小児科症状
かゆみを伴う水ぶくれが出現
「子どもの体に水ぶくれができて、かゆがっている」「水疱が次々と広がっていく」
お子さまの体にかゆみを伴う水ぶくれ(水疱)が出現すると、保護者の方は心配になりますよね。小児期のかゆみを伴う水疱は、水痘(水ぼうそう)などの感染症やアレルギー反応など、様々な原因で生じます。早期の適切な対応で、お子さまの苦痛を和らげ、重症化や合併症を防ぐことが重要です。
かゆみを伴う水疱の主な原因
小児期にかゆみを伴う水疱が出現する主な原因には以下のようなものがあります:
- 水痘(水ぼうそう)
- 水痘・帯状疱疹ウイルスによる感染症
- 全身に発疹が出現し、赤い斑点→水疱→かさぶたへと変化
- 強いかゆみを伴う
- とびひ(伝染性膿痂疹)
- 細菌(黄色ブドウ球菌、溶連菌など)による皮膚感染症
- 最初は小さな水疱から始まり、破れると黄色いかさぶたになる
- かゆみがあり、掻くことで他の部位へ広がる
- アトピー性皮膚炎の症状悪化
- 乾燥や炎症による小水疱が生じることもある
- 慢性的なかゆみと湿疹
- 虫刺され
- 蚊やダニなどの刺咬による局所的な水疱
- 刺された部位を中心に強いかゆみ
- 接触性皮膚炎
- 特定の物質(植物、化学物質など)との接触による反応
- 接触部位に一致した発疹と水疱
- ヘルペス感染症
- 単純ヘルペスウイルスによる感染
- 集簇した小水疱が特徴
- 痛みを伴うことが多い
水痘(水ぼうそう)の特徴
かゆみを伴う水疱の中でも最も多い水痘について詳しく説明します:
- 症状の特徴
- 発熱(軽度から中等度)
- 発疹は全身に出現(頭皮、体幹に多く、手足にも)
- 「星の満ちる如く」と表現される、段階の異なる発疹(赤い斑点、水疱、かさぶた)が混在
- 強いかゆみ
- 感染経路
- 飛沫感染(咳やくしゃみ)
- 水疱内の液体との直接接触
- 経過
- 潜伏期間:14〜21日
- 発疹出現前後に軽度の発熱
- 発疹は数日間かけて次々と出現し、7〜10日でほぼ全てがかさぶたになる
- 合併症
- 二次感染(細菌感染)
- 肺炎
- 脳炎(稀)
- 特に免疫不全児や新生児では重症化リスクが高い
とびひ(伝染性膿痂疹)の特徴
- 症状の特徴
- 最初は小さな水疱や紅斑から始まる
- 水疱が破れると、黄色いかさぶたを形成
- かゆみがあり、掻くことで菌が広がる
- 顔や手足によく見られる
- 感染経路
- 直接接触
- タオルなどの共用
- リスク因子
- 皮膚の傷(虫刺され、擦り傷など)
- アトピー性皮膚炎
- 暑い季節(夏に多い)
受診すべきタイミング
以下のような場合は医療機関を受診しましょう:
- 広範囲に水疱が広がっている
- 高熱(38.5度以上)を伴う
- 水疱の周囲が赤く腫れて痛みがある(二次感染の疑い)
- 水疱の内容が濁っている、黄色い膿がたまっている
- 水疱が顔面・目の周りにある
- 強いかゆみで睡眠が妨げられる
- 全身状態が悪い(ぐったり、食欲低下など)
- 基礎疾患がある(アトピー性皮膚炎、免疫不全など)
家庭でできるケア
医療機関を受診するまでの間、ご家庭でできるケアがあります:
- 清潔を保つ
- ぬるめのお湯で優しく体を洗う
- 刺激の少ない石鹸を使用する
- タオルは個人専用にする
- かゆみへの対応
- 爪を短く切り、掻きむしらないようにする
- 冷たいタオルで冷やすと一時的にかゆみが和らぐ
- 綿の柔らかい服を着せる
- 感染拡大防止
- こまめな手洗い
- タオルや寝具の共用を避ける
- 兄弟姉妹との密接な接触を避ける
- 水疱を潰さないように注意
- 水疱を潰すと二次感染のリスクが高まる
- 自然に乾燥するのを待つ
すみだ両国まちなかクリニックでのサポート
当院では、かゆみを伴う水疱が出現したお子さまに対して以下のような診察・治療を行っています:
- 詳しい問診と診察
- 発症の経過、接触歴、既往歴などの確認
- 発疹の特徴、分布パターンの評価
- 原因疾患の鑑別診断
- 必要に応じた検査
- 水疱内容物の検査(必要に応じて)
- 発熱を伴う場合の検査
- 発熱を伴う場合の迅速検査
- 最新の検査機器「ID NOW」を導入
- 陽性の場合は最短5分、陰性でも13分以内に結果が得られます
- PCR検査と同等の精度を持ち、陽性一致率93.3%、陰性一致率98.4%と報告されています
- 鼻腔からの検体採取で、侵襲性が低く、検査時の不快感を最小限に抑えます
- 適切な治療
- 原因に応じた治療法の提案
- 水痘:抗ウイルス薬(重症例や合併症リスクが高い場合)
- とびひ:抗菌薬(内服または外用)
- アレルギー反応:抗ヒスタミン薬、ステロイド外用薬
- かゆみを抑える薬の処方
- 二次感染予防のための指導
- 原因に応じた治療法の提案
- 生活指導
- スキンケアのアドバイス
- 感染拡大防止の方法
- 保育園・幼稚園の登園目安についての説明
専門医療機関との連携
当院で対応が難しい場合や、より専門的な検査・治療が必要な場合は、連携医療機関をご紹介します:
- 重症の水痘(多数の水疱、高熱、合併症など)
- 広範囲のとびひで全身症状を伴う場合
- アトピー性皮膚炎の重症例
- 診断が困難な皮膚疾患
- 入院治療が必要と判断される場合
予防法
水疱を伴う疾患の予防方法:
- 水痘の予防
- 水痘ワクチン接種(1歳以降に定期接種)
- 感染者との接触を避ける
- とびひの予防
- 皮膚を清潔に保つ
- 虫刺されなどの小さな傷も適切に処置する
- タオルなどの共用を避ける
- アトピー性皮膚炎の管理
- 日常的な保湿ケア
- 悪化因子を避ける
- 早期の適切な治療
登園・登校の目安
疾患ごとの登園・登校の目安:
- 水痘(水ぼうそう)
- 全ての発疹がかさぶたになるまで出席停止(通常は発疹出現後約1週間)
- 学校保健安全法で出席停止期間が定められている
- とびひ(伝染性膿痂疹)
- 医師が感染のおそれがないと認めるまで
- 軽症の場合は、患部を被覆すれば登園・登校可能なことも
- その他のアレルギー性の水疱
- 全身状態が良好で、集団生活に支障がなければ登園・登校可能
まとめ
- 小児期のかゆみを伴う水疱は、水痘やとびひなどの感染症が代表的
- 原因によって治療法が異なるため、適切な診断が重要
- 掻くことで二次感染や症状の拡大を招くことがあるため、かゆみのコントロールが大切
- 水痘は予防接種で予防可能な疾患なので、定期接種を受けることをお勧め
- 皮膚の清潔保持と早期受診が重症化予防の鍵
お子さまのかゆみを伴う水疱でお困りの際は、すみだ両国まちなかクリニックまでご相談ください。適切な診断と治療で、お子さまの苦痛を和らげ、早期回復をサポートいたします。