訪問診療対象の疾患

ゲーム障害・インターネット依存(依存症)

近年、日常生活に支障をきたすほどゲームやインターネットに没頭してしまう「ゲーム障害」や「インターネット依存」が深刻な社会問題となっています。「やめさせたいけれど、暴れて手がつけられない」「部屋に引きこもってしまい、病院に連れていくことすらできない」といったお悩みを抱えるご家族は少なくありません。

この病気は、本人の意志の弱さや親の育て方の問題ではなく、治療が必要な「疾患」であるケースが多く存在します。しかし、当事者が受診を拒否することが多いため、適切な医療につながるまでのハードルが非常に高いのが現実です。

当院では、通院が困難な患者様のために、医師がご自宅へ伺う「訪問診療」や「在宅医療」を行っています。住み慣れた環境で、少しずつ信頼関係を築きながら治療を進めていくことが可能です。ご家族だけで抱え込まず、専門家のサポートを受けることが解決への第一歩です。

訪問診療のご相談は、HPからのお問い合わせの他、直接、医師に話したいという方や、通院負担の移行を迷っている方向けに外来でのご相談も承っております。

疾患と訪問診療の対象

ゲーム障害・インターネット依存(依存症)とは

ゲーム障害・インターネット依存とは、ゲームやネット利用を自らコントロールできなくなり、日常生活や健康、人間関係、学業・仕事などに著しい悪影響が出ているにもかかわらず、やめられない状態を指します。WHO(世界保健機関)でも国際疾病分類において新たな疾患として認定されています。

脳の報酬系機能の異常が関与していると考えられており、アルコールやギャンブル依存と同様のメカニズムが働いています。昼夜逆転による睡眠障害、食事をとらないことによる栄養失調、運動不足による体力低下などの身体的問題に加え、うつ病や発達障害(ADHDやASD)が背景に隠れていることもあります。

この疾患において訪問診療が必要となる最大の理由は、「社会的引きこもり」や「受診拒否」です。本人は病気の自覚がない(否認する)ことが多く、無理に外出させようとすると家庭内暴力に発展するケースもあるため、医療機関への通院自体が困難な状態に陥りやすいのです。

訪問診療の対象となる方

当院の訪問診療は、主に以下のような状況にある方を対象としています。

  • ゲームやネットに没頭し、部屋から出てこないため通院ができない方
  • 外出を促すと激しく抵抗したり、暴力を振るったりするため、家族だけでは受診させられない方
  • 昼夜逆転の生活が定着し、日中の診療時間に病院へ行くことが不可能な方
  • 背景にうつ病や発達障害の疑いがあるものの、未診断・未治療のまま自宅に引きこもっている方
  • 食事や入浴などのセルフケアができず、心身の健康状態が悪化している方

当院の訪問診療サポート

在宅で直面する具体的な不安

ゲーム障害やインターネット依存を抱える患者様とそのご家族は、閉ざされた自宅の中で以下のような深刻な不安や困りごとに直面しています。

  • 家庭内暴力と暴言:ゲームやWi-Fiを取り上げようとしたり、注意をしたりすると、壁を殴る、物を壊す、家族に暴力を振るうなどの攻撃的な行動が見られ、家族が身の危険を感じている。
  • 生活リズムの崩壊と身体的衰弱:食事も摂らずに何十時間もプレイし続ける、トイレにも行かない、入浴しないなど、衛生状態や栄養状態が極端に悪化しており、命に関わるのではないかと心配している。
  • コミュニケーションの断絶:家族との会話が一切なくなり、何を考えているのか分からない。部屋に鍵をかけて孤立しており、安否確認さえ難しい状況が続いている。
  • 将来への絶望感:学校に行かない、働かない期間が長引き、「このまま一生引きこもりのままなのではないか」「親が亡くなった後はどうなるのか」という経済的・社会的な不安がご家族を圧迫している。
  • 共依存関係への悩み:「自分が世話をしなければ」という親心から、過度な世話焼きや金銭援助をしてしまい、結果的に依存状態を助長してしまっているのではないかという葛藤がある。

当院が提供できる専門的な治療・ケア

当院では、このような複雑な課題に対し、以下のような専門的なアプローチでサポートを行います。

  • 信頼関係(ラポール)の構築:まずは「ゲームを取り上げる敵」ではなく、「味方」として認識してもらうことから始めます。医師が自宅へ伺い、本人のテリトリーである安心できる空間で、焦らず対話を重ねます。ドア越しの会話からスタートする場合もあります。
  • 身体的・精神的状態の医学的評価:栄養状態のチェックや、睡眠障害の改善を図ります。また、背景にうつ病、不安障害、発達障害などが隠れていないかを見極め、必要に応じて適切な薬物療法を導入し、衝動性や不安感を緩和します。
  • 家族支援と環境調整:ご家族へのカウンセリングを通じて、本人との適切な距離の取り方や接し方(対応方法)をアドバイスします。家庭内の緊張を和らげ、治療に向かいやすい環境を整えます。
  • 24時間365日の緊急往診体制:当院は24時間365日の緊急往診体制を敷いています。夜間にパニックを起こした際や、自傷他害のリスクが高まった際など、緊急時には医師が駆けつけ対応することが可能です。ご家族だけで抱え込まず、いつでも医療につながる安心感を提供します。

在宅療養を始めるためのサポート体制

ゲーム障害・インターネット依存の在宅療養には、多職種との連携が不可欠です。当院では、地域の精神保健福祉センターや基幹病院の精神科との連携を密に行い、必要に応じて入院治療への橋渡しもスムーズに行います。

また、生活リズムの再構築や社会復帰へ向けた支援として、精神科訪問看護との連携も重視しています。訪問看護師が定期的に訪問し、服薬管理や生活指導、悩みごとの相談に乗ることで、孤立を防ぎます。

さらに、状況に応じて介護保険サービス(居宅療養管理指導など)や自立支援医療制度の活用も視野に入れ、経済的な負担にも配慮しながら、医療と福祉・介護が一体となった包括的なサポート体制を構築します。ご家族だけで悩まず、社会資源を有効に活用できるよう私たちが調整いたします。

ご相談方法と診療開始までの流れ

当院は、墨田区、江東区、台東区、中央区、荒川区、江戸川区、千代田区を中心に訪問診療を提供しております。その他のエリアについても、患者様の状況やご希望に応じて対応可能な場合もございます。

① 外来でご相談いただく場合の流れ

まずは、ご家族のみでの相談も可能です。「どう対応していいかわからない」という段階でも構いません。

  • ご予約:お電話またはWeb予約フォームより、外来相談(家族相談)をご予約ください。
  • 受付・問診:現在の患者様の状況、家庭内の様子、これまでの経過などを詳しく伺います。
  • 医師による診察・相談:訪問診療の適応判断や、今後の治療方針、接し方についてアドバイスを行います。

② 訪問診療を希望する場合の流れ

最初から訪問診療をご希望される場合も、スムーズに導入できるようサポートいたします。

  • お問い合わせ:HPのお問い合わせフォーム、またはお電話にてご連絡ください。
  • 事前面談:相談員または看護師が、現在の状況や困りごとを詳しく伺います(お電話でも可能です)。
  • 初回訪問・診療開始:医師とスタッフがご自宅へ伺い、診療を開始します。本人が会いたがらない場合は、ご家族との面談やドア越しのアプローチから始めます。

詳しい流れはこちらのページへ

ゲーム障害・インターネット依存による自宅での療養不安や症状でお悩みなら、まずご相談ください

「ゲームをやめさせようとすると暴れる」「部屋から出てこず、どう接していいかわからない」といったお悩みは、ご家族だけで解決することが非常に難しい問題です。しかし、適切な医療介入と周囲のサポートがあれば、状況は少しずつ変えていくことができます。

当院は、患者様ご本人の心に寄り添うことはもちろん、疲弊してしまっているご家族を支えることも大切な使命だと考えています。無理に病院へ連れ出そうとする必要はありません。まずは私たちがご自宅へ伺い、解決の糸口を一緒に探します。

ゲーム障害・インターネット依存の在宅療養でお困りなら、まずご相談ください。私たちと一緒に、穏やかな日常を取り戻すための一歩を踏み出しましょう。

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