小児科症状

耳の下が腫れて痛みがある

「子どもの耳の下が腫れていて、触ると痛がる」「食事の時に痛みが強くなるようだ」

お子さまの耳の下(耳たぶの後ろや下)の腫れは、主に耳下腺(じかせん)という唾液腺の炎症が原因であることが多いです。耳下腺は私たちの唾液を作る大切な器官で、何らかの原因で炎症を起こすと腫れや痛みを生じます。このページでは、子どもの耳の下の腫れの原因や対処法についてご説明します。

1.耳の下の腫れの主な原因

  1. 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)
    • ムンプスウイルスによる感染症
    • 片側から始まり、両側に広がることが多い
    • 発熱を伴うことが多く、腫れは3〜7日程度でピークに達する
    • 唾液の分泌が刺激される食事の際に痛みが増強
  2. 細菌性耳下腺炎
    • 細菌感染による急性の炎症
    • 高熱を伴うことが多く、激しい痛みを生じる
    • 口腔内の衛生状態が悪い場合や、水分摂取が少ない場合に起こりやすい
    • 膿性の分泌物が出ることもある
  3. 唾石症(だせきしょう)
    • 唾液腺の導管に石(唾石)ができて唾液の流れが妨げられる
    • 食事の際に痛みや腫れが顕著になり、食後に和らぐことが特徴
    • 繰り返し症状が出ることがある
  4. リンパ節炎
    • 耳や頭皮の感染症に伴う耳前・耳後リンパ節の腫れ
    • 中耳炎や外耳炎に伴うことも多い
    • 頭皮の湿疹や傷の感染が原因となることも
  5. その他のまれな原因
    • 先天性の嚢胞
    • 良性腫瘍
    • 自己免疫疾患に伴う慢性唾液腺炎

2.症状と注意すべきサイン

典型的な症状:

  • 耳の下の腫れ(片側または両側)
  • 触ると痛みがある
  • 食事やガムを噛むときに痛みが増す
  • 開口時の痛み
  • 発熱(特に感染症の場合)

以下のような症状がある場合は、早急に医療機関を受診すべきです:

  • 高熱(38.5℃以上)が続く
  • 腫れが急速に大きくなる
  • 強い痛みで食事や水分摂取が困難
  • 口を開けにくい
  • 顔の片側が動かしにくい(顔面神経麻痺の可能性)
  • 耳下腺からの膿性分泌物がある
  • 全身状態が悪い(ぐったり、食欲不振など)

3.ご家庭でできる対応

症状が軽度の場合は、以下の対応が役立つことがあります:

  1. 水分を十分に摂る
    • 脱水は唾液の分泌を減少させ、症状を悪化させることがある
    • 特に発熱がある場合は水分補給が重要
  2. 温冷湿布
    • 温かいタオルで温めると痛みが和らぐことがある(特に慢性的な腫れの場合)
    • 急性の炎症や痛みが強い場合は、冷たいタオルで冷やす方が効果的なこともある
  3. 柔らかい食事
    • 咀嚼による痛みを軽減するため、柔らかい食事を心がける
    • 酸味の強い食品(柑橘類など)は唾液分泌を刺激するため、痛みが強い時は避ける
  4. 衛生管理
    • 口腔内を清潔に保つ
    • 細菌感染のリスクを減らすため、歯磨きを適切に行う

ただし、これらの対応はあくまで補助的なものです。症状が強い場合や発熱を伴う場合は、自己判断せずに医療機関を受診してください。

4.受診すべきタイミング

  • 初めて耳下腺の腫れが出現した場合
  • 発熱を伴う場合
  • 痛みが強く、日常生活に支障がある場合
  • 腫れが3日以上続く場合
  • 上記の注意すべきサインがある場合

特に流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)は、まれに合併症(髄膜炎、精巣炎など)を引き起こすことがあるため、早期の診断と適切な管理が重要です。

5.すみだ両国まちなかクリニックでのサポート

当院では、耳の下の腫れや痛みを訴えるお子さまに対して以下の診療を行っています:

  • 問診・診察
    • 症状の発症時期や経過
    • 接触歴(特におたふくかぜの流行時期)
    • ワクチン接種歴(おたふくかぜワクチンなど)
    • 詳細な視診・触診
  • 検査・診断
    • 必要に応じて血液検査
    • 唾液の性状確認
    • おたふくかぜが疑われる場合の抗体検査
  • 治療
    • 原因に応じた適切な治療方針の決定
    • 細菌感染の場合は抗生物質の処方
    • 対症療法(痛み止め、解熱剤など)の処方
    • 水分摂取や食事についてのアドバイス

唾石が疑われる場合や、重症の耳下腺炎、精密検査が必要と判断された場合には、エコーなどの検査のため連携医療機関(耳鼻咽喉科)をご紹介いたします。

6.おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)について

おたふくかぜは、以下のような特徴がある感染症です:

  • 潜伏期間:通常12〜25日(平均16〜18日)
  • 感染経路:主に飛沫感染、接触感染
  • 伝染力:発症2日前から発症5日後まで特に強い
  • 合併症:無菌性髄膜炎、精巣炎(思春期以降の男子)、卵巣炎、難聴など
  • 学校・保育園:耳下腺の腫れが消失するまで(通常5日程度)の出席停止が一般的

ワクチン接種(MMRワクチンの一部またはおたふくかぜ単独ワクチン)で予防できます。定期接種ではありませんが、任意接種として推奨されています。

7.予防策

  • おたふくかぜワクチンの接種検討
  • 手洗い・うがいの徹底
  • 流行時期のマスク着用(年齢に応じて)
  • 十分な水分摂取と栄養バランスの良い食事
  • 規則正しい生活習慣で免疫力を維持

8.まとめ

  • 子どもの耳の下の腫れは、多くの場合おたふくかぜや細菌性耳下腺炎が原因
  • 発熱や強い痛みを伴う場合は早めの受診が重要
  • 適切な水分摂取と口腔衛生の維持が症状緩和に役立つ
  • おたふくかぜの予防にはワクチン接種の検討を
  • すみだ両国まちなかクリニックでは丁寧な診察と原因に応じた治療、必要時には専門医への紹介を行っています

お子さまの耳の下の腫れや痛みでお困りの際は、すみだ両国まちなかクリニックにご相談ください。症状の程度や原因に応じて、適切な診療を提供いたします。

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