顔色が悪く唇が青白い
「子どもの顔色が急に悪くなった」「唇が青白くなっている」
お子さまの顔色が悪く、特に唇が青白い(チアノーゼ)状態は、緊急性の高い症状である可能性があります。酸素不足、循環障害、貧血など様々な原因で起こり得る症状で、特に乳幼児の場合は迅速な対応が必要です。このページでは、顔色不良や唇の青白さの原因と対処法、受診すべきタイミングについてご説明します。
1.顔色が悪く唇が青白くなる主な原因
- 低酸素血症
- 呼吸器疾患(喘息発作、細気管支炎、肺炎など)
- 気道異物
- 先天性心疾患
- 呼吸抑制(薬物、脳疾患など)
- 循環不全
- ショック状態(重度の脱水、アナフィラキシー、敗血症など)
- 心不全
- 重度の不整脈
- 貧血
- 鉄欠乏性貧血
- 出血(外傷、消化管出血など)
- 溶血性貧血
- 低体温
- 寒冷環境への曝露
- 重症感染症に伴う体温調節障害
- その他
- 迷走神経反射(失神の前兆)
- 血管迷走神経性失神(いわゆる「貧血」と呼ばれる一時的な症状)
- 低血糖
- 中毒
2.緊急性の高い危険サイン
以下のような症状を伴う場合は、救急車を呼ぶなど緊急の対応が必要です:
- 呼吸困難(呼吸が速い・荒い、肋間が陥没する、鼻翼が広がる)
- 意識レベルの低下(呼びかけに反応が悪い、ぼんやりしている)
- けいれん
- 強い胸痛や動悸
- 急激な発症
- 顔全体や体が青白い
- 息を吸うときに「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という音がする
- 突然の高熱を伴う
- 大量の嘔吐や下痢による脱水
- 外傷や出血がある
特に乳幼児の場合、状態が急速に悪化することがあるため、上記のサインがあれば迷わず医療機関を受診してください。
3.「チアノーゼ」について
チアノーゼとは皮膚や粘膜(特に唇や爪床)が青紫色になる状態で、血液中の酸素が不足している兆候です。
- 中心性チアノーゼ:唇や舌、口腔内粘膜の青白さ・青紫色
- 心肺機能の問題による酸素不足を示すことが多く、緊急性が高い
- 末梢性チアノーゼ:手足の先端(指先、爪)の青白さ・青紫色
- 寒冷による一時的な血流低下などでも起こり得る
- 中心部(唇など)が正常な色であれば、緊急性は比較的低い場合も
4.ご家庭での初期対応
緊急性の高いサインがある場合は、すぐに医療機関を受診してください。受診までの間や、比較的軽度の場合の対応として:
- 呼吸を確保
- 窮屈な服を緩め、楽な姿勢を取らせる
- 気道異物が疑われる場合は応急処置(背部叩打法など年齢に応じた方法)
- 体温管理
- 低体温が疑われる場合は徐々に温める(急激な加温は避ける)
- 発熱がある場合は解熱剤の使用を検討(医師の指示に従って)
- 臥位での安静
- 失神や血圧低下が疑われる場合は、足を高くした状態で横にする
- 頭部を打たないよう保護
- 水分補給
- 意識がはっきりしていて嘔吐がない場合、少量ずつ水分を与える
- 脱水症状があれば経口補水液が効果的
ただし、これらの対応はあくまで一時的なものです。顔色が悪く唇が青白い状態は、医療機関での適切な評価が必要です。
5.受診すべきタイミング
顔色不良、特に唇の青白さがある場合は、以下のタイミングで受診してください:
- 緊急性の高いサインがある場合:救急車を呼ぶか、すぐに医療機関へ
- 急激に発症した場合:速やかに受診
- 持続する場合:顔色不良が一過性でなく続く場合
- 繰り返す場合:症状が頻繁に繰り返される場合
- 原因不明の場合:明らかな原因がない場合
特に乳幼児や基礎疾患(心疾患、呼吸器疾患など)のあるお子さまは、早めの受診が重要です。
6.すみだ両国まちなかクリニックでのサポート
当院では、顔色不良や唇の青白さを訴えるお子さまに対して以下の診療を行っています:
- 緊急評価
- バイタルサイン(呼吸数、心拍数、血圧、体温、酸素飽和度)の測定
- 全身状態、意識レベルの確認
- 呼吸・循環状態の詳細評価
- 問診・診察
- 症状の発症状況、経過
- 随伴症状の確認
- 既往歴、家族歴の確認
- 身体各部位の詳細な診察
- 検査
- 必要に応じて血液検査(貧血、感染症の評価など)
- 必要に応じて心電図検査
- 酸素飽和度モニタリング
- 初期対応と治療
- 酸素投与(必要な場合)
- 水分・電解質の補正
- 原因に応じた治療の開始
- 状態安定化のための応急処置
- 専門医療機関との連携
- 重症例や専門的治療が必要な場合の紹介・搬送
緊急性の高い症状や、より高度な検査(エコー、レントゲン、CT)が必要と判断された場合には、連携医療機関をご紹介いたします。特に心疾患や重度の呼吸器疾患が疑われる場合は、小児専門病院との連携を迅速に行います。
7.小児の代表的な呼吸器・循環器疾患
- 喘息発作
- 「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という喘鳴
- 呼吸困難、咳込み
- 特に呼気(息を吐くとき)が困難
- RSウイルス感染症・細気管支炎
- 主に2歳未満の乳幼児に多い
- 鼻水、咳に続いて呼吸困難が出現
- 肋間の陥没呼吸が特徴的
- クループ(急性喉頭炎)
- 「犬の吠える」ような特徴的な咳
- 吸気性喘鳴(息を吸うときの音)
- 声のかすれ
- 先天性心疾患
- 活動時の易疲労性
- 哺乳不良、体重増加不良
- 多呼吸、発汗過多
8.貧血について
小児の貧血、特に鉄欠乏性貧血は以下のような特徴があります:
- 症状
- 顔色不良、疲れやすさ
- 集中力低下、易刺激性
- 食欲不振
- 発育・発達への影響
- 原因
- 鉄分摂取不足
- 急速な成長による需要増加
- 慢性的な少量出血
- 予防と対策
- 鉄分を多く含む食品の摂取(赤身肉、レバー、ほうれん草など)
- 必要に応じた鉄剤の服用(医師の指示に従って)
- 定期的な健診での評価
9.予防と日常の注意点
- 適切な栄養摂取
- バランスの良い食事
- 鉄分やビタミンを十分に含む食品の摂取
- 安全対策
- 誤嚥防止(年齢に適した食事形態、食事中の見守り)
- 窒息の危険性のあるおもちゃや物品の管理
- 基礎疾患の適切な管理
- 喘息や心疾患などの持病がある場合の定期的な受診
- 処方薬の確実な服用
- 感染予防
- 手洗い・うがいの徹底
- 必要な予防接種の接種
10.まとめ
- 顔色が悪く唇が青白い症状は、低酸素血症や循環不全など緊急性の高い状態を示している可能性がある
- 呼吸困難や意識レベルの低下を伴う場合は、すぐに救急医療を求める
- チアノーゼ(特に唇や舌の青白さ)は酸素不足の兆候であり、迅速な評価が必要
- 貧血による顔色不良も多いが、他の症状や発症の急激さで鑑別が重要
- すみだ両国まちなかクリニックでは、適切な初期評価と対応、必要に応じた専門医療機関との連携を行います
お子さまの顔色が悪く、特に唇が青白い状態を認めた場合は、すみだ両国まちなかクリニックにご相談ください。緊急性の評価と適切な対応を行い、お子さまの健康を守ります。