摂食障害(神経性やせ症・過食症)
「食事を摂るのが怖い」「痩せているのにまだ太っていると感じる」といった摂食障害(神経性やせ症・過食症)は、患者様ご本人の苦しみはもちろん、見守るご家族にとっても非常に大きな不安と葛藤を伴う病気です。
病状が進行すると、極度の低栄養状態による身体機能の低下や、精神的な理由から外出が困難になり、通常の通院継続が難しくなるケースが少なくありません。在宅医療(訪問診療)は、そのような状況にある患者様が、住み慣れた自宅で安心して療養生活を送るための選択肢の一つです。
訪問診療のご相談は、HPからのお問い合わせの他、直接、医師に話したいという方や、通院負担の移行を迷っている方向けに外来でのご相談も承っております。
疾患と訪問診療の対象
摂食障害(神経性やせ症・過食症)とは
摂食障害は、食事量や体重に対する極端なこだわりや歪んだ認識により、心身の健康を損なう疾患です。神経性やせ症(拒食症)と神経性過食症(過食症)が代表的ですが、これらは相互に行き来することもあります。
初期は「痩せたい」という願望から始まりますが、重症化すると極度の低体重、電解質異常、不整脈、低血糖など、生命に関わる身体的合併症を引き起こします。
訪問診療が必要になるのは、単に「食事が摂れない」だけでなく、著しい体力低下により通院が身体的に困難な場合や、対人恐怖や抑うつ症状が強く自宅から出られない「引きこもり」の状態、または生命維持のために厳密な身体管理が必要な状態にある場合です。
訪問診療の対象となる方
当院の訪問診療では、主に以下のような状況にある摂食障害の患者様を対象としています。
- 極度の低体重や筋力低下により、自力での通院が困難で寝たきりに近い状態の方
- 精神的な不安や対人緊張が強く、外来受診を拒否してしまう方
- 過食嘔吐や下剤乱用による電解質異常があり、自宅での定期的な点滴や血液検査が必要な方
- 栄養状態が悪化しており、経管栄養(経鼻栄養など)や中心静脈栄養の管理が必要な方
- 病識(自分が病気であるという認識)が薄く、医療機関へ足を運ぶこと自体に強い抵抗があるが、身体的な介入が不可欠な方
当院の訪問診療サポート
在宅で直面する具体的な不安
摂食障害の患者様を在宅で支えるご家族は、日々次のような不安や課題に直面されています。
- 生命の危険への不安:「いつ倒れてもおかしくないほど痩せている」「低血糖で意識を失うのではないか」という恐怖。
- 食事・栄養管理の難しさ:食事を勧めても拒否される、隠れて捨てる、あるいは過食後に嘔吐するといった行動への対応への疲弊。
- 医療拒否への対応:本人が受診を頑なに拒否するため、身体状態が悪化しているのにどうすることもできないという無力感。
- 合併症のリスク:骨粗鬆症による骨折や、脱水症状、感染症にかかりやすくなっていることへの懸念。
- 家族関係の悪化:食事をめぐる口論が絶えず、介護する家族自身が精神的に追い詰められてしまうこと。
当院が提供できる専門的な治療・ケア
当院では、患者様の身体的および精神的な負担を考慮し、以下のような医療ケアを自宅で提供します。
- 身体状態の厳密な管理:定期的な訪問によるバイタルチェック、血液検査を行い、電解質バランスや栄養状態、内臓機能の数値をモニタリングします。
- 点滴・栄養療法:脱水や低栄養が著しい場合、自宅での点滴管理を行います。必要に応じて、高カロリー輸液(中心静脈栄養)や経管栄養の管理にも対応します。
- 合併症の予防と処置:褥瘡(床ずれ)の予防・処置や、便秘・下痢などの消化器症状に対する投薬コントロールを行います。
- 精神的サポートと信頼関係の構築:「食べさせること」だけを強要せず、まずは患者様の辛さに寄り添い、信頼関係を築くことを最優先します。無理のない範囲で治療への動機づけを行います。
- 24時間365日の緊急往診体制:夜間や休日に急な体調変化(意識消失、転倒、激しい腹痛など)があった場合でも、当院は24時間365日対応可能な緊急往診体制を整えておりますので、安心して在宅療養を継続いただけます。
在宅療養を始めるためのサポート体制
摂食障害の在宅療養においては、身体管理だけでなく心のケアや生活環境の調整も重要です。当院では、地域の精神科病院や心療内科クリニックと連携し、必要に応じて専門医の助言を仰ぎながら診療を進めます。
また、訪問看護師による日々の見守りや服薬管理、ケアマネジャーによる生活環境の調整など、多職種がチームとなって患者様とご家族を支えます。
介護保険が適用となる場合は、居宅療養管理指導などを通じて、医療と介護が一体となった切れ目のないサービスを提供し、ご家族の介護負担軽減にも努めます。
ご相談方法と診療開始までの流れ
当院は、墨田区、江東区、台東区、中央区、荒川区、江戸川区、千代田区を中心に訪問診療を提供しております。その他のエリアについても、患者様の状況やご希望に応じて対応可能な場合もございますので、個別にご相談ください。
① 外来でご相談いただく場合の流れ
外来でのご相談をご希望される場合の基本的な流れは以下の通りです。
- 予約・受付: お待たせしないよう、お電話等で事前にご予約の上、ご来院ください。
- 問診・相談: 現在の病状、通院に関するお悩み、ご家族の介護状況などをお伺いします。
- 方針検討: 訪問診療に移行した場合の具体的なメリット・デメリットをご説明し、患者様にとって最適な治療方針を医師と一緒に検討します。
② 訪問診療を希望する場合の流れ
訪問診療をご希望される場合の基本的な流れは以下の通りです。
- お問い合わせ: お電話またはHPの問い合わせフォームよりご連絡ください。
- 事前面談・相談: 相談員(または医師・看護師)が、現在の病状やご家族の状況、ご要望を詳しく伺います。
- 診療開始: 契約手続き完了後、初回訪問の日程を調整し、定期的な訪問診療を開始します。
摂食障害(神経性やせ症・過食症)による自宅での療養不安や症状でお悩みなら、まずご相談ください
「痩せすぎている家族をどう支えればいいかわからない」「本人が病院に行きたがらず困り果てている」など、摂食障害の在宅療養でお困りなら、まずご相談ください。
身体的な管理はもちろん、患者様とご家族の心の負担を少しでも軽くできるよう、私たちが全力でサポートいたします。一人で抱え込まず、当院へお問い合わせください。

