小児科症状

のどの痛みで飲み込めない

「子どもがのどの痛みを訴えて、水も飲めない」「唾も飲み込むのが辛そうで、よだれが多い」

お子さまが強いのどの痛みを訴え、飲み込みが困難な状態は、保護者の方にとって心配な症状です。特に水分摂取ができないと、脱水のリスクが高まり、小さなお子さまの場合は状態が急速に悪化する可能性もあります。このページでは、小児ののどの痛みと嚥下困難の原因や対処法、受診の目安についてご説明します。

1.のどの痛みで飲み込めない主な原因

  1. 溶連菌感染症(連鎖球菌咽頭炎)
    • 5~15歳の小児に多い細菌感染症
    • 急な高熱と激しいのどの痛み
    • 扁桃の腫れや白い膿点、首のリンパ節の腫れ
    • 適切な抗菌薬治療が必要
  2. ウイルス性咽頭炎
    • 風邪のウイルスによる咽頭の炎症
    • のどの痛みに加え、鼻水、咳、軽度の発熱を伴うことが多い
    • 通常3~7日で自然に改善
  3. 伝染性単核球症(EBウイルス感染症)
    • 強いのどの痛み、高熱、全身倦怠感
    • 扁桃の著しい腫れと白苔
    • リンパ節の腫れ(特に首)
    • 比較的長期間(1~2週間)症状が続く
  4. 手足口病やヘルパンギーナ
    • 主に乳幼児がかかるウイルス感染症
    • のどや口の中に小さな水疱や潰瘍
    • 強い痛みで飲食が困難になることも
  5. 急性喉頭蓋炎
    • 細菌による喉頭蓋(のどの入り口の軟骨)の急性炎症
    • 急激に進行する強いのどの痛みと嚥下困難
    • 呼吸困難を伴うこともある緊急性の高い疾患
    • 主に2~6歳に多いが、あらゆる年齢で発症する可能性あり
  6. 扁桃周囲膿瘍
    • 扁桃の周りに膿がたまる状態
    • 激しいのどの痛み、発熱、開口障害
    • 一側性の症状が多い
    • 緊急処置が必要になることも

2.注意すべき危険サイン

以下の症状がある場合は、緊急性が高く、すぐに医療機関を受診してください:

  • 唾液も飲み込めず、よだれが持続的に流れる
  • 水分摂取が完全にできない状態が続く
  • 呼吸が苦しそう、息をするときに「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という音がする
  • 声が変わる(かすれる、小さくなる)
  • のどに詰まった感じがあると訴える
  • 首を伸ばして前かがみの姿勢をとる(トリポド姿勢)
  • 38.5℃以上の高熱が続く
  • 口を開けにくい
  • 極度の不機嫌やぐったり感

特に急性喉頭蓋炎は急速に悪化して気道閉塞を起こす可能性がある緊急疾患です。上記の症状、特に呼吸困難があれば、救急車を呼ぶことも検討してください。

3.ご家庭でできる対応

症状が軽度から中等度の場合、以下の対応が症状緩和に役立つことがあります:

  1. 水分摂取の工夫
    • 冷たい飲み物や氷菓を少量ずつ頻回に与える
    • スープやゼリーなど飲み込みやすいものを試す
    • 柑橘系の酸っぱい飲み物は避ける
  2. 温かいうがい(年齢に応じて)
    • 塩水や市販のうがい薬でのどの炎症を和らげる
    • 就寝前と起床時に行うと効果的
  3. 加湿
    • 部屋の湿度を適切に保つ(50~60%程度)
    • 乾燥したのどの痛みの軽減に役立つ
  4. 適切な休息
    • 十分な睡眠と安静
    • 声を出しすぎないよう注意
  5. 解熱鎮痛薬(医師の指示に従って)
    • アセトアミノフェンなどでのどの痛みと発熱を和らげる
    • 用量は年齢・体重に応じて適切に

ただし、これらの対応はあくまで補助的なものです。症状が強い場合や危険サインがある場合は、自己判断せずに医療機関を受診してください。

4.受診すべきタイミング

以下のようなケースでは、医療機関への受診をお勧めします:

  • 水分摂取が困難で脱水の兆候がある(尿量減少、口唇乾燥、涙が出ない)
  • 強いのどの痛みが2日以上続く
  • 38℃以上の発熱を伴う
  • 前述の危険サインがひとつでもある
  • 扁桃に白い膿点がある
  • 首のリンパ節の著しい腫れがある
  • 発疹を伴う

小さなお子さまは症状を正確に伝えられないことも多いため、普段と様子が違うと感じたら早めに受診することをお勧めします。

5.すみだ両国まちなかクリニックでのサポート

当院では、のどの痛みで飲み込みが困難なお子さまに対して以下の診療を行っています:

  • 問診・診察
    • 症状の発症時期や経過
    • 飲み込みの程度、水分摂取状況
    • のどの診察(扁桃、咽頭の観察)
    • 全身状態の評価
  • 検査
    • 必要に応じて溶連菌迅速検査
    • 発熱を伴う場合には、最新の検査機器「ID NOW」を導入し、迅速かつ高精度な診断を提供しています
      • 短時間で結果判明:陽性の場合は最短5分、陰性でも13分以内に結果が得られます
      • 高い検査精度:PCR検査と同等の精度を持ち、陽性一致率93.3%、陰性一致率98.4%と報告されています
      • 患者様の負担軽減:鼻腔からの検体採取で、侵襲性が低く、検査時の不快感を最小限に抑えます
    • 必要に応じて血液検査(白血球数、CRPなど)
  • 治療
    • 原因に応じた適切な治療
    • 溶連菌感染症:抗生物質の処方
    • ウイルス性咽頭炎:対症療法(痛み止め、うがい薬など)
    • 水分摂取のアドバイス
    • 必要に応じて解熱鎮痛薬の処方

緊急性の高い急性喉頭蓋炎や扁桃周囲膿瘍が疑われる場合、また、詳細な検査が必要と判断された場合には、エコーやCTなどの検査のため連携医療機関(耳鼻咽喉科・小児科)をご紹介いたします。

6.溶連菌感染症について

溶連菌感染症は、適切な抗菌薬治療が必要な感染症です:

  • 治療の重要性
    • 未治療の場合、稀にリウマチ熱や腎炎などの合併症を引き起こす可能性
    • 通常、適切な抗菌薬治療開始後24~48時間で感染力は大幅に低下
  • 治療期間
    • 処方された抗生物質は指示された期間(通常10日間)必ず服用し続ける
    • 症状が改善しても途中で中止しない
  • 学校・保育園
    • 抗菌薬の内服開始後24~48時間は出席停止が一般的
    • 具体的な登校・登園の目安は医師の指示に従う

7.のどの痛みの予防策

  • 手洗い・うがいの徹底
    • 外出後、食事前、トイレ後の手洗い
    • 帰宅時のうがい
  • バランスの良い食事と十分な睡眠
    • 免疫力維持のための栄養バランス
    • 年齢に応じた適切な睡眠時間の確保
  • 水分摂取
    • のどの乾燥を防ぐ十分な水分摂取
  • 加湿
    • 特に乾燥する季節は適切な湿度を維持
  • 喫煙環境からの回避
    • 受動喫煙はのどの粘膜を刺激し、感染リスクを高める

8.まとめ

  • のどの痛みで飲み込めない状態は、細菌性・ウイルス性の様々な感染症が原因
  • 水分摂取ができないほどの強い痛みや呼吸困難は緊急性が高い
  • 家庭では水分摂取の工夫、適切な休息、加湿などで対応
  • 危険サインがある場合や症状が強い場合は早期に医療機関を受診
  • すみだ両国まちなかクリニックでは原因に応じた適切な診断・治療を提供

お子さまの強いのどの痛みでお困りの際は、すみだ両国まちなかクリニックにご相談ください。特に水分摂取が困難な状態は脱水のリスクがあり、早めの対応が重要です。

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