頻繁に腹痛を訴える
「子どもがよく『お腹が痛い』と言う」「学校に行く前になると決まってお腹を痛がる」
お子さまが頻繁に腹痛を訴える場合、実際の消化器系の問題から心理的な要因まで、様々な原因が考えられます。小児の腹痛は一過性のものが多いですが、繰り返し発生する場合や、日常生活に支障をきたす場合は適切な評価が必要です。このページでは、小児が頻繁に訴える腹痛の原因や対処法、受診すべきタイミングについてご説明します。
1.小児が頻繁に腹痛を訴える主な原因
- 機能性腹痛
- 検査をしても明らかな異常が見つからない腹痛
- 過敏性腸症候群、機能性ディスペプシア、腹部片頭痛などが含まれる
- 小児の反復性腹痛の最も一般的な原因
- 消化器系の問題
- 便秘:最も多い原因の一つ
- 急性胃腸炎:ウイルス性、細菌性
- 食物不耐症:乳糖不耐症など
- 消化性潰瘍:胃や十二指腸の潰瘍
- 炎症性腸疾患:クローン病、潰瘍性大腸炎
- セリアック病(グルテン感受性腸症)
- 心理的・社会的要因
- 学校や人間関係のストレス
- 不安、緊張
- 分離不安(親と離れることへの不安)
- 家庭内の問題
- その他の身体的要因
- 泌尿器系疾患:尿路感染症、腎結石
- 婦人科疾患(思春期の女児):月経痛、卵巣嚢腫
- 腸重積(特に乳幼児)
- 虫垂炎(盲腸)
- アレルギー疾患:食物アレルギーなど
- 腹部の外傷
2.緊急性を判断するポイント
以下のような症状を伴う腹痛は、緊急性が高い可能性があります。以下の症状がある場合は早急に医療機関を受診してください:
- 激しい、持続する腹痛
- 腹痛の部位が右下腹部に移動(虫垂炎の可能性)
- 嘔吐や下痢が激しく、脱水症状がある
- 血便や黒色便
- 発熱(38℃以上)
- 腹部が硬い、触ると強く痛がる
- 歩くのが困難なほどの痛み
- 腹部が膨らむ
- 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)
- 尿が濃い色や、尿をするときに痛みがある
3.反復性腹痛の特徴的なパターン
以下のような特徴的なパターンから、原因を推測することがあります:
- 学校や保育園に行く前に起こる腹痛
- 心理的なストレスや不安が関連している可能性
- 週末や休日には症状が軽減または消失することが多い
- 食事と関連する腹痛
- 食後に発生する場合:消化不良、胃酸過多、食物不耐症
- 特定の食品摂取後:食物アレルギーや不耐症
- 夜間に悪化する腹痛
- 消化性潰瘍、胃食道逆流症などの可能性
- 排便に関連する腹痛
- 便秘や下痢を伴う:過敏性腸症候群、炎症性腸疾患
- 周期的に繰り返す腹痛
- 腹部片頭痛:数時間〜数日持続し、間欠期には完全に無症状
4.ご家庭でできる対応
緊急性の兆候がなく、軽度〜中等度の腹痛の場合は、以下の対応が役立つことがあります:
- 安静と休息
- 横になって休ませる
- 腹部を温める(温湿布など)
- 水分補給
- 少量ずつこまめに水分を与える
- 脱水を防ぐ
- 食事の調整
- 胃に優しい食事(おかゆ、うどんなど消化の良いもの)
- 脂っこいものや刺激物を避ける
- 排便習慣の改善(便秘が関連している場合)
- 規則的なトイレ習慣
- 食物繊維を含む食品の摂取
- 十分な水分摂取
- ストレス軽減
- リラクゼーション技法の指導
- 子どもの話をよく聞く
- 安心感を与える
ただし、これらの対応で改善しない場合や、症状が繰り返し発生する場合は、医療機関での評価が必要です。
5.受診すべきタイミング
以下のような場合は、医療機関への受診をお勧めします:
- 前述の緊急性を判断するポイントに挙げた症状がある場合は直ちに受診
- 腹痛が頻繁に繰り返し(月に3回以上など)発生する
- 痛みのために学校や普段の活動に参加できない
- 体重減少がある
- 夜間に痛みで目が覚める
- 家族歴に炎症性腸疾患、セリアック病などがある
- 対処法を試しても症状が改善しない
特に小さなお子さまは症状を正確に訴えることができないため、様子がいつもと違う場合は早めの受診をお勧めします。
6.すみだ両国まちなかクリニックでのサポート
当院では、頻繁に腹痛を訴えるお子さまに対して以下の診療を行っています:
- 詳細な問診と診察
- 痛みの性質、部位、頻度、持続時間
- 関連する症状(嘔吐、下痢、発熱など)
- 症状と食事・排便・活動・ストレスとの関連性
- 家族歴、既往歴の確認
- 成長・発達の評価
- 腹部の丁寧な診察
- 必要に応じた検査
- 血液検査
- 尿検査
- 便検査
- 診断と治療計画
- 状況に応じた適切な治療法の提案
- 生活習慣の改善アドバイス
- 必要に応じた薬物療法
- フォローアップ計画の立案
- 心理的サポート
- ストレスや不安に関連する腹痛の場合の対応方法
- 学校や家庭での対処法の指導
より詳細な評価が必要と判断された場合や、専門的な検査(エコー、内視鏡など)が必要な場合は、連携医療機関(小児消化器専門医など)をご紹介いたします。また、心理的要因が強い場合には、適切な専門家との連携も行います。
7.機能性腹痛について
機能性腹痛は、検査で明らかな異常がなく説明できない腹痛で、小児の反復性腹痛の大部分を占めます:
- 特徴
- 3ヶ月以上続く腹痛
- 週に少なくとも1回以上の頻度
- 日常生活に支障をきたす程度の痛み
- 器質的疾患が見つからない
- 対処法
- 規則正しい生活習慣
- バランスの良い食事
- ストレス管理
- 場合によっては薬物療法
- 予後
- 多くの場合、時間とともに改善
- 適切な対応で学校生活などへの影響を最小限にできる
8.心理社会的要因と腹痛
心理的なストレスは自律神経系を通じて腸管の感覚や運動に影響を与え、腹痛を引き起こす可能性があります:
- 関連する状況
- 学校でのプレッシャー(テスト、人間関係)
- 家庭内の変化や問題(引っ越し、両親の不和、家族の病気など)
- 過去のトラウマ体験
- 対応策
- オープンなコミュニケーション
- 子どもの気持ちを受け止め、理解する
- 適切なストレス対処法の習得
- 必要に応じて専門家への相談
9.予防と日常生活での注意点
反復性腹痛の予防や管理に役立つポイントです:
- 規則正しい食生活
- 規則的な食事時間
- バランスの良い食事内容
- 過食を避ける
- 適切な排便習慣
- 規則的なトイレタイム(特に朝食後)
- 十分な水分摂取
- 食物繊維の適切な摂取
- 適度な身体活動
- 毎日の適度な運動
- 腹部の筋肉強化
- ストレス管理
- 十分な睡眠
- リラクゼーション技法の習得
- 趣味や楽しい活動の時間確保
- 腹痛日記
- 症状と食事、活動、ストレスとの関連性を記録
- パターンの把握による予防
10.まとめ
- 小児の頻繁な腹痛は、消化器系の問題から心理社会的要因まで様々な原因がある
- 緊急性を示す症状(激しい痛み、嘔吐、血便など)がある場合は早急に医療機関を受診
- 繰り返す腹痛でも、多くは機能性腹痛などの良性疾患であることが多い
- 適切な生活習慣と心理社会的サポートが症状改善に役立つ
- すみだ両国まちなかクリニックでは詳細な評価と適切な初期対応、必要に応じた専門医への紹介を行います
お子さまが頻繁に腹痛を訴える場合は、すみだ両国まちなかクリニックにご相談ください。適切な評価と対応を行い、お子さまの生活の質の向上を支援します。