ストーマ(人工肛門・人工膀胱)のトラブルケア
ストーマ(人工肛門・人工膀胱)を造設された後、退院してご自宅での生活に戻られる際、多くの患者様やご家族が管理に対する不安を抱えていらっしゃいます。「便が漏れてしまわないか」「皮膚がただれて痛い」といった悩みは、日常生活の質に直結する切実な問題です。特に、ご高齢の方や体力が低下している方にとって、頻繁な通院や専門的なケアをご自身だけで継続することは大きな負担となります。
訪問診療(在宅医療)は、そのような不安に寄り添い、医師や看護師が定期的にご自宅へ伺うことで、安心して療養生活を続けていただくための医療サービスです。住み慣れたご自宅で、トラブルを未然に防ぎながら穏やかに過ごせるよう、私たちがサポートいたします。
訪問診療のご相談は、HPからのお問い合わせの他、直接、医師に話したいという方や、通院負担の移行を迷っている方向けに外来でのご相談も承っております。
疾患と訪問診療の対象
ストーマ(人工肛門・人工膀胱)のトラブルケアとは
ストーマとは、消化管や尿路の疾患により、手術で腹部に造設された排泄口のことです。通常、パウチなどの装具を使用して管理を行いますが、排泄物の漏れや、面板を貼る位置の皮膚トラブル(発赤、ただれ、痒み)、またはストーマ自体の陥没や脱出といった合併症が起こることがあります。
これらのトラブルは、適切なケアを行わないと悪化しやすく、激しい痛みや不快感を伴います。しかし、体調が優れない中での皮膚科や外科への通院は身体的負担が大きく、また外出先での排泄処理への不安から、受診自体を躊躇してしまうケースも少なくありません。訪問診療では、通院の負担をなくし、生活の場であるご自宅で、実際の生活動作に合わせた専門的なトラブルケアを提供します。
訪問診療の対象となる方
この疾患において、以下のような状況にある方が主な対象となります。
- ストーマや周囲の皮膚トラブルが頻発し、痛みや管理の難しさから通院が困難な状態にある方。
- がんなどの基礎疾患が進行し、体力の低下や全身状態の悪化により、定期的な通院が大きな負担となっている方。
- 認知機能の低下や手先の不自由さがあり、ご本人による装具交換や洗浄などの自己管理が難しく、ご家族のサポートだけでは限界を感じている方。
- 最期までご自宅で過ごすことを希望されており、ストーマ管理を含めた包括的な緩和ケアを必要とされている方。
当院の訪問診療サポート
在宅で直面する具体的な不安
ストーマを保有する患者様やご家族は、ご自宅での生活において、以下のような具体的かつ深刻な不安に直面することが多くあります。
- 排泄物の漏れへの恐怖:就寝中や日中の活動時に装具の隙間から排泄物が漏れ出し、寝具や衣服を汚してしまうのではないかと常に緊張している。
- 皮膚トラブルの悪化:ストーマ周辺の皮膚が赤くただれ(びらん)、痒みや痛みが強いため、装具の貼り替え自体が苦痛になっている。
- 装具交換の手技への不安:入院中とは異なり、自宅のトイレや浴室での交換がうまくいかず、面板がすぐに剥がれてしまう。
- 臭いに関する悩み:排泄物の臭いが漏れていないか気になり、家族との団欒や来客への対応、外出を避けて引きこもりがちになってしまう。
- 体型変化による不適合:体重の増減やお腹のしわ、くぼみによって、これまで使用していた装具が合わなくなってきたが、選び方が分からない。
- 緊急時の対応:夜間や休日に大量の漏れや出血などのトラブルが起きた際、どう対処すればよいか分からず途方に暮れてしまう。
当院が提供できる専門的な治療・ケア
当院では、上記のような不安を解消し、快適な在宅生活を送っていただくために、以下のような専門的な医療処置や管理を行います。
- 専門的な皮膚ケアと処置:定期的な訪問により、ストーマ周囲の皮膚状態を医師が観察します。びらんや潰瘍などの皮膚トラブルに対して、適切な軟膏の処方や処置を行い、早期治癒を目指します。
- 適切な装具の選定と指導:患者様の腹部の形状や皮膚の状態、生活スタイルに合わせて、最適な装具(面板やパウチ)の選定をアドバイスします。また、剥がれにくい装着方法や、皮膚保護剤の効果的な使用方法を指導します。
- 排便・排尿コントロール:便の性状(下痢や便秘)がストーマ管理に影響を与えるため、内服薬の調整を行い、適切な排泄コントロールをサポートします。
- 合併症の管理:ストーマからの出血、ヘルニア、狭窄などの合併症の有無を定期的に確認し、必要に応じて医療処置を行います。
- 精神的なサポート:ボディイメージの変化や排泄に関する悩みに対し、患者様とご家族の気持ちに寄り添い、精神的なケアを行います。
また、当院は「24時間365日の緊急往診体制」を整えております。夜間の急なトラブルや体調変化の際も、いつでも医師に連絡が取れ、必要に応じて往診できる体制があるため、安心してご自宅でお過ごしいただけます。
在宅療養を始めるためのサポート体制
在宅療養を円滑に進めるためには、多職種による連携が不可欠です。当院では、手術を受けられた基幹病院の主治医と連携し、診療情報を共有することで、継続性のある医療を提供します。
また、日々のケアにおいては、訪問看護ステーションとの密な連携を行います。特にストーマケアにおいては、皮膚・排泄ケア認定看護師(WOCナース)が在籍するステーション等と協力し、専門性の高いケア体制を構築することも可能です。ケアマネジャーとも情報を共有し、介護ベッドや消臭用品の導入など、療養環境の整備もサポートします。
さらに、介護保険サービスの「居宅療養管理指導」を活用することで、医師や薬剤師がご自宅を訪問して療養上の管理・指導を行い、医療と介護が一体となった切れ目のない支援を提供します。
ご相談方法と診療開始までの流れ
当院は、墨田区、江東区、台東区、中央区、荒川区、江戸川区、千代田区を中心に訪問診療を提供しております。その他のエリアについても、患者様の状況やご希望に応じて対応可能な場合もございますので、個別にご相談ください。
① 外来でご相談いただく場合の流れ
外来でのご相談をご希望される場合の基本的な流れは以下の通りです。
- 予約・受付: お待たせしないよう、お電話等で事前にご予約の上、ご来院ください。
- 問診・相談: 現在の病状、通院に関するお悩み、ご家族の介護状況などをお伺いします。
- 方針検討: 訪問診療に移行した場合の具体的なメリット・デメリットをご説明し、患者様にとって最適な治療方針を医師と一緒に検討します。
② 訪問診療を希望する場合の流れ
訪問診療をご希望される場合の基本的な流れは以下の通りです。
- お問い合わせ: お電話またはHPの問い合わせフォームよりご連絡ください。
- 事前面談・相談: 相談員(または医師・看護師)が、現在の病状やご家族の状況、ご要望を詳しく伺います。
- 診療開始: 契約手続き完了後、初回訪問の日程を調整し、定期的な訪問診療を開始します。
ストーマ(人工肛門・人工膀胱)のトラブルケアによる自宅での療養不安や症状でお悩みなら、まずご相談ください
ストーマの在宅療養でお困りなら、まずご相談ください。排泄や皮膚のトラブルは非常にデリケートな問題であり、誰にも相談できずに一人で悩まれている患者様も少なくありません。しかし、適切な医療介入とケアによって、トラブルは改善し、快適な生活を取り戻すことができます。
「自宅でうまく管理できるだろうか」「家族に負担をかけたくない」という思いに、私たちは全力でお応えします。住み慣れた家で、あなたらしく安心して暮らせるよう、24時間365日体制で支え続けます。まずは一度、私たちにお話を聞かせてください。

