小児科症状
激しい咳が夜間に悪化する
「夜になると子どもの咳がひどくなる」「夜中に咳で何度も起きてしまう」
お子さまの咳が夜間に悪化すると、お子さま自身も辛いですし、ご家族も十分な睡眠が取れず心配が募ります。夜間に悪化する咳には様々な原因があります。適切な診断と対処法を知ることで、お子さまの症状を和らげ、家族全体の睡眠の質を改善することができます。
夜間に咳が悪化する主な原因
小児の夜間に悪化する咳の主な原因には以下のようなものがあります:
- 気管支喘息(ぜんそく)
- 夜間から明け方にかけて気道が狭くなりやすく、咳や呼吸困難が生じる
- 「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった喘鳴を伴うことが多い
- 運動後や風邪をきっかけに症状が悪化することがある
- 感染症
- RSウイルス感染症(細気管支炎)
- マイコプラズマ肺炎
- 百日咳
- クループ症候群(犬吠え様咳嗽)
- アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎
- 鼻水が喉に落ちることで咳が誘発される(後鼻漏)
- 横になると鼻づまりが悪化し、口呼吸になることで喉が乾燥して咳が増える
- 胃食道逆流症(GERD)
- 寝ている状態で胃酸が食道に逆流することで咳が誘発される
- 授乳後すぐに横にするとリスクが高まる
- 心因性咳嗽
- 精神的なストレスが影響して咳が出る
- 特に就寝前や学校など特定の状況で症状が悪化することがある
夜間咳嗽の特徴と観察ポイント
お子さまの咳について、以下のポイントをチェックしておくと診断の助けになります:
- 咳の音や特徴
- 乾いた咳か、痰を伴う湿った咳か
- 金属音のような「犬の吠える」ような咳(クループの特徴)
- 「コンコン」と連続する発作的な咳(百日咳の特徴)
- 「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という音(喘息の特徴)
- 咳の持続期間
- 1週間以内の急性の咳
- 2〜4週間続く遷延性の咳
- 4週間以上続く慢性の咳
- 随伴症状
- 発熱の有無や程度
- 鼻水・鼻づまりの有無
- 呼吸困難や息切れの有無
- 食欲や活動性の変化
- 悪化する要因
- 寒冷刺激、運動後、特定の環境での悪化
- アレルゲン(ハウスダスト、ペット、花粉など)への暴露
受診すべきタイミング
以下のような場合は、早めに医療機関を受診しましょう:
- 呼吸が苦しそう、呼吸が速い、肋骨の間がへこむ
- 顔色が悪い、唇が青白い
- ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音がある
- 高熱(38.5度以上)を伴う
- 夜間の咳で何度も起きる状態が続いている
- 2週間以上咳が続いている
- 食事や水分が取れない
- いつもより元気がない、ぐったりしている
特に乳幼児の呼吸器症状は急速に悪化することがあるため、心配な場合はすぐに受診してください。
家庭でできること
医療機関を受診するまでの間、ご家庭でできることがあります:
- 寝室の環境を整える
- 適切な湿度(50〜60%)を保つ(加湿器の使用)
- 寝室の温度は18〜20度程度に保つ
- ハウスダストを減らす(定期的な掃除、寝具の洗濯)
- 睡眠姿勢の工夫
- 上半身をやや高くして寝かせる(特に逆流性の咳の場合に効果的)
- 乳児の場合は医師に相談の上で対応する
- 水分補給
- のどの乾燥を防ぐため、こまめに水分を与える
- 温かい飲み物(白湯など)も効果的
- 入浴の効果を利用
- 入浴時の湯気で一時的に症状が和らぐことがある
- 寝る前の入浴で気道を潤す
- 薬の適切な使用
- 医師に処方された薬は指示通りに使用する
- 特に吸入薬や喘息の薬は就寝前の使用が重要なことが多い
すみだ両国まちなかクリニックでのサポート
当院では、お子さまの夜間に悪化する咳について以下のような診察・検査を行っています:
- 詳しい問診と身体診察
- 咳の特徴、発症状況、家族歴など詳細な情報収集
- 呼吸音の聴診、呼吸状態の評価
- 必要に応じた検査
- 感染症検査(インフルエンザ、RSウイルスなど)
- 必要に応じて血液検査(アレルギー素因や炎症反応の確認)
- 発熱を伴う場合の迅速検査
- 最新の検査機器「ID NOW」を導入
- 陽性の場合は最短5分、陰性でも13分以内に結果が得られます
- PCR検査と同等の精度を持ち、陽性一致率93.3%、陰性一致率98.4%と報告されています
- 鼻腔からの検体採取で、侵襲性が低く、検査時の不快感を最小限に抑えます
- 適切な治療方針の提案
- 原因に応じた適切な治療法の提案
- 夜間の咳を軽減するための具体的なアドバイス
- 生活環境の改善についての指導
- 経過観察とフォローアップ
- 治療効果の確認と必要に応じた治療内容の調整
- 慢性的な咳の場合は定期的なフォロー
専門医療機関との連携
当院で対応が難しい場合や、より詳しい検査が必要な場合は、連携医療機関をご紹介します:
- エコー、CT、MRI、レントゲン、心電図検査、肺機能検査などが必要な場合
- 気管支喘息の重症例や管理が難しい場合
- 精査が必要な慢性咳嗽の場合
- 入院治療が必要な場合
予防と長期管理
夜間の咳を予防・管理するためのポイント:
- アレルギー対策
- アレルゲン(ハウスダスト、ダニ、ペットの毛など)の除去
- 寝具の定期的な洗濯、部屋の清掃
- 生活環境の整備
- 適切な室温と湿度の維持
- 受動喫煙の回避(家庭内での禁煙)
- 予防接種
- インフルエンザワクチンなど、呼吸器感染症の予防接種を検討
- 規則正しい生活
- 十分な睡眠時間の確保
- バランスの良い食事と適度な運動
まとめ
- 小児の夜間に悪化する咳には様々な原因があります
- 咳の特徴や随伴症状を観察することが診断の助けになります
- 呼吸困難や高熱を伴う場合は早急に受診しましょう
- すみだ両国まちなかクリニックでは、適切な診断と治療、必要に応じた専門医療機関への紹介を行っています
お子さまの夜間の咳でお悩みの際は、すみだ両国まちなかクリニックまでお気軽にご相談ください。適切な診断と対処法で、お子さまの症状改善と家族全体の安心した睡眠をサポートします。