訪問診療対象の疾患

うつ病(思春期・若年者)

思春期や若年期のお子様が、「学校に行けない」「部屋から出てこない」「家族との会話を避けるようになった」といった変化を見せ、どう接してよいか分からず悩んでいらっしゃるご家族は少なくありません。ご本人が一番苦しいのはもちろんですが、見守るご家族にとっても、出口の見えないトンネルの中にいるような不安な日々かと思います。

「病院に連れて行きたいけれど、本人が拒否して動かない」「無理に連れ出そうとすると暴れてしまう」といった事情で、適切な医療に繋がれないケースも多く見受けられます。そのような時、医師がご自宅へ伺う「訪問診療」や「在宅医療」という選択肢が、状況を好転させるきっかけになることがあります。住み慣れた自宅という安全な環境で、少しずつ心の回復を目指すお手伝いをさせてください。

訪問診療のご相談は、HPからのお問い合わせの他、直接、医師に話したいという方や、通院負担の移行を迷っている方向けに外来でのご相談も承っております。まずは、ご家族だけで抱え込まず、私たちにご相談ください。

疾患と訪問診療の対象

うつ病(思春期・若年者)とは

思春期や若年期のうつ病は、成人のうつ病とは異なり、「気分の落ち込み」よりも、イライラ感や攻撃性、あるいは頭痛や腹痛といった身体症状が前面に出ることが特徴です。学業のストレス、友人関係の悩み、家庭環境の変化、進路へのプレッシャーなどが複雑に絡み合い、脳のエネルギーが枯渇してしまう状態です。

初期には「怠け」や「反抗期」と誤解されやすく、発見が遅れることもあります。病状が進行すると、極度の意欲低下により入浴や着替えができなくなったり、昼夜逆転生活が定着したりします。

訪問診療が必要になるのは、ご本人が外出すること自体に強い恐怖心や拒否感を持っており、通院のための外出が大きな精神的・身体的負担となって症状を悪化させるリスクがある場合や、完全に自室に引きこもってしまい、外部との接触が途絶えているような状態です。

訪問診療の対象となる方

当院の訪問診療は、主に以下のような状況にある思春期・若年者のうつ病患者様を対象としています。

  • 通院が困難な状態: 精神的な不安や対人恐怖が強く、クリニックへ足を運ぶことができない、または待合室で待つことが耐えられない方。
  • 自宅での生活リズムが崩れている方: 昼夜逆転や食事・睡眠が不規則で、社会生活が著しく制限されており、自宅での生活指導や投薬管理が必要な方。
  • 家族関係に行き詰まっている方: 親子関係が悪化し、家族だけでは受診の説得や服薬の管理が難しく、第三者(医療者)の介入が必要な方。
  • 長期の引きこもり状態にある方: 長期間自室にこもっており、医療的ケアを受ける機会が失われている方。

当院の訪問診療サポート

在宅で直面する具体的な不安

思春期・若年者のうつ病をご自宅で療養する際、患者様ご本人やご家族は、次のような切実な不安や困りごとに直面されることが多いです。

  • コミュニケーションの断絶: 話しかけても無視される、あるいは「うるさい」と怒鳴られるなど、意思疎通が取れず、本人の考えていることや体調が把握できない。
  • 暴力や暴言への恐怖: 感情のコントロールが効かず、物にあたったり、家族に対して暴言や暴力を振るったりすることがあり、家族が疲弊してしまう。
  • 昼夜逆転と生活の乱れ: 昼間はずっと寝ていて、夜中になるとゲームやネットに没頭し、生活リズムを戻すきっかけが見つからない。
  • 服薬の管理ができない: 処方された薬を飲んだかどうかわからない、あるいは大量服薬の心配があり、薬の管理が怖い。
  • 将来への焦り: 「このまま学校に行けなくなったらどうなるのか」「一生引きこもってしまうのではないか」という、親としての強い焦りと不安。
  • 緊急時の対応: 夜間や休日にパニックを起こしたり、自傷行為(リストカットなど)をしたりした時に、どう対応すればよいかわからない。

当院が提供できる専門的な治療・ケア

当院では、こうした不安を一つひとつ解消し、ご本人が自分らしさを取り戻せるよう、自宅という生活の場で専門的な医療サポートを提供します。

  • 医師による定期的な訪問診療: 医師が定期的にご自宅(場合によっては患者様の部屋の前まで)伺い、診察を行います。無理に会わせようとせず、まずは「扉越しの会話」や「手紙のやり取り」から始め、信頼関係の構築を最優先にします。
  • 適切な薬物療法と服薬管理: 症状に合わせて、抗うつ薬や睡眠導入剤などの調整を行います。ご本人が管理できない場合は、ご家族への指導や、訪問看護師と連携したセットアップを行い、過量服薬のリスクを防ぎます。
  • ご家族へのカウンセリング的サポート: 治療にはご家族の協力が不可欠ですが、ご家族自身が疲れ切ってしまっては元も子もありません。ご家族への接し方のアドバイスや、悩みをお聞きする時間を大切にし、家庭内の緊張を緩和します。
  • 生活リズムの調整と環境調整: 睡眠スケジュールの見直しや、ネット・ゲーム依存傾向への対応など、生活全体を見渡したアドバイスを行います。
  • 24時間365日の緊急往診体制: 夜間のパニック発作や、急激な精神状態の悪化、自傷行為などの緊急時には、24時間365日いつでも連絡がつながり、必要に応じて医師が緊急往診できる体制を整えています。ご家族だけで抱え込ませません。

在宅療養を始めるためのサポート体制

思春期・若年者の在宅療養を支えるためには、医療機関だけでなく、多職種によるチームアプローチが重要です。当院では、地域の関連機関と密接に連携し、包括的な支援体制を構築します。

特に、精神科訪問看護との連携は非常に有効です。看護師が定期的に訪問し、服薬の確認や日々の悩み相談、生活スキルの練習などを一緒に行うことで、ご本人の孤独感を和らげ、自立への意欲を引き出します。また、必要に応じて学校の先生やスクールカウンセラー、行政の保健師とも情報を共有し、復学や社会復帰へ向けた環境づくりをサポートします。

制度面においては、自立支援医療(精神通院医療)などの公費負担制度の活用をご提案し、経済的な負担軽減もサポートします。また、長期的な療養が必要な場合や、将来的な自立を見据えた生活訓練が必要な場合には、適切な福祉サービスの導入も視野に入れ、医療と生活支援が一体となったケアを提供します。医師による療養管理指導を通じて、ご本人とご家族が安心して療養生活を送れるよう、制度やサービスの利用調整も含めてきめ細やかにバックアップいたします。

ご相談方法と診療開始までの流れ

当院は、墨田区、江東区、台東区、中央区、荒川区、江戸川区、千代田区を中心に訪問診療を提供しております。その他のエリアについても、患者様の状況やご希望に応じて対応可能な場合もございますので、個別にご相談ください。

① 外来でご相談いただく場合の流れ

外来でのご相談をご希望される場合の基本的な流れは以下の通りです。

  • 予約・受付: お待たせしないよう、お電話等で事前にご予約の上、ご来院ください。
  • 問診・相談: 現在の病状、通院に関するお悩み、ご家族の状況などをお伺いします。
  • 方針検討: 訪問診療に移行した場合の具体的なメリット・デメリットをご説明し、患者様にとって最適な治療方針を医師と一緒に検討します。

② 訪問診療を希望する場合の流れ

訪問診療をご希望される場合の基本的な流れは以下の通りです。

  • お問い合わせ: お電話またはHPの問い合わせフォームよりご連絡ください。
  • 事前面談・相談: 相談員(または医師・看護師)が、現在の病状やご家族の状況、ご要望を詳しく伺います。
  • 診療開始: 契約手続き完了後、初回訪問の日程を調整し、定期的な訪問診療を開始します。

詳しい流れはこちらのページへ

うつ病(思春期・若年者)による自宅での療養不安や症状でお悩みなら、まずご相談ください

「子供が部屋から出てこない」「どう接したらいいかわからない」という悩みは、ご家族だけで解決するにはあまりに重すぎます。時間が経てば解決するとは限らず、専門家の介入が状況を変える鍵になることが多くあります。

当院は、思春期・若年者の繊細な心に寄り添い、焦らず時間をかけて信頼関係を築くことを大切にしています。ご本人が再び笑顔を取り戻し、その人らしい人生を歩めるよう、私たちが全力でサポートいたします。まずは一度、ご相談ください。

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