内科症状

突然の息切れと意識の低下

「急に息苦しくなり、めまいや意識がもうろうとする」「運動していないのに突然息ができなくなり、ふらつきや意識障害がある」「呼吸が苦しく、同時に頭がぼーっとして周囲の状況が把握しづらい」
こうした突然の息切れと意識の低下が同時に起こる場合、緊急性の高い状態である可能性があります。特に循環器系の緊急疾患や呼吸器系の緊急疾患、重篤な代謝異常などが背景にあることが考えられます。迅速な対応と適切な医療機関での評価が生命予後に大きく影響するため、これらの症状が現れた場合は緊急性を要します。

突然の息切れと意識低下の主な原因

  1. 循環器疾患
    • 急性心筋梗塞:冠動脈の閉塞により心筋への血流が途絶え、心機能の低下による息切れと脳への血流減少による意識障害が起こりうる
    • 重症不整脈:心室頻拍や心室細動などの致命的な不整脈では、心拍出量が減少し、息切れと意識障害を同時に引き起こす
    • 肺塞栓症:肺の血管が血栓で詰まることにより、呼吸困難と循環不全による意識障害が現れる
    • 大動脈解離:大動脈の内膜が裂け、突然の激痛とともに血流障害や出血による意識低下が起こりうる
  2. 呼吸器疾患
    • 重症気管支喘息発作:気道の急激な狭窄により換気が制限され、低酸素血症による意識障害を伴うことがある
    • 緊張性気胸:肺から漏れた空気が胸腔内に溜まり続け、肺を圧迫することで呼吸不全と循環不全を起こす
    • 重症肺炎:特に高齢者や基礎疾患のある方では、急速に進行する肺炎で低酸素血症と意識障害を起こすことがある
  3. 代謝・血液疾患
    • 重症低血糖:特に糖尿病治療中の方で、血糖値が急激に低下した場合、中枢神経系への影響で意識障害と自律神経症状としての息切れが現れる
    • 重篤な電解質異常:カリウム、ナトリウム、カルシウムなどの電解質バランスの大きな乱れは、神経筋機能異常と呼吸障害を引き起こしうる
    • 重度の貧血:極度のヘモグロビン低下で、組織への酸素供給が不足し、息切れと意識障害を呈することがある
  4. 中枢神経系疾患
    • 脳卒中:特に脳幹部の梗塞や出血では、呼吸中枢への影響で呼吸パターンの異常と意識障害が同時に起こりうる
    • 髄膜炎・脳炎:中枢神経系の感染症で高熱、意識障害とともに神経原性の呼吸障害を呈することがある
  5. 中毒・薬物反応
    • 一酸化炭素中毒:無色無臭の一酸化炭素により、組織の酸素利用が阻害され、息切れと意識障害が生じる
    • アナフィラキシー:重篤なアレルギー反応で、気道狭窄と血圧低下により、呼吸困難と意識障害が急速に進行する

緊急性の高い警告サイン

  • 突然の強い胸痛を伴う息切れ
  • 唇や爪が青紫色になる(チアノーゼ:重度の低酸素状態を示す)
  • 冷や汗、顔面蒼白
  • 極度の混乱や意識レベルの急速な低下
  • 片側の手足の脱力やまひ、言語障害
  • 激しい頭痛を伴う意識低下
  • 座っていても息ができない、または会話が困難なほどの息切れ
  • 脈が非常に速い、遅い、または不規則

これらの症状が見られる場合は、緊急医療(119番通報)を要請する状況と考えられます。

緊急時の対応

  1. 迅速な医療機関への連絡
    • 上記の警告サインがある場合は、迷わず救急車(119)を呼ぶ
    • 本人や周囲の人が対応できる場合は、医療機関に事前連絡の上、速やかに受診する
  2. 応急処置
    • 安静を保つ:無理に動かず、楽な姿勢(多くは上半身を起こした状態)を取る
    • 気道確保:意識レベルが低下している場合は、気道が塞がらないよう横向きに寝かせる
    • 狭い衣服を緩める:首、胸、腹部の締め付けを緩和する
    • 体温管理:寒い環境では保温し、暑い環境では涼しくする
  3. 医療従事者に伝えるべき情報
    • 症状の出現時間と経過
    • 随伴症状(胸痛、頭痛、吐き気など)
    • 既往歴や服用中の薬剤
    • 最近の状況(旅行歴、食事内容、活動内容など)

医療機関を受診するタイミング

以下の場合は救急車(119)を呼ぶべき緊急事態です:

  • 突然の強い息切れと意識障害が同時に起こった
  • 症状が急速に悪化している
  • 会話が困難なほどの息切れがある
  • 意識がもうろうとして返答が不明瞭、または意識消失がある
  • 胸痛や激しい頭痛を伴う
  • 顔面や唇、爪が青紫色になっている

以下の場合は速やかに医療機関を受診すべきです

  • 軽度の息切れでも、普段と違う状況で突然発症した
  • 意識はあるが、めまいやふらつきが続く
  • 心疾患や呼吸器疾患、糖尿病などの基礎疾患がある
  • 最近手術や長時間の飛行機旅行、長期臥床があった(肺塞栓のリスク)

突然の息切れと意識の低下は、生命にかかわる緊急事態の可能性が高いため、自己判断での様子見は避け、迅速な医療機関の受診が必要です。

診察・検査で何がわかる?

  1. 救急初期評価
    • バイタルサイン(血圧、脈拍、呼吸数、体温、酸素飽和度)の測定
    • 意識レベルの評価(JCS、GCSなど)
    • 気道、呼吸、循環状態の緊急評価
  2. 基本的な検査
    • 血液検査:血算、電解質、肝機能、腎機能、心筋マーカー、血糖値、動脈血ガス分析など
    • 心電図:不整脈や急性心筋梗塞の評価
    • 胸部X線検査:肺炎、気胸、心不全などの評価(連携医療機関で実施)
  3. 追加検査(緊急度・症状に応じて連携医療機関で実施)
    • 心エコー検査:心機能や弁膜症、心タンポナーデなどの評価
    • 胸部CT:肺塞栓症、大動脈解離、詳細な肺病変の評価
    • 頭部CT/MRI:脳卒中、頭蓋内出血などの評価
    • 血液培養:感染症の原因検索
    • 脳脊髄液検査:髄膜炎/脳炎が疑われる場合
    • 毒物検査:中毒が疑われる場合

すみだ両国まちなかクリニックでのサポート

すみだ両国まちなかクリニックでは、突然の息切れと意識低下という緊急性の高い症状を訴える患者さんに対し、下記のような初期対応を行っています。

  1. 初期評価と救急トリアージ
    • バイタルサインの迅速な測定と評価
    • 意識レベルの確認
    • 呼吸状態の評価(呼吸数、呼吸パターン、SpO2など)
    • 緊急度の判断
  2. 基本的な救急処置
    • 酸素投与(必要に応じて)
    • 静脈路確保と緊急薬剤投与の準備
    • 安静維持と患者さんの安全確保
  3. 緊急連携体制
    • 症状の緊急度に応じた救急車の要請
    • 高次医療機関との連携と受け入れ調整
    • 救急隊への情報提供と引き継ぎ
  4. 専門医療機関への適切な紹介
    • 循環器疾患が疑われる場合は、循環器専門医療機関へのご紹介
    • 呼吸器疾患が疑われる場合は、呼吸器専門医療機関へのご紹介
    • 脳卒中が疑われる場合は、脳神経外科/神経内科専門医療機関へのご紹介
    • 専門的な検査(CT、MRI、心エコーなど)が必要な場合は、連携医療機関をご案内
  5. 経過観察と再評価(緊急性が低いと判断された場合)
    • 症状の変化を注意深く観察
    • 症状の原因として考えられる要因の検索
    • 再評価と必要に応じた専門医療機関への紹介

突然の息切れと意識の低下は生命を脅かす可能性のある緊急症状です。自己判断は危険な場合があり、速やかな医療機関の受診が必要です。
特に循環器疾患や呼吸器疾患の既往がある方、高齢者、基礎疾患をお持ちの方は、症状が軽度であっても早めの受診をお勧めします。
すみだ両国まちなかクリニックでは、緊急性の高い状態に対しては迅速な初期対応と適切な医療機関への連携を行い、患者さんの安全を最優先にした診療を心がけています。ただし、重篤な症状がある場合は、当院を受診するより直接救急車(119)を要請されることをお勧めします。

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