小児科症状
嘔吐と水様性の下痢が続く
「子どもが何度も吐いて、水のような下痢が続いている」「食欲がなく、ぐったりしている」
お子さまがこのような症状を示すと、保護者の方は不安になりますよね。特に乳幼児の場合、嘔吐や下痢が続くと急速に脱水症状に陥りやすく、適切な対応が必要です。このページでは、お子さまの嘔吐・下痢の原因や対処法、受診の目安についてご説明します。
1.嘔吐と下痢の主な原因
小児の嘔吐と下痢の多くは感染症が原因です。代表的なものには:
- ウイルス性胃腸炎
- ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなどによる感染
- 特に冬季から春先に流行する傾向あり
- 接触感染・飛沫感染で広がりやすい
- 細菌性胃腸炎
- サルモネラ菌、カンピロバクター、病原性大腸菌などによる感染
- 食中毒として発症することも多い
- 夏場に増加する傾向がある
- その他の原因
- 食物アレルギー
- 薬の副作用
- ストレスや過労
- まれに腸重積や虫垂炎などの外科的疾患
2.注意すべき危険サイン
以下のような症状がある場合は、脱水症状や重篤な状態の可能性があり、早急な受診が必要です:
- 6時間以上嘔吐が続く(特に乳幼児)
- 水分を全く受け付けない
- 尿の回数が著しく減る(6〜8時間以上おむつが濡れない)
- 便に血液や粘液が混じる
- 高熱(38.5℃以上)が続く
- 強い腹痛を訴える
- ぐったりして反応が悪い
- 目が落ちくぼむ、涙が出ない、唇や舌が乾燥している
- 皮膚の弾力性が低下(つまんだ皮膚がゆっくり戻る)
3.ご家庭でできる対応
- 水分補給の工夫
- 経口補水液(OS-1など)を少量ずつ頻回に与える
- 一度に大量の水分は与えず、5〜10分ごとに小さじ1杯程度から始める
- 経口補水液がない場合は、薄めのお茶やスポーツドリンク(水で2倍に薄める)
- 食事の与え方
- 嘔吐が落ち着くまでは無理に食べさせない
- 回復期には消化のよいおかゆ、うどん、煮込みうどんなどから始める
- 徐々に普通食に戻していく
- 二次感染を防ぐための注意点
- 患児の便や嘔吐物を処理する際は手袋を使用
- 処理後は石鹸でしっかり手洗いし、アルコール消毒も行う
- タオルの共有を避ける
4.受診すべきタイミング
- 乳児(特に3ヶ月未満)は嘔吐・下痢が数回続いたら早めに受診
- 年長児でも24時間以上症状が続く場合は受診を検討
- 上記の危険サインがひとつでもある場合は迅速に受診
- 夜間・休日で症状が重い場合は救急外来へ
感染性胃腸炎は短期間で改善することが多いですが、特に小さなお子さまは急速に状態が悪化することがあります。「様子を見よう」と迷ったら、むしろ早めに医療機関に相談するほうが安心です。
5.当院(すみだ両国まちなかクリニック)でのサポート
当院では、嘔吐・下痢症状のあるお子さまに対して以下の診療を行っています:
- 問診・診察
- 症状の発症時期、回数、性状などを詳しくお聞きします
- 体重測定で脱水の程度を評価
- 全身状態や腹部の診察
- 必要に応じた検査
- 症状に合わせた検査を実施
- 発熱を伴う場合には、感染症の迅速検査を実施することがあります
- 治療方針
- 脱水の程度に応じた水分補給の指導
- 必要に応じて対症療法の薬を処方
- 重症例や検査が必要な場合は、連携医療機関をご紹介
嘔吐や下痢が続く場合、エコー、CT、MRI、レントゲンなどの検査が必要と判断された場合は、連携医療機関をご紹介いたします。
6.予防のポイント
- 手洗いの徹底
- 外出後、食事前、トイレの後は必ず石鹸で丁寧に手を洗う
- 特に爪の間や指の間も意識して洗う
- 食品の取り扱い
- 生肉や魚は十分に加熱する
- 調理器具の洗浄・消毒を徹底する
- 適切な温度で食品を保存する
- 予防接種の検討
- ロタウイルスワクチンは定期接種として生後6週から接種可能
- 接種時期や回数については医師にご相談ください
7.まとめ
- 小児の嘔吐・下痢は多くの場合、ウイルス性胃腸炎など感染症が原因
- 脱水症状は小児、特に乳幼児では急速に進行する可能性があるため要注意
- 危険サインがあれば迷わず受診を
- 自宅では少量頻回の水分補給を心がける
- 手洗いなどの予防対策を徹底する
お子さまの健康は何よりも大切です。嘔吐や下痢の症状でお困りの際は、すみだ両国まちなかクリニックにお気軽にご相談ください。医師・スタッフ一同、お子さまの早期回復をサポートいたします。