心療内科症状

ストレスでお腹が痛くなる

「緊張するとお腹が痛くなる」「仕事や学校のストレスで腹痛が起きる」「人間関係のトラブルがあるとお腹を下す」
このような症状は、心と体の密接な関係から生じる”心身症”の一種で、多くの方が経験するものです。脳と腸は密接につながっており(脳腸相関)、精神的なストレスが消化器系の症状として表れることがあります。適切な対策と必要に応じた治療により、症状の改善が期待できます。

1.ストレスによる腹痛の主なメカニズム

  1. 脳腸相関(Brain-Gut Axis)
    • 脳と腸は神経系(特に自律神経)、内分泌系、免疫系を通じて密接に連携
    • ストレスを感じると脳から自律神経を介して腸に信号が送られる
    • 腸の動きや血流、分泌が変化し、腹痛や下痢などの症状が生じる
  2. 腸内環境の変化
    • ストレスにより腸内細菌のバランスが乱れる
    • 腸粘膜の炎症や透過性が亢進する
    • 消化液の分泌異常が起こる
  3. 腸の過敏性
    • 通常なら感じない軽い刺激や伸展を痛みとして感じるようになる
    • 腸の運動が過剰または不規則になる
  4. 筋肉の緊張
    • 腹部の筋肉が緊張して痛みを生じる
    • 横隔膜や腹壁の筋肉の緊張が内臓を圧迫

2.関連する主な疾患

  1. 過敏性腸症候群(IBS)
    • ストレスに関連した代表的な機能性消化管障害
    • 腹痛と排便習慣の変化(下痢や便秘)が特徴
    • 検査では器質的異常が見つからないが症状は実在する
  2. 機能性ディスペプシア
    • 上腹部の痛みや不快感、膨満感などが特徴
    • 食後に症状が悪化することが多い
    • ストレスにより症状が誘発・悪化する
  3. 機能性腹痛
    • 明確な器質的疾患がないにもかかわらず腹痛が続く
    • 特に子どもや若年者に多い
  4. その他のストレス関連消化器症状
    • 胃食道逆流症(GERD)の症状悪化
    • 消化性潰瘍の発症・再発
    • 炎症性腸疾患の症状増悪

3.日常生活での対策

  1. ストレス管理
    • 自分に合ったリラクセーション法を見つける(深呼吸、瞑想、ヨガなど)
    • 十分な睡眠と休息を確保する
    • 趣味や運動など気分転換できる活動を取り入れる
    • タイムマネジメントを工夫し、過度な負担を避ける
  2. 食生活の見直し
    • 規則正しい食事時間を心がける
    • ゆっくり、よく噛んで食べる
    • 刺激物(辛い食品、アルコール、カフェインなど)を控える
    • 自分が症状を悪化させる食品があれば避ける
  3. 生活習慣の改善
    • 適度な運動を習慣にする(特に有酸素運動)
    • 腹部を温める(温めると腸の血流が改善し、筋肉の緊張も緩和される)
    • 腹式呼吸や腹部のセルフマッサージを取り入れる
    • 排便習慣を整える(トイレを我慢しない)
  4. 症状が出たときの対処法
    • 無理に食事をとらず、消化のよいものを少量ずつ
    • 横になって腹部を温める
    • リラクセーション法を実践する
    • 緊急性の高い症状(激痛、血便など)がある場合は速やかに医療機関を受診

4.いつ受診すべき?

  • 腹痛が強く、日常生活に支障がある
  • 腹痛に加えて体重減少、発熱、血便などがある
  • 夜間に痛みで目が覚める
  • 症状が長期間(1ヶ月以上)続いている
  • 市販の胃腸薬で改善しない
  • 腹痛の頻度や強さが増している
  • 過去に消化器疾患の診断を受けたことがある方で症状が再発した場合

器質的疾患(炎症や腫瘍など)の可能性を除外するためにも、気になる症状があれば早めに受診することをお勧めします。

5.診察・検査で何がわかる?

  1. 問診と診察
    • 腹痛の部位、性質、誘因、持続時間などの詳細な評価
    • ストレス状況や生活習慣の確認
    • 腹部の触診や聴診
  2. 基本的な検査
    • 血液検査(炎症反応、貧血の有無など)
    • 尿検査
    • 便検査(潜血など)
  3. 必要に応じた精密検査(連携医療機関でのご案内)
    • 腹部超音波検査
    • 胃カメラや大腸カメラ
    • CT検査やMRI検査
    • 呼気試験(小腸内細菌過剰増殖やピロリ菌の検査)

これらの検査により、器質的疾患と機能性疾患を鑑別し、適切な治療方針を決定します。

6.すみだ両国まちなかクリニックでのサポート

すみだ両国まちなかクリニックでは、ストレスによる腹痛に対し、以下のような診療を行っています。

  1. 丁寧な問診と診察
    • 症状の詳細な評価(腹痛のパターン、誘因、関連症状など)
    • ストレス要因や心理社会的背景の確認
    • 食生活や生活習慣の詳細な聞き取り
    • 器質的疾患を示唆する警告徴候の確認
  2. 基本的な検査
    • 血液検査(炎症マーカー、貧血、肝機能、腎機能など)
    • 尿検査
    • 便検査(必要に応じて)
  3. 治療とケア
    • 症状の程度や原因に応じた治療計画
    • 腸管機能改善薬や抗コリン薬などの薬物療法(必要に応じて)
    • 腸内環境を整える薬剤(プロバイオティクスなど)の検討
    • 生活習慣改善のための具体的アドバイス
    • ストレス対処法の指導
    • 食事指導(症状を悪化させる食品の特定と回避法)
  4. 専門医療機関との連携
    • 内視鏡検査や画像検査が必要な場合は、連携医療機関をご紹介
    • 専門的な治療が必要な消化器疾患が疑われる場合は、消化器専門医へのご紹介
    • 心理的要因が強く関与している場合は、心療内科や精神科との連携
    • 栄養指導が必要な場合は、専門の栄養士をご紹介
  5. 継続的なフォローアップ
    • 症状の経過観察と治療効果の評価
    • 生活習慣改善の進捗確認
    • ストレス管理法の習得サポート
    • 症状の変化に応じた治療計画の見直し

ストレスによる腹痛は「気のせい」ではなく、実際の身体症状です。すみだ両国まちなかクリニックでは、心と体の両面からアプローチし、患者さん一人ひとりの状況に合わせた対応を行います。

7.まとめ

  • ストレスによる腹痛は脳と腸の密接な関係(脳腸相関)から生じる実在の症状
  • 過敏性腸症候群などの機能性消化管障害として診断されることも多い
  • ストレス管理、食生活の見直し、生活習慣の改善が基本的な対策
  • 持続する症状や警告徴候がある場合は、器質的疾患の可能性も考慮し医療機関を受診
  • すみだ両国まちなかクリニックでは、身体面と心理面の両方を考慮した総合的なケアを提供

「ストレスからくる症状だから仕方ない」と諦めず、適切な対策と治療で症状の改善を目指しましょう。お気軽にご相談ください。

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