内科症状
寒気と発熱を繰り返す
「寒気がして体が震え、その後に高熱が出る症状を繰り返している」「熱が下がったと思ったら、また寒気とともに熱が上がってくる」「数日おきに悪寒と発熱を繰り返し、体調が安定しない」
こうした寒気と発熱を繰り返す症状は、単なる風邪とは異なる可能性があり、慢性的な感染症や炎症性疾患、自己免疫疾患などの徴候かもしれません。特に典型的な「熱型」(発熱のパターン)を示すことで、特定の疾患が疑われることもあります。適切な診断と治療のためには、発熱のパターンや随伴症状を詳しく医師に伝えることが重要です。
寒気と発熱を繰り返す主な原因
- 感染症
- マラリア:特徴的な周期性発熱(48時間または72時間おき)と悪寒戦慄を繰り返す。熱帯地域への渡航歴がある場合に疑われる
- 菌血症・敗血症:血液中に細菌が存在し、周期的な発熱と寒気を引き起こす。尿路感染症や肺炎などが原因となることも
- 結核:午後から夕方にかけての微熱と寝汗が特徴的。長期間(数週間以上)続くことが多い
- ブルセラ症:波状熱(熱が出ては下がるを繰り返す)が特徴的。生の乳製品摂取や家畜との接触歴が関連
- 伝染性単核球症(EBウイルス感染):10代や若年成人に多く、発熱、咽頭痛、リンパ節腫脹が特徴
- 自己免疫・炎症性疾患
- 成人スティル病:高熱(39℃以上)が1日1~2回出現し、サーモンピンク色の発疹や関節痛を伴う
- リウマチ性多発筋痛:高齢者に多く、肩や腰の痛みを伴う周期的な発熱
- 全身性エリテマトーデス(SLE):様々なパターンの発熱に加え、関節痛、皮疹、倦怠感などを伴う
- 血管炎症候群:様々な臓器の炎症による周期的な発熱と多彩な症状
- 悪性腫瘍
- 悪性リンパ腫:特にホジキンリンパ腫では、数日間隔で発熱と寒気が現れることがある(Pel-Ebstein熱)
- 腎細胞癌:発熱、体重減少、血尿などを伴うことがある
- 大腸癌や肝臓癌:進行例では発熱を伴うことがある
- 周期性発熱症候群
- 家族性地中海熱:遺伝性疾患で、短期間(1~3日)の周期的な発熱と腹痛、胸痛などを特徴とする
- 高IgD症候群:約4週間ごとの発熱発作を特徴とする遺伝性疾患
- その他
- 薬剤熱:特定の薬剤に対する反応で、薬の継続使用中に周期的な発熱が起こる
- クリプトコッカス症:免疫不全者に多い真菌感染症で、発熱と頭痛を主症状とする
- Q熱:マダニや家畜の分泌物から感染し、インフルエンザ様症状と肝機能障害を伴う
こんな症状があれば要注意
- 寒気と38℃以上の高熱が規則的なパターンで繰り返す
- 発熱と同時に激しい頭痛や項部硬直(首のこわばり)がある(髄膜炎の可能性)
- 発熱に加えて皮膚に出血斑やあざが出現する(敗血症や血液疾患の可能性)
- 発熱と寒気に加えて、原因不明の体重減少がある
- 夜間に著しい発汗(寝汗)がある
- 発熱とともに関節の痛みや腫れがある
- 発熱中に意識レベルの変化がある
- 発熱が2週間以上続いている
- 海外渡航歴や動物との接触歴がある
これらの症状が見られる場合、単なる一般的な感染症ではなく、より専門的な評価が必要な可能性があります。
3.家庭でできる対処法
- 発熱の記録
- 体温の変動を時間ごとに記録する(朝・昼・夕・夜など)
- 発熱前後の症状(寒気、発汗、頭痛など)も記録しておく
- 発熱のパターン(何日おきに起こるか、どの時間帯に高くなるかなど)を把握する
- 体調管理
- 十分な休息をとり、体力の消耗を防ぐ
- 水分をこまめに摂取し、脱水を予防する
- 解熱剤(アセトアミノフェンなど)で不快な症状を緩和する(ただし発熱パターンの把握のため、医師に相談するまでは頻繁な使用は避ける)
- 環境調整
- 室温と湿度を適切に保つ
- 衣類や寝具は吸湿性の良いものを選び、発汗時には交換する
- 清潔な環境を保ち、二次感染を予防する
- 栄養管理
- 消化の良い食事を心がける
- 栄養バランスを考えた食事で免疫力をサポート
- 食欲がない場合は、栄養価の高い流動食やスープなどを少量ずつ摂る
いつ受診すべき?
- 38℃以上の発熱が3日以上続く場合
- 解熱剤を使用しても熱が下がらない、または一時的に下がってもすぐに上昇する場合
- 寒気と発熱のサイクルが規則的に繰り返される場合
- 発熱に加えて、意識レベルの低下や極度の倦怠感がある場合
- 発熱とともに、呼吸困難や胸痛がある場合(緊急受診が必要)
- 発熱と同時に皮膚の発疹や出血傾向がある場合
- 熱が出る以外の期間も体調が優れない、または悪化している場合
- 免疫抑制状態(ステロイド使用中、化学療法中など)で発熱がある場合(緊急受診が必要)
- 海外渡航後や特殊な環境での活動後に発熱が始まった場合
専門的な評価と適切な検査によって、原因を特定し、的確な治療を受けることが重要です。自己判断での対応が遅れると、状態が悪化するリスクがあります。
診察・検査で何がわかる?
- 問診と診察
- 発熱のパターン、随伴症状、病歴、渡航歴などを詳しく聞き取り
- 全身状態の確認(リンパ節、皮膚、腹部、心音・肺音など)
- バイタルサイン(体温、脈拍、血圧、呼吸数など)の評価
- 基本的な検査
- 血液検査:血算(白血球数、赤血球数、血小板数)、炎症マーカー(CRP、赤沈など)、肝機能、腎機能
- 尿検査:尿路感染症や腎疾患のスクリーニング
- 血液培養:血液中の細菌を検出(特に不明熱の場合に重要)
- 追加検査(必要に応じて連携医療機関で実施)
- 胸部X線検査:肺炎、結核などの評価
- CT検査:深部感染、腫瘍、膿瘍などの評価
- 超音波検査:腹部臓器、心臓などの評価
- 特殊感染症検査:マラリア検査、結核検査、ウイルス抗体検査など
- 自己抗体検査:自己免疫疾患のスクリーニング
- 骨髄検査:血液疾患や悪性腫瘍の評価(専門医療機関で実施)
すみだ両国まちなかクリニックでのサポート
すみだ両国まちなかクリニックでは、寒気と発熱を繰り返す患者さんに対し、下記のような診療を行っています。
- 丁寧な問診と診察
- 発熱のパターン(頻度、持続時間、1日の変動など)を詳しく聞き取り
- 発熱に伴う症状(寒気、発汗、頭痛、関節痛など)の確認
- 生活環境、職業、渡航歴、接触歴などの聴取
- 身体診察による感染源や異常所見の検索
- 基本的な検査
- 血液検査(炎症反応、血算、肝機能、腎機能など)
- 尿検査
- 感染症スクリーニング(必要に応じて)
- 初期対応と治療
- 症状や検査結果に基づいた初期治療(抗生物質など)
- 発熱時の対処法や生活上の注意点のアドバイス
- 症状記録の方法指導(体温表の活用など)
- 専門医療機関との連携
- 血液培養や特殊感染症検査が必要な場合は、連携医療機関をご紹介
- 画像検査(胸部X線、CT、MRIなど)が必要な場合は、連携医療機関をご案内
- 不明熱(原因不明の発熱)と考えられる場合は、総合病院の総合内科や感染症科へのご紹介
- 自己免疫疾患が疑われる場合は、リウマチ・膠原病専門医へのご紹介
- 血液疾患や悪性腫瘍が疑われる場合は、血液内科や腫瘍内科へのご紹介
- 継続的なフォローアップ
- 定期的な再評価と経過観察
- 治療効果の確認と必要に応じた治療方針の見直し
- 専門医療機関と連携した継続的な管理
「単なる風邪だろう」「疲れがたまっているだけ」と自己判断せず、寒気と発熱を繰り返す場合は早めにご相談ください。
特徴的な発熱パターンは診断の重要な手がかりとなり、適切な検査と治療につながります。
すみだ両国まちなかクリニックでは、患者さんの症状を総合的に評価し、必要に