小児科症状

水分を欲しがり頻繁に排尿する

「子どもが急に水やジュースをたくさん飲むようになった」「夜中にもトイレに何度も起きる」

お子さまが急に水分を大量に欲しがるようになり(多飲)、それに伴って頻繁に排尿する(多尿)という症状は、小児糖尿病をはじめとするいくつかの疾患の重要なサインかもしれません。このような症状は急性または慢性疾患の初期症状であることが多く、早期発見と適切な対応が重要です。

1.水分を欲しがり頻繁に排尿する主な原因

  1. 1型糖尿病
    • 小児期に最も懸念すべき原因の一つ
    • 膵臓からのインスリン分泌が不足し、血糖値が上昇
    • 体内の糖分が尿に出ることで尿量が増え、その結果水分を多く欲しがる
    • 急激な体重減少、疲労感、食欲増加なども伴うことが多い
  2. 尿崩症
    • 抗利尿ホルモン(バソプレシン)の分泌不足や作用不全により、腎臓での水分再吸収が障害される
    • 大量の薄い尿が出る
    • 中枢性(脳の障害)と腎性(腎臓の障害)がある
  3. 心理的多飲症
    • 精神的・心理的要因による過剰な水分摂取
    • 実際の脱水ではなく、習慣や不安などから生じる
    • 年長児や思春期の子どもに見られることがある
  4. 尿路感染症
    • 頻尿、排尿時の痛みや不快感、尿の濁りを伴うことが多い
    • 発熱を伴うこともある
  5. その他の疾患
    • 腎臓疾患
    • 電解質異常
    • まれに2型糖尿病(主に肥満傾向の小児)

2.注意すべきサインと症状

以下のような症状が見られる場合は、特に注意が必要です:

  • 急な多飲・多尿(特に2週間以内に始まった場合)
  • 夜間頻尿(以前は夜通し眠れていたのに、夜中に何度もトイレに行くようになった)
  • 不自然な体重減少
  • 常に喉が渇くと訴える
  • 食欲の変化(特に増加)
  • 疲れやすい、無気力
  • 頭痛やめまい
  • 尿の匂いが甘い(アセトン臭)
  • おねしょが再発(以前は夜間排尿コントロールができていた子ども)

特に1型糖尿病の場合、発見が遅れると糖尿病性ケトアシドーシスという重篤な状態に進行する恐れがあります。早期発見が非常に重要です。

3.正常な水分摂取量と排尿回数の目安

年齢によって正常とされる水分摂取量や排尿回数は異なります:

  • 乳児:1日6〜8回の排尿、おむつ交換の際に確認
  • 幼児:1日5〜7回の排尿、1日約1〜1.5リットルの水分摂取
  • 学童:1日4〜6回の排尿、1日約1.5〜2リットルの水分摂取
  • 思春期:1日4〜6回の排尿、1日約2〜2.5リットルの水分摂取

ただし、個人差や環境要因(気温、活動量など)によって変動します。

4.ご家庭でできる観察ポイント

お子さまの状態を把握するために、以下の点を観察し記録しておくと診察時に役立ちます:

  1. 水分摂取量
    • 1日どのくらいの水分を摂取しているか
    • 急に増えた場合はいつ頃からか
  2. 排尿の状況
    • 1日の排尿回数
    • 夜間の排尿回数
    • 尿の色や濁り、異臭
  3. 体重の変化
    • 可能であれば定期的に体重を測定
    • 急激な減少があるか
  4. その他の症状
    • 疲労感、活力低下
    • 食欲の変化
    • 頭痛やめまいの有無

5.受診すべきタイミング

以下のようなケースでは、できるだけ早く医療機関を受診することをお勧めします:

  • 多飲・多尿が2〜3日以上続く
  • 夜間頻尿や夜尿症が新たに出現
  • 上記の注意すべきサインがひとつでもある
  • 体重が短期間で減少
  • 強い疲労感や元気がない
  • 嘔吐や腹痛を伴う
  • 呼吸が速い、または息が荒い

特に乳幼児の場合は、脱水が急速に進行する可能性があるため、多飲・多尿の症状が見られたら早めの受診をお勧めします。

6.すみだ両国まちなかクリニックでのサポート

当院では、多飲・多尿の症状があるお子さまに対して以下の診療を行っています:

  • 問診・診察
    • 症状の詳細(発症時期、程度、関連症状)
    • 家族歴(糖尿病や他の内分泌疾患の有無)
    • 体重変化の確認
    • 全身状態の評価
  • 検査
    • 尿検査(糖、比重、タンパクなど)
    • 血液検査(血糖値、電解質、腎機能など)
    • 必要に応じて他の検査(内分泌ホルモン検査など)
  • 診断と初期対応
    • 検査結果に基づく診断
    • 1型糖尿病が疑われる場合は、速やかに専門医療機関へのご紹介
    • 尿路感染症など、初期治療が可能な疾患の場合は適切な治療の開始

高度な検査や継続的な管理が必要な場合は、小児内分泌専門医のいる連携医療機関をご紹介いたします。特に1型糖尿病などの内分泌疾患では、早期の専門的な対応が重要です。

7.1型糖尿病について

1型糖尿病は小児期に発症する代表的な内分泌疾患です:

  • 発症年齢:どの年齢でも発症する可能性があるが、学童期(5〜7歳)と思春期前(10〜12歳)に多い
  • 症状:多飲、多尿、体重減少、疲労感、食欲増加
  • 原因:自己免疫反応により膵臓のインスリン産生細胞が破壊される
  • 治療:インスリン注射による生涯にわたる血糖コントロール
  • 管理:血糖値の定期的なモニタリング、食事管理、適切な運動

適切な治療と管理により、1型糖尿病の子どもたちも健やかに成長し、活動的な生活を送ることができます。

8.糖尿病が疑われる場合の初期対応

1型糖尿病が疑われる場合は、以下の点に注意してください:

  • 医療機関への速やかな受診
    • 自己判断で様子を見ることは危険
    • 診断が確定するまで水分制限はしない
  • 注意すべき緊急症状
    • 呼吸が速く深くなる
    • 意識レベルの低下
    • 強い腹痛や嘔吐
    • 極度の倦怠感 これらの症状がある場合は救急車を呼ぶことも検討
  • 糖尿病診断後の生活
    • 学校・園への情報共有と協力体制の構築
    • 家族全体での食生活の見直し
    • 定期的な医療機関の受診

9.まとめ

  • 水分を欲しがり頻繁に排尿する症状は、1型糖尿病や他の内分泌疾患の初期サインであることが多い
  • 特に体重減少、疲労感を伴う場合は早急な医療機関受診が必要
  • 症状を詳細に記録し、医師に伝えることが正確な診断につながる
  • すみだ両国まちなかクリニックでは初期評価と適切な専門医療機関へのご紹介を行います
  • 早期発見・早期治療により、たとえ1型糖尿病と診断されても、適切な管理で健やかな成長を促すことができます

お子さまが急に水分を欲しがり、頻繁に排尿するようになった場合は、すみだ両国まちなかクリニックにご相談ください。適切な評価と必要に応じた専門医療機関との連携で、お子さまの健康をサポートいたします。

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