小児科症状
皮膚の乾燥と掻きむしった跡
「子どもの肌が乾燥してカサカサしている」「かゆがって掻きむしり、傷ができてしまった」
お子さまの皮膚が乾燥し、かゆみから掻きむしってしまうと、皮膚のバリア機能が低下し、さらなる乾燥や炎症を招く悪循環に陥りがちです。乾燥肌や掻きむしりの背景には、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患が隠れていることもあります。早めの対応でお子さまの不快感を和らげ、皮膚トラブルの悪化を防ぎましょう。
子どもの皮膚乾燥の主な原因
小児の皮膚乾燥には様々な原因があります:
- 生理的な要因
- 子どもの皮膚は大人より薄く、水分保持能力が低い
- 特に乳児は皮脂の分泌が少なく、乾燥しやすい
- 環境要因
- 乾燥した季節(冬場や空調の効いた室内)
- 頻繁な入浴や長時間の入浴
- 刺激の強いソープや洗剤の使用
- 皮膚疾患
- アトピー性皮膚炎
- 脂漏性皮膚炎
- 魚鱗癬(うおりんせん)などの角化症
- 全身疾患
- 甲状腺機能低下症
- 栄養不良や特定の栄養素の欠乏
- 亜鉛不足
アトピー性皮膚炎との関連
小児の皮膚乾燥で最も多い疾患はアトピー性皮膚炎です:
- アトピー性皮膚炎の特徴
- 慢性的に繰り返す湿疹
- 強いかゆみ
- 乾燥肌
- 年齢によって好発部位が変わる(乳児期は頬や額、幼児期以降は関節の曲げ伸ばし部分など)
- アトピーのかゆみ・掻破のサイクル
- 皮膚バリア機能の低下 → 乾燥・アレルゲン侵入 → かゆみ → 掻破 → さらなるバリア機能低下
- このサイクルを断ち切ることが治療の基本
- アトピー性皮膚炎と他のアレルギー疾患との関連
- 気管支喘息
- アレルギー性鼻炎
- 食物アレルギー
掻きむしりによる皮膚トラブル
掻きむしりが続くと、以下のような皮膚トラブルを引き起こします:
- 皮膚の肥厚化(苔癬化)
- 慢性的な掻破により、皮膚が厚く硬くなる
- 色素沈着を伴うことも
- 二次感染
- 掻きむしりによる傷から細菌感染(とびひなど)
- ウイルス感染(カポジ水痘様発疹症など)
- 掻破痕と色素沈着
- 傷の治癒後に色素沈着が残ることがある
- 時間とともに薄くなることが多いが、完全に消えるまで数カ月かかることも
受診すべきタイミング
以下のような場合は医療機関を受診しましょう:
- 強いかゆみで睡眠が妨げられる
- 広範囲に皮膚の乾燥や湿疹がある
- 掻きむしった部分が赤く腫れ、熱を持っている(感染の疑い)
- 掻きむしりで出血している
- 乾燥や湿疹が通常のスキンケアで改善しない
- アトピー性皮膚炎の家族歴がある
家庭でできるスキンケア
毎日のスキンケアが子どもの乾燥肌対策の基本です:
- 入浴方法の工夫
- ぬるめのお湯(38〜40度)で短時間(10分程度)の入浴
- 刺激の少ない弱酸性の石鹸やボディソープを使用
- ゴシゴシこすらず、優しく洗う
- 保湿ケア
- 入浴後、軽くタオルで水分を拭き取り、すぐに保湿剤を塗る(3分ルール)
- 子ども用の低刺激な保湿剤を選ぶ
- 特に乾燥しやすい部位(頬、四肢の外側など)は念入りに
- 掻きむしり対策
- 爪を短く切る
- 綿素材の衣類を選び、肌への刺激を減らす
- 夜間の掻きむしり防止に綿の手袋をはめる
- 乳児の場合はミトンや長袖の服で保護
- 環境調整
- 室内の湿度を50〜60%に保つ(加湿器の使用)
- 毛布や羽毛布団など刺激になるものを避ける
- こまめに掃除し、ダニやほこりを減らす
すみだ両国まちなかクリニックでのサポート
当院では、皮膚の乾燥と掻きむしりでお悩みのお子さまに対して以下のような診察・治療を行っています:
- 詳しい問診と診察
- 皮膚の状態の詳細な評価
- アレルギー歴や家族歴の確認
- 生活環境や現在のスキンケア方法の確認
- 必要に応じた検査
- アレルギー検査(必要に応じて)
- 皮膚の状態確認
- 二次感染の疑いがある場合の検査
- 適切な治療
- 症状に合わせた外用薬の処方(ステロイド外用薬、保湿剤など)
- かゆみに対する内服薬(抗ヒスタミン薬など)
- 二次感染がある場合の抗菌薬
- 生活指導
- 年齢やライフスタイルに合わせたスキンケア指導
- アレルゲン回避の方法
- 食事や栄養に関するアドバイス
- 継続的なフォローアップ
- 症状の経過観察
- 治療計画の調整
- 季節の変わり目など症状が悪化しやすい時期の対策
専門医療機関との連携
当院で対応が難しい場合や、より専門的な検査・治療が必要な場合は、連携医療機関をご紹介します:
- 重症のアトピー性皮膚炎
- 標準治療で改善しない難治性の皮膚疾患
- 他の皮膚疾患(魚鱗癬など)が疑われる場合
- 全身管理が必要な場合
予防と長期的なケア
乾燥肌や掻きむしりの予防と長期的なケアのポイント:
- 日常的な保湿ケアの習慣化
- 症状がない時期も継続する
- 特に季節の変わり目や乾燥する冬場は念入りに
- 適切な衣類選び
- 綿やシルクなど通気性の良い素材
- 洗濯の際は十分にすすぎ、柔軟剤の使用を控える
- バランスの良い食事
- 必須脂肪酸(青魚、ナッツ類など)
- ビタミンやミネラルを豊富に含む食品
- 過度な食物制限は栄養不足を招くため、医師と相談の上で
- ストレス管理
- 十分な睡眠
- リラックスできる環境づくり
- 年齢に応じたストレス発散法
まとめ
- 子どもの皮膚は乾燥しやすく、掻きむしりによる悪循環に陥りやすい
- アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患が背景にあることも多い
- 毎日の適切なスキンケアが症状改善の基本
- すみだ両国まちなかクリニックでは、お子さまの年齢や症状に合わせた診断と治療、生活指導を行っています
お子さまの皮膚の乾燥や掻きむしりでお悩みの際は、すみだ両国まちなかクリニックまでご相談ください。早期の適切な対応で、お子さまの快適な生活をサポートいたします。