内科症状

食欲不振で体重が急激に減少

「食べたいと思わず、数か月で体重が5kg以上減った」「無理して食べても味がわからず、どんどん痩せていく」「食欲がなくなり、服がブカブカになるほど体重が減少した」
こうした食欲不振と急激な体重減少が同時に起こる場合、単なるストレスや一時的な体調不良ではなく、様々な疾患が潜んでいる可能性があります。特に意図せず短期間に体重の5%以上が減少した場合は、消化器疾患や内分泌疾患、悪性腫瘍などの重要なサインかもしれません。早期の適切な診断と治療が重要です。

食欲不振と体重減少の主な原因

消化器系疾患

  • 胃炎・消化性潰瘍:胃の炎症や潰瘍により食欲低下や食後の不快感が生じる
  • 炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎):腸の慢性炎症による食欲不振と栄養吸収障害
  • 膵炎・膵臓疾患:消化酵素の分泌不足による消化不良と体重減少
  • 慢性肝疾患:肝機能障害による食欲不振、悪心、代謝異常
  • 腸閉塞、腹部腫瘍:消化管の通過障害による食欲低下と嘔吐

内分泌・代謝疾患

  • 甲状腺機能亢進症:代謝が過剰に亢進し、食欲があっても体重が減少
  • 糖尿病(特に1型や未治療の2型):エネルギー代謝の異常により、食べても体重が減少
  • 副腎不全:副腎ホルモンの不足による食欲不振と疲労感

悪性腫瘍

  • 消化器がん(胃がん、膵臓がん、大腸がんなど):直接的な消化機能障害や腫瘍からの代謝物質による食欲低下
  • 血液系腫瘍(白血病、悪性リンパ腫):全身性の炎症反応や代謝変化
  • 肺がんなど:腫瘍から分泌される物質による食欲抑制(悪液質)

精神・神経疾患

  • うつ病:気分の落ち込みに伴う食欲低下
  • 摂食障害(神経性やせ症など):食事摂取を意図的に制限
  • 認知症:食事への関心や自発性の低下、嚥下障害

感染症

  • 慢性感染症:結核、HIV感染症、肝炎などによる長期的な消耗
  • 寄生虫感染:栄養の奪取や慢性的な腸炎症

薬剤性

  • 抗がん剤:悪心・嘔吐や味覚変化による食欲低下
  • 向精神薬、抗うつ薬:一部の薬剤で食欲や味覚に影響
  • オピオイド鎮痛薬:便秘や悪心による食欲低下

その他

  • 慢性疼痛:痛みによるストレスや活動制限
  • 嚥下障害:脳卒中後などで食物摂取が困難に
  • 高齢者の複合要因:味覚低下、歯科問題、社会的孤立など

こんな症状があれば要注意

  • 短期間(3~6ヶ月)で体重の5~10%以上の減少
  • 著しい食欲不振や食べる量の減少
  • 食後の腹痛、下痢、嘔吐などの消化器症状
  • 発熱や寝汗が続く
  • 原因不明の慢性的な疲労感
  • 皮膚や白目が黄色くなる(黄疸)
  • 通常とは異なる便通異常(血便、黒色便、粘液便など)
  • 飲み込みにくさや喉の違和感
  • 味覚・嗅覚の変化
  • 腹部のしこりや膨らみ

これらの症状、特に急激な体重減少を伴う場合は、重大な健康問題のサインである可能性があります。自己判断せず、医療機関での評価をお勧めします。

生活習慣での工夫と対処法

食事の工夫

  • 少量頻回:一度に大量ではなく、少量を数回に分けて摂取
  • 栄養密度の高い食品:カロリーやタンパク質が豊富な食品を優先的に摂取
  • 食事環境の整備:楽しく食べられる雰囲気づくり、好みの料理を取り入れる
  • 食べやすい形態:柔らかく、消化しやすい調理法を選ぶ

栄養補助

  • 栄養補助飲料:市販の高カロリー飲料やプロテイン飲料を活用
  • 間食の活用:ヨーグルト、ナッツ類、果物など栄養価の高いスナックを取り入れる
  • 調味料や香辛料:味覚が鈍い場合、適切な調味料で風味を増す

生活リズムの調整

  • 適度な運動:軽い散歩など、可能な範囲での身体活動で食欲増進
  • 規則正しい生活:一定の時間に食事をとる習慣づけ
  • 十分な睡眠:質の良い睡眠で体調を整える

心理的サポート

  • ストレス軽減:リラクゼーション法や趣味の時間を持つ
  • 社会的交流:家族や友人との食事で食欲を促進
  • 必要に応じて専門家に相談:うつ症状や不安が強い場合

いつ受診すべき?

  • 意図せず3~6ヶ月で体重の5%以上が減少した場合
  • 食欲不振が2週間以上続く場合
  • 嚥下困難や持続する腹痛、嘔吐がある場合
  • 血便や黒色便がある場合(緊急受診が必要)
  • 黄疸(皮膚や白目が黄色い)がある場合
  • 発熱や寝汗が持続する場合
  • 65歳以上の高齢者や基礎疾患(糖尿病、心疾患など)がある方の急激な食欲低下や体重減少
  • 精神症状(強い抑うつ気分など)を伴う食欲不振

意図しない体重減少、特に短期間での顕著な減少は、重要な健康問題のサインかもしれません。早期の評価と対応が重要です。

診察・検査で何がわかる?

問診と診察

  • 体重変化の詳細(いつから、どのくらい減少したか)
  • 食欲不振の特徴(特定の食品に対する嫌悪感、味覚変化など)
  • 随伴症状(腹痛、嘔吐、発熱など)の評価
  • 全身状態と栄養状態の確認
  • 腹部の診察(腫瘤、圧痛などの有無)

基本的な検査

  • 血液検査:血算、肝機能、腎機能、電解質、甲状腺機能、炎症マーカー、血糖値など
  • 尿検査:腎機能や糖尿病のスクリーニング
  • 便検査:潜血、感染症、炎症の評価
  • 追加検査(必要に応じて連携医療機関で実施)
  • 画像検査:腹部超音波検査、胸部X線検査、CT、MRIなど
  • 内視鏡検査:上部・下部消化管内視鏡
  • 組織生検:疑わしい病変からサンプルを採取
  • 特殊検査:ホルモン検査、自己抗体検査、腫瘍マーカーなど
  • 心理評価:うつ病や摂食障害のスクリーニング

すみだ両国まちなかクリニックでのサポート

すみだ両国まちなかクリニックでは、食欲不振と体重減少を訴える患者さんに対し、下記のような診療を行っています。

丁寧な問診と診察

  • 体重変化のパターンと食欲不振の詳細な聞き取り
  • 生活環境や食習慣、ストレス要因の評価
  • 全身状態の確認と身体診察
  • 栄養状態の評価

基本的な検査

  • 血液検査(血算、肝機能、腎機能、甲状腺機能、炎症反応など)
  • 尿検査
  • 必要に応じた追加検査

初期対応と支援

  • 検査結果に基づいた初期治療(対症療法など)
  • 栄養摂取の改善に関するアドバイス
  • 必要に応じた薬物療法(食欲促進、消化機能改善など)
  • 体重と食事摂取量のモニタリング方法の指導

専門医療機関との連携

  • 消化器疾患が疑われる場合は、消化器内科専門医へのご紹介
  • 内分泌疾患が疑われる場合は、内分泌内科へのご紹介
  • 精神的要因が強い場合は、心療内科や精神科へのご紹介
  • 腫瘍性疾患が疑われる場合は、適切な専門医療機関へのご紹介
  • 画像検査(腹部超音波、CT、MRIなど)や内視鏡検査が必要な場合は、連携医療機関をご案内

継続的なフォローアップ

  • 定期的な体重測定と全身状態の評価
  • 治療効果の確認と方針の適宜見直し
  • 専門医療機関と連携した継続的なサポート

「年齢のせい」「仕事が忙しいから」と自己判断せず、食欲不振と体重減少が続く場合は早めにご相談ください。
特に短期間での著しい体重減少は、重大な疾患のサインとなることがあります。
すみだ両国まちなかクリニックでは、患者さんの症状を総合的に評価し、必要に応じて専門医療機関と連携しながら、原因究明と適切な治療につなげるサポートをいたします。

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