小児科症状
手足と口の中に水疱ができた
「子どもの手のひらや足の裏に赤い発疹ができた」「口の中に痛そうな水ぶくれがあり、食事を嫌がる」
お子さまの手足や口の中に水疱(水ぶくれ)ができた場合、「手足口病」の可能性が高いでしょう。手足口病は夏から秋にかけて流行するウイルス感染症で、乳幼児や小児に多く見られます。症状の特徴や対処法を知ることで、お子さまの苦痛を和らげるための適切なケアができます。
手足口病の特徴
手足口病は主にコクサッキーウイルスやエンテロウイルスによって引き起こされる感染症です:
- 好発年齢
- 主に5歳以下の乳幼児に多い
- 特に1〜3歳児に多く見られる
- 流行時期
- 主に夏から秋にかけて流行(6〜10月)
- 年によって流行の大きさが異なる
- 感染経路
- 感染者の咳やくしゃみによる飛沫感染
- 水疱や便に含まれるウイルスとの接触感染
- 保育園や幼稚園で集団発生することが多い
主な症状
手足口病の典型的な症状は以下の通りです:
- 皮膚症状
- 手のひら、足の裏、指などに小さな水疱や発疹
- 水疱は2〜3mmほどの大きさで、周りが赤く縁取られている
- かゆみはあまりなく、痛みも軽度
- 口腔内症状
- 口の中(舌、頬の内側、歯茎など)に水疱や潰瘍
- 口内炎のような痛みがあり、食事や飲水を嫌がることも
- 全身症状
- 軽度の発熱(38度前後)
- 倦怠感、食欲不振
- 機嫌が悪くなる
- その他
- まれにお尻やひざなどにも発疹が見られることがある
- 爪が剥がれることがある(発症後1〜2ヶ月)
経過と予後
手足口病の一般的な経過は以下の通りです:
- 潜伏期間
- 感染から発症までは3〜6日
- 症状の持続期間
- 発熱は1〜3日程度で解熱することが多い
- 発疹や水疱は3〜7日程度で徐々に消退
- 口内の潰瘍は痛みを伴い、7〜10日程度続くことも
- 予後
- 多くの場合、合併症なく自然治癒する
- まれに髄膜炎や脳炎、心筋炎などの合併症を起こすことがある
手足口病と似た疾患との違い
手足口病に似た症状を呈する疾患との違いを理解しておくことも重要です:
- ヘルパンギーナ
- のどの奥(扁桃や軟口蓋)に水疱や潰瘍ができる
- 手足には発疹が見られない
- 同じウイルス(コクサッキーウイルスなど)が原因
- 水痘(水ぼうそう)
- 全身に発疹が出現し、かゆみが強い
- 発疹は赤い斑点→水疱→かさぶたの順に変化する
- 水疱はつぶれやすく、様々な段階の発疹が混在する
受診すべきタイミング
以下のような場合は医療機関を受診しましょう:
- 高熱(38.5度以上)が続く
- 水分摂取が極端に少ない、脱水症状がある
- 強い頭痛や嘔吐を伴う
- けいれんがある
- 異常な眠気や意識レベルの低下がある
- 発疹が非常に広範囲に広がる
- 症状が1週間以上改善しない
家庭でできるケア
手足口病の症状を和らげるためにご家庭でできるケアがあります:
- 水分補給
- 口内炎があると飲食が痛いため、こまめな水分補給を心がける
- 冷たい飲み物、アイスクリーム、シャーベットなどが食べやすいことも
- 食事の工夫
- 刺激の少ない柔らかい食事(おかゆ、スープなど)
- 熱いものや辛いものは避ける
- 酸味の強いものは痛みを増強するため避ける
- 口腔内のケア
- うがいができる年齢なら、食後に口をすすぐ
- 医師の指示があれば口腔内の痛み止めジェルを使用
- 発熱対策
- 熱が高い場合は、医師の指示に従った解熱剤の使用
- 室温管理と適切な衣服で体温調節を助ける
- 感染拡大防止
- こまめな手洗い
- タオルや食器の共用を避ける
- おむつ交換後の手洗いを徹底する
すみだ両国まちなかクリニックでのサポート
当院では、手足口病が疑われるお子さまに対して以下のような診察・治療を行っています:
- 詳しい問診と診察
- 発疹や水疱の特徴、分布の確認
- 口腔内の状態確認
- 全身状態の評価
- 必要に応じた検査
- ウイルス感染症の可能性を評価
- 発熱や全身状態に応じた検査
- 発熱を伴う場合の迅速検査
- 最新の検査機器「ID NOW」を導入
- 陽性の場合は最短5分、陰性でも13分以内に結果が得られます
- PCR検査と同等の精度を持ち、陽性一致率93.3%、陰性一致率98.4%と報告されています
- 鼻腔からの検体採取で、侵襲性が低く、検査時の不快感を最小限に抑えます
- 対症療法と生活指導
- 発熱や痛みに対する適切な薬の処方
- 水分・栄養摂取の工夫についてのアドバイス
- 感染拡大防止のための指導
- 保育園・幼稚園の登園目安についての説明
- 合併症への注意と経過観察
- 重症化のサインについての説明
- 必要に応じた再診の調整
専門医療機関との連携
重症例や合併症が疑われる場合は、連携医療機関をご紹介します:
- 脳炎・髄膜炎などの中枢神経合併症が疑われる場合
- 重度の脱水で点滴が必要な場合
- 心筋炎など重篤な合併症が疑われる場合
- 入院治療が必要と判断される場合
登園・登校の目安
手足口病の登園・登校については以下を目安にしてください:
- 発熱や口内の痛みなど全身状態が落ち着いていれば登園・登校は可能です
- ただし、水疱が乾燥してかさぶたになるまで感染力があるため、手洗いなどの衛生管理を徹底する必要があります
- 保育園や学校の方針に従ってください
予防法
手足口病を予防するための方法:
- 手洗いの徹底
- 外出後、食事前、トイレ後の手洗い
- 石鹸と流水での丁寧な手洗い
- 環境の清潔保持
- おもちゃや共用物品の定期的な消毒
- タオルや食器の共用を避ける
- 感染者との接触制限
- 発症している子どもとの密接な接触を避ける
- 流行期には人混みを避ける
まとめ
- 手足口病は夏から秋に流行するウイルス感染症で、主に乳幼児がかかる
- 手のひら、足の裏、口の中に特徴的な水疱や発疹が出現する
- 多くは自然治癒するが、水分摂取困難や高熱が続く場合は受診が必要
- 口内炎による痛みで食事や水分摂取が難しくなるため、家庭での工夫が重要
- すみだ両国まちなかクリニックでは、症状の緩和と合併症予防のための適切なサポートを提供
お子さまの手足や口内に水疱ができてお困りの際は、すみだ両国まちなかクリニックまでご相談ください。適切な診断と症状緩和のためのアドバイスを提供し、お子さまの回復をサポートいたします。