内科症状

お腹周りの脂肪と高血糖

「健康診断で血糖値が高いと指摘された」「お腹周りの脂肪が気になり、ウエストのサイズが大きくなった」「内臓脂肪型肥満(メタボリックシンドローム)と診断された」
こうしたお腹周りの脂肪高血糖は密接に関連しており、放置すると糖尿病心血管疾患などの深刻な健康問題につながる可能性があります。特に内臓脂肪の蓄積は、インスリン抵抗性を引き起こし、血糖値の上昇を促進します。適切な生活習慣の改善と早期の医学的介入によって、これらの健康リスクを軽減することが可能です。

お腹周りの脂肪と高血糖の関係

  1. 内臓脂肪と血糖値の関連
    • 内臓脂肪からの悪影響:腹部に蓄積した内臓脂肪は、様々な生理活性物質(アディポサイトカイン)を分泌し、インスリンの働きを妨げる
    • インスリン抵抗性:内臓脂肪が増えると、筋肉や肝臓でのインスリンの効きが悪くなり(インスリン抵抗性)、血糖値が上昇しやすくなる
    • 慢性炎症:内臓脂肪の蓄積は軽度の慢性炎症を引き起こし、これがさらにインスリン抵抗性を悪化させる
  2. メタボリックシンドロームと糖尿病リスク
    • メタボリックシンドローム:内臓脂肪型肥満に加え、高血圧、脂質異常症、高血糖のうち2つ以上を合併する状態
    • 糖尿病への進行:持続的な高血糖は、やがて2型糖尿病へと進行する可能性が高い
    • 悪循環:高血糖自体がさらなるインスリン抵抗性を促進し、症状を悪化させる
  3. 関連する健康リスク
    • 心血管疾患:内臓脂肪型肥満と高血糖は、心筋梗塞や脳卒中などのリスクを高める
    • 脂肪肝:過剰なカロリー摂取と高血糖により、肝臓に脂肪が蓄積し、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)につながる
    • 高血圧:内臓脂肪の増加は血圧上昇と関連している
    • 睡眠時無呼吸症候群:内臓脂肪型肥満は睡眠障害のリスクを高め、これが血糖コントロールをさらに悪化させる

こんな症状や状態があれば要注意

  • ウエスト周囲径が増加(男性85cm以上、女性90cm以上
  • 空腹時血糖値が100mg/dL以上、またはHbA1c(ヘモグロビンA1c)が5.6%以上
  • 喉の渇き、頻尿、疲労感などの高血糖症状
  • 食後の強い眠気
  • 皮膚の一部(特に首や脇の下)が黒ずむ(黒色表皮腫:インスリン抵抗性の徴候)
  • 激しい運動をしていないのに急な体重減少がある(糖尿病の可能性)
  • 傷の治りが遅い
  • 視力の変化(高血糖による影響の可能性)
  • 家族に糖尿病の方がいる(遺伝的要因も重要)

これらの症状や状態は、血糖値の上昇や内臓脂肪の蓄積に関連している可能性があります。早期発見と対策が重要です。

生活習慣での改善策

  1. 食事改善
    • 炭水化物の質と量の見直し:精製炭水化物(白米、白パン、菓子類など)を減らし、食物繊維が豊富な全粒穀物や野菜を増やす
    • 規則正しい食事:1日3回の適切な時間での食事を心がけ、夜遅い食事を避ける
    • タンパク質の適切な摂取:良質なタンパク質(魚、大豆製品、鶏肉など)を各食事に取り入れる
    • 食べる順序の工夫:野菜→タンパク質→炭水化物の順に食べると、食後の血糖上昇を緩やかにできる
    • 間食の見直し:糖分の多いお菓子やジュースを控え、ナッツや低糖質のおやつに切り替える
  2. 適切な運動習慣
    • 有酸素運動:ウォーキング、水泳、サイクリングなどを週に150分以上
    • 筋力トレーニング:筋肉量を増やすことでインスリン感受性を高める(週に2回以上)
    • 日常活動量の増加:エレベーターの代わりに階段を使う、少し遠くに駐車するなど
    • 座りっぱなしの時間を減らす:30分ごとに立ち上がる、ストレッチをするなど
  3. 睡眠と休養
    • 十分な睡眠時間(7~8時間)を確保する
    • 質の良い睡眠のために、寝る前のスマホやPC使用を控える
    • 適度なストレス管理でコルチゾール(ストレスホルモン)の上昇を防ぐ
  4. その他の生活習慣
    • 禁煙:喫煙はインスリン抵抗性を悪化させる
    • 適度な飲酒:過剰なアルコール摂取は内臓脂肪を増やし、血糖コントロールを悪化させる
    • 水分摂取:十分な水分を摂取し、糖分の多い飲料を避ける

いつ受診すべき?

  • 健康診断で空腹時血糖値が100mg/dL以上、またはHbA1cが5.6%以上
  • 口渇、頻尿、疲労感などの高血糖症状がある
  • ウエスト周囲径が基準値を超えている(男性85cm以上、女性90cm以上)
  • 家族に糖尿病患者がいて、自分も症状や兆候がある
  • 糖尿病の前段階(境界型糖尿病)と診断されている
  • 妊娠中または妊娠を計画中で、高血糖リスクがある

早期の介入が将来の糖尿病発症リスクを大幅に低減できることが研究で示されています。特に前糖尿病の段階での生活習慣改善は非常に効果的です。

診察・検査で何がわかる?

  1. 問診と診察
    • 食生活、運動習慣、家族歴などの詳細な評価
    • 身体測定(身長、体重、BMI、ウエスト周囲径)
    • 血圧測定
    • 皮膚症状(黒色表皮腫など)のチェック
  2. 血液検査
    • 空腹時血糖値:糖尿病の診断基準は126mg/dL以上
    • HbA1c(ヘモグロビンA1c):過去1~2ヶ月の平均血糖値を反映(6.5%以上で糖尿病の診断)
    • 75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT):糖の代謝能力を評価(必要に応じて)
    • 空腹時インスリン値:インスリン抵抗性の評価に役立つ
    • 脂質プロファイル(LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪)
    • 肝機能検査:脂肪肝の評価
  3. 必要に応じた精密検査(連携医療機関でのご案内)
    • 腹部超音波検査:内臓脂肪量や脂肪肝の評価
    • CT検査:内臓脂肪と皮下脂肪の正確な測定
    • 心電図:心血管系への影響評価

すみだ両国まちなかクリニックでのサポート

すみだ両国まちなかクリニックでは、お腹周りの脂肪と高血糖を抱える患者さんに対し、下記のような診療を行っています。

  1. 丁寧な問診と診察
    • 生活習慣(食事、運動、睡眠など)の詳細な評価
    • 身体測定(体重、BMI、ウエスト周囲径)
    • 血圧測定と身体診察
    • 症状や健康上の懸念についての十分な聞き取り
  2. 基本的な検査
    • 血液検査(空腹時血糖、HbA1c、脂質プロファイル、肝機能など)
    • 尿検査(糖や蛋白の有無)
    • 必要に応じた追加検査(インスリン値、腎機能など)
  3. 個別化された生活習慣改善プラン
    • 検査結果に基づいた具体的な食事アドバイス
    • 個々の状況に合わせた運動プログラムの提案
    • 減量目標の設定と進捗の定期的なモニタリング
    • 生活リズム改善のための実践的なアドバイス
  4. 薬物治療(必要な場合)
    • 血糖コントロールのための薬剤(必要に応じて)
    • 高血圧や脂質異常症などの合併症の管理
    • 服薬指導と副作用のモニタリング
  5. 定期的なフォローアップ
    • 定期的な血液検査で血糖値や脂質の変化を評価
    • 体重やウエスト周囲径の変化をモニタリング
    • 生活習慣改善の進捗確認とサポート
    • 治療計画の適宜見直し
  6. 専門医療機関との連携
    • 糖尿病専門医による精密検査や治療が必要な場合はご紹介
    • 腹部超音波検査やCT検査が必要な場合は、連携医療機関をご案内
    • 心電図検査が必要な場合も連携医療機関をご案内
    • 糖尿病性合併症(網膜症、腎症、神経障害など)のスクリーニングが必要な場合は専門医へのご紹介
    • 栄養指導や運動療法の専門家との連携

「少し血糖値が高いだけ」「お腹周りの脂肪は年齢的に仕方ない」と放置せず、早めの対策が重要です。
内臓脂肪の蓄積と高血糖は、適切な生活習慣の改善で十分に改善が期待できます。特に初期の段階での介入が効果的です。
すみだ両国まちなかクリニックでは、あなたの状態を総合的に評価し、一人ひとりに合った対策で、より健康的な生活の実現をサポートいたします。

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