、精神科専門医へのご紹介
- 症状が重度で日常生活に著しい支障がある場合は、より集中的な治療が可能な医療機関へのご案内
- 継続的なフォローアップ
- 症状の変化や治療効果の評価
- 実生活での実践状況の確認
- 必要に応じた治療計画の見直し
- 長期的な症状管理のサポート
「心配しすぎ」は単なる性格ではなく、治療可能な状態であることをご理解ください。すみだ両国まちなかクリニックでは、患者さんの日常生活や仕事の状況に配慮しながら、実践的なアプローチで不安の軽減をサポートします。
7.まとめ
- 持続的な心配や不安は、精神的・身体的健康に大きな影響を与える可能性がある
- 全般性不安障害などの不安症は適切な治療で改善が期待できる
- 日常生活では「心配時間」の設定や思考パターンの見直しなどの対策が有効
- 生活に明らかな支障がある場合は、早めの専門家への相談を検討
- すみだ両国まちなかクリニックでは、個々の状況に合わせた実践的なサポートと必要に応じた治療を提供
過度な心配や不安は「考えすぎ」「気にしすぎ」と片付けられがちですが、適切な理解と対応が必要な症状です。一人で抱え込まず、ぜひご相談ください。不安と上手に付き合うスキルを身につけることで、より自由で落ち着いた日常を取り戻すことができます。