小児科症状
特定の食べ物で蕁麻疹が出る
「子どもが卵を食べると体に赤い発疹が出る」「牛乳を飲んだ後に顔が腫れて痒がっている」
お子さまが特定の食品を摂取した後に蕁麻疹(じんましん)や皮膚の発赤、腫れなどのアレルギー症状を示す場合、食物アレルギーの可能性があります。早期発見と適切な対応は、お子さまの健康と安全を守るために非常に重要です。
1.食物アレルギーとは
食物アレルギーは、特定の食品に含まれるタンパク質(アレルゲン)に対して、体の免疫系が過剰に反応することで起こります。小児の食物アレルギーは比較的一般的で、日本では乳幼児の約5〜10%に見られるとされています。
蕁麻疹は食物アレルギーの代表的な症状の一つで、皮膚が赤く盛り上がり、強いかゆみを伴います。蕁麻疹は数時間〜数日で消失することが多いですが、アレルギーの程度によっては重篤な症状に発展する可能性もあります。
2.よくある食物アレルゲン
日本の小児で特に多い食物アレルゲンには以下のものがあります:
- 鶏卵(卵白・卵黄)
- 牛乳(乳製品全般)
- 小麦(パン、麺類など)
- 大豆(豆腐、納豆、醤油など)
- ピーナッツ(落花生)
- 木の実類(くるみ、アーモンドなど)
- 魚介類(エビ、カニ、魚など)
- 果物(キウイ、桃、りんごなど)
これらの食品は多くの加工食品にも含まれているため、食品表示をよく確認することが大切です。
3.食物アレルギーの主な症状
- 皮膚症状(最も一般的)
- 蕁麻疹(赤い膨らみと強いかゆみ)
- 発赤(皮膚が赤くなる)
- 湿疹の悪化
- 顔面や口唇の腫れ
- 消化器症状
- 嘔吐
- 腹痛
- 下痢
- 呼吸器症状
- くしゃみ、鼻水
- 咳、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)
- 息苦しさ
- 全身症状(アナフィラキシー)
- 複数の臓器に症状が現れる重篤なアレルギー反応
- 血圧低下、意識障害(アナフィラキシーショック)
4.緊急性の高い危険サイン
以下の症状が見られた場合は、アナフィラキシーの可能性があり、緊急の対応が必要です:
- 呼吸困難(息苦しそう、ゼーゼーする)
- 顔色が悪い、唇が青白い
- ぐったりしている、意識がもうろうとしている
- 複数の症状が急速に進行する(例:皮膚症状+嘔吐+呼吸器症状)
これらの症状を認めた場合は、すぐに救急車(119番)を呼ぶべきです。
5.自宅での対応
- 原因と考えられる食品の摂取を中止
- 症状が出た食品は記録しておく
- 軽度の蕁麻疹の場合
- 清潔なタオルで冷やす
- 爪を短く切り、掻きむしらないようにする
- 医師から処方された抗ヒスタミン薬があれば使用
- 症状が悪化する場合
- すぐに医療機関を受診する
- アナフィラキシーの症状があれば救急車を呼ぶ
- エピペン®(アドレナリン自己注射薬)を処方されている場合
- 重篤な症状が出た際は躊躇せず使用する
- 使用後は必ず医療機関を受診する
6.診断と検査
食物アレルギーの診断には、以下のような方法があります:
- 詳細な問診(摂取した食品と症状の関連性)
- 血液検査(特異的IgE抗体検査)
- 皮膚プリックテスト(専門医療機関で実施)
- 食物経口負荷試験(医師の監督下で少量の疑わしい食品を摂取して反応を見る)
これらの検査は、原因食物の特定や症状の重症度を評価するために重要です。
7.すみだ両国まちなかクリニックでのサポート
当院では、食物アレルギーが疑われるお子さまに対して以下のサポートを提供しています:
- 問診・診察
- 症状の経過、食べた食品との関連性を詳しくお聞きします
- 皮膚の状態を丁寧に診察
- アレルギー検査
- 血液検査による特異的IgE抗体検査の実施
- 結果に基づいた食生活のアドバイス
- 治療と生活指導
- 抗ヒスタミン薬など症状を緩和する薬の処方
- 除去食についての具体的な指導
- 食品表示の見方や代替食品の紹介
- 専門医療機関の紹介
- 重症例や複雑なケースでは、アレルギー専門医をご紹介
- 詳細な検査(皮膚プリックテストや食物経口負荷試験など)が必要な場合は、連携医療機関をご紹介
エコーやCT、MRI、レントゲンなどの検査が必要と判断された場合は、連携医療機関をご紹介いたします。
8.食物アレルギーの管理と予防
- 原因食品の回避
- 医師の指導に基づいた適切な除去食
- 過剰な除去は栄養バランスを崩す可能性があるため注意
- 食品表示の確認習慣
- 加工食品の原材料表示を必ず確認
- 特定原材料7品目(卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、かに)は表示義務あり
- 周囲への理解促進
- 保育園・幼稚園・学校への情報共有
- 家族や親戚にもアレルギーについて理解してもらう
- 経過観察と定期検査
- 多くの食物アレルギーは成長とともに改善
- 定期的な検査で耐性獲得(食べられるようになる)状況を評価
9.まとめ
- 特定の食品摂取後に蕁麻疹が出る場合は、食物アレルギーの可能性がある
- 呼吸困難や意識障害などの重篤な症状があれば、直ちに救急車を
- 原因食品の特定と適切な対応は専門医による診断が重要
- 多くの食物アレルギーは成長とともに改善する可能性があるため、定期的な評価が大切
- すみだ両国まちなかクリニックでは、食物アレルギーの診断・管理を丁寧にサポートします
お子さまの食物アレルギーでお悩みの際は、まずはすみだ両国まちなかクリニックにご相談ください。症状の程度や検査結果に応じて、適切な対応を一緒に考えていきます。