突然の激しい頭痛と嘔吐
「子どもが急に『頭が痛い』と訴えて吐いた」「今まで経験したことのない強い頭痛で苦しんでいる」
お子さまが突然激しい頭痛を訴え、それに伴って嘔吐が見られる場合、緊急性の高い疾患の可能性もあり、迅速な対応が必要です。特に、普段頭痛を経験しないお子さま、または「いつもの頭痛と違う」と訴えるお子さまの場合は、注意が必要です。このページでは、突然の激しい頭痛と嘔吐の原因、対処法、受診すべきタイミングについてご説明します。
1.突然の激しい頭痛と嘔吐の主な原因
- 緊急性の高い疾患
- 髄膜炎(細菌性、ウイルス性)
- 発熱、項部硬直(首の硬さ)、光過敏を伴うことが多い
- 特に細菌性髄膜炎は速やかな治療が必要
- 脳出血・くも膜下出血
- 「今までで最も激しい頭痛」と表現されることも
- 小児では稀だが、血管奇形などの基礎疾患がある場合に起こりうる
- 脳腫瘍
- 起床時や朝方に強い頭痛と嘔吐がみられることが特徴
- 頭痛の頻度や強さが徐々に増していくことも
- 水頭症
- 頭囲拡大(乳幼児)、歩行障害、視力障害などを伴うことも
- 髄膜炎(細菌性、ウイルス性)
- 比較的緊急性の低い疾患
- 片頭痛
- 拍動性の頭痛、光や音に過敏、嘔吐を伴うことが多い
- 家族歴があることも多い
- 睡眠で改善することが特徴的
- 緊張型頭痛
- 頭を締め付けられるような痛み
- 一般的に嘔吐を伴わないことが多いが、強い場合は嘔吐もありうる
- 副鼻腔炎
- 前頭部や頬の痛み、鼻汁、発熱を伴うことが多い
- 心因性頭痛
- ストレス、不安、学校や家庭の問題に関連
- 眼科的疾患(緑内障など)
- 視力の変化、目の痛みを伴うことがある
- 片頭痛
2.緊急性を判断するポイント
以下のような症状や状況がある場合は、緊急性が高く、速やかに医療機関を受診する必要があります:
- 「雷が落ちたような」「破裂するような」激しい頭痛の突然の発症
- 頭痛に伴う意識レベルの低下(呼びかけに反応が鈍い、ぼんやりしている)
- けいれんを伴う
- 首が硬く、前に曲げると痛む(項部硬直)
- 38℃以上の発熱を伴う
- 吐き続ける、噴水のように勢いよく吐く(特に乳幼児)
- 視力の変化、複視(物が二重に見える)
- 歩行困難、バランス障害
- 性格や行動の急な変化
- 頭部外傷の後に生じた頭痛
- 基礎疾患(脳腫瘍、水頭症、血管奇形など)のある子どもの頭痛
特に、これまで頭痛の既往がない子どもが突然激しい頭痛と嘔吐を訴える場合は、重篤な疾患の可能性を考慮して医療機関を受診してください。
3.ご家庭での初期対応
緊急性の高い症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。受診までの間や、比較的緊急性が低いと思われる場合の対応として:
- 安静にする
- 静かな、光の少ない部屋で横になって休ませる
- 頭を少し高くして寝かせる
- 痛みの記録
- 頭痛の特徴(部位、性質、強さ)を記録
- 嘔吐の回数や性状、随伴症状の有無を記録
- 水分補給
- 嘔吐がおさまっていれば、少量ずつ水分を与える
- 脱水症状を防ぐ
- 頭痛薬の使用
- 医師の指示がある場合のみ、適切な用量を守って使用
- 自己判断での薬の使用は避ける(特に未診断の強い頭痛の場合)
ただし、これらの対応はあくまで一時的なものです。突然の激しい頭痛と嘔吐は、医療機関での適切な評価が必要です。
4.受診すべきタイミング
以下のような場合は、速やかに医療機関を受診してください:
- 緊急性を判断するポイントに挙げた症状がひとつでもある場合は直ちに受診
- 今までに経験したことのない強さの頭痛
- 頭痛と嘔吐が数時間以上続く
- 頭痛が徐々に強くなる
- いつもと違う頭痛と子どもが訴える
- 繰り返す頭痛と嘔吐のパターンがある
特に乳幼児は症状を正確に訴えることができないため、普段と違う様子や不機嫌さに注意し、心配な場合は早めに受診することをお勧めします。
5.すみだ両国まちなかクリニックでのサポート
当院では、突然の激しい頭痛と嘔吐を訴えるお子さまに対して以下の診療を行っています:
- 緊急評価
- バイタルサイン(血圧、脈拍、呼吸数、体温)の測定
- 意識レベルの評価
- 神経学的診察(瞳孔反応、運動・感覚機能、反射など)
- 問診・診察
- 詳細な症状の経過
- 既往歴、家族歴の確認
- 頭部外傷歴の確認
- 薬物使用歴の確認
- 全身状態の評価
- 必要に応じた初期検査
- 血液検査
- 尿検査
- 治療と対応
- 診断に基づいた適切な初期治療
- 痛みのコントロール
- 脱水の補正
- 経過観察のポイント指導
より詳細な評価や緊急処置が必要な場合、または画像検査(CT、MRIなど)が必要と判断された場合には、連携医療機関(小児神経専門医、脳神経外科など)をご紹介いたします。特に髄膜炎や脳出血が疑われる場合は、高次医療機関への迅速な紹介を行います。
6.小児片頭痛について
片頭痛は小児でもよく見られる頭痛の一種です:
- 特徴
- 拍動性(ズキズキする)頭痛
- 光・音・臭いに過敏になる
- 嘔吐や腹痛を伴うことが多い
- 頭痛の前に前兆(閃輝暗点など視覚症状)があることも
- 睡眠で改善することが多い
- 誘因
- 睡眠不足
- 食事の抜きすぎ
- 特定の食品(チョコレート、チーズ、人工甘味料など)
- 強い光や騒音
- ストレス
- 気候の変化
- 対処法
- 十分な睡眠
- 規則正しい食事
- 水分摂取
- 誘因の回避
- 必要に応じた薬物療法(医師の指導のもと)
片頭痛と診断された場合でも、いつもと異なる激しい頭痛を訴える場合は、医療機関を受診することをお勧めします。
7.髄膜炎について
髄膜炎は脳や脊髄を覆う膜(髄膜)の炎症で、迅速な治療が必要な緊急疾患です:
- 症状
- 突然の高熱
- 激しい頭痛
- 嘔吐
- 項部硬直(首の痛みと硬さ)
- 光過敏(光を嫌がる)
- 意識障害
- 発疹(特に髄膜炎菌性髄膜炎の場合)
- 乳幼児の場合
- 機嫌が悪い、ぐったりしている
- 哺乳力の低下
- 大泉門の膨隆
- 異常な泣き方(高音で甲高い)
髄膜炎が疑われる場合は、一刻も早い医療機関の受診が必要です。特に細菌性髄膜炎は抗生物質による迅速な治療が予後を左右します。
8.頭痛と嘔吐の予防と日常の注意点
特に片頭痛など再発性の頭痛がある子どもにとって重要な点です:
- 規則正しい生活リズム
- 十分な睡眠時間の確保
- 規則正しい食事時間
- 水分を十分に摂る習慣
- ストレス管理
- リラクゼーション技法の習得
- 適度な運動
- 趣味や遊びの時間確保
- 頭痛ダイアリーの活用
- 頭痛の頻度、強さ、誘因の記録
- パターンの把握による予防
- スクリーンタイムの管理
- 長時間のゲームやスマートフォン使用を避ける
- 適切な姿勢でのスクリーン使用
9.まとめ
- 突然の激しい頭痛と嘔吐は、髄膜炎や脳出血など緊急性の高い疾患のサインである可能性がある
- 意識障害、けいれん、項部硬直、高熱を伴う場合は、迅速な医療機関受診が必要
- 片頭痛など比較的緊急性の低い頭痛でも、強い症状や日常生活への支障がある場合は受診を検討
- 乳幼児は症状を正確に訴えられないため、普段と違う様子に注意が必要
- すみだ両国まちなかクリニックでは適切な初期評価と対応、必要に応じた専門医療機関との連携を行います
お子さまが突然の激しい頭痛と嘔吐を訴える場合は、すみだ両国まちなかクリニックにご相談ください。症状の緊急性を評価し、適切な対応を行います。