訪問診療対象の疾患

胃ろう・経管栄養の管理

口から食事を摂ることが難しくなったとき、胃ろうや経管栄養(経鼻栄養)の導入は、患者様ご本人にとってもご家族にとっても、非常に大きな決断であり、生活の変化を伴うものです。「自宅でチューブの管理ができるだろうか」「抜けてしまったらどうしよう」といった不安を抱えながら、退院や在宅療養の準備を進めている方も多いのではないでしょうか。

私たちは、住み慣れたご自宅で安心して療養生活が送れるよう、訪問診療(在宅医療)を通じて、お一人おひとりの状況に合わせた医学的管理と心のサポートを提供しています。訪問診療のご相談は、HPからのお問い合わせの他、直接、医師に話したいという方や、通院負担の移行を迷っている方向けに外来でのご相談も承っております。

疾患と訪問診療の対象

胃ろう・経管栄養の管理とは

胃ろう(PEG)や経管栄養(経鼻経管栄養)とは、脳卒中の後遺症や認知症の進行、神経難病などにより、口から安全に食事を摂取することが困難な方に対し、直接胃や腸へ栄養を届ける医療処置です。

栄養状態を維持するために不可欠な手段ですが、カテーテル(チューブ)の定期的な交換や、注入時の衛生管理、周囲の皮膚トラブルへの対応など、継続的な医療的ケアが必要となります。こうした管理のために通院を続けることは、移動そのものが患者様の身体的負担となるだけでなく、付き添われるご家族にとっても大きな労力を要します。そのため、自宅で専門的な管理が受けられる訪問診療が強く推奨される状態と言えます。

訪問診療の対象となる方

訪問診療では、主に以下のような状況にある方を対象としています。

  • 脳梗塞や脳出血の後遺症、神経難病などで通院が困難な方
  • 認知症が進行し、食事介助だけでは十分な栄養摂取が難しくなった方
  • 誤嚥性肺炎を繰り返しており、経口摂取のリスクが高い方
  • 胃ろうや鼻からのチューブ留置を行っており、定期的な交換やトラブル対応が必要な方
  • 最期まで口から食べる楽しみを模索しつつ、自宅での療養や看取りを希望される方

当院の訪問診療サポート

在宅で直面する具体的な不安

胃ろうや経管栄養を自宅で管理する際、患者様やご家族は以下のような具体的なトラブルや不安に直面することが多くあります。

  • チューブのトラブル:カテーテルが詰まって栄養剤が落ちない、自己抜去(自分で抜いてしまう)、接続部からの漏れ。
  • 皮膚のトラブル:胃ろう造設部(お腹の穴)の周りがただれる、肉芽(にくげ)ができて出血する、膿が出る。
  • 消化器症状:栄養剤注入後の嘔吐、下痢、便秘、お腹の張り。
  • 誤嚥の不安:唾液や逆流した栄養剤による誤嚥性肺炎の心配。
  • 手技への不安:家族だけで栄養剤の注入や器具の洗浄を正しく行えるかどうかのプレッシャー。

当院が提供できる専門的な治療・ケア

当院では、上記のような不安を解消し、安全に在宅療養を継続できるよう、以下の専門的な治療とケアを提供します。

  • カテーテル交換・管理:胃ろうカテーテル(バンパー型・バルーン型)や経鼻チューブの定期的な交換を自宅で行います。
  • 専門的な創傷ケア:胃ろう周囲の皮膚炎や肉芽の処置、感染症の治療を行います。
  • 栄養管理の調整:下痢や嘔吐がある場合、栄養剤の種類の見直しや注入速度、体位の指導を行います。
  • 誤嚥性肺炎の予防と治療:口腔ケアの指導や、肺炎の兆候が見られた際の早期診断・抗生剤投与(点滴・内服)を行います。

また、チューブの自己抜去や閉塞といった突発的なトラブルにも対応できるよう、24時間365日の緊急往診体制を整えています。夜間や休日でも医師と連絡が取れ、必要に応じて駆けつける体制があることが、在宅療養の大きな安心に繋がります。

在宅療養を始めるためのサポート体制

安全な経管栄養管理を在宅で続けるためには、多職種との連携が不可欠です。

当院では、胃ろうを造設した病院の地域連携室や主治医と情報を共有し、退院後の引き継ぎをスムーズに行います。また、日々のケアを行う訪問看護師や、生活環境を整えるケアマネジャーとも密に連携を取り、チーム全体で患者様を支えます。

さらに、介護保険制度における「居宅療養管理指導」を活用することで、医師や薬剤師、管理栄養士がご自宅を訪問し、療養上の管理や指導を行うことが可能です。医療と介護が一体となったサービス提供により、ご家族の介護負担を軽減しながら、質の高い療養生活を実現します。

ご相談方法と診療開始までの流れ

当院は、墨田区、江東区、台東区、中央区、荒川区、江戸川区、千代田区を中心に訪問診療を提供しております。その他のエリアについても、患者様の状況やご希望に応じて対応可能な場合もございますので、個別にご相談ください。

① 外来でご相談いただく場合の流れ

外来でのご相談をご希望される場合の基本的な流れは以下の通りです。

  • 予約・受付: お待たせしないよう、お電話等で事前にご予約の上、ご来院ください。
  • 問診・相談: 現在の病状、通院に関するお悩み、ご家族の介護状況などをお伺いします。
  • 方針検討: 訪問診療に移行した場合の具体的なメリット・デメリットをご説明し、患者様にとって最適な治療方針を医師と一緒に検討します。

② 訪問診療を希望する場合の流れ

訪問診療をご希望される場合の基本的な流れは以下の通りです。

  • お問い合わせ:HPの問い合わせフォーム、またはお電話にてご連絡ください。
  • 事前面談:相談員が現在の状況やご希望を伺い、診療内容の説明を行います。
  • 診療開始:初回訪問の日程を調整し、医師・看護師がご自宅へ伺い診療を開始します。

詳しい流れはこちらのページへ

胃ろう・経管栄養の管理による自宅での療養不安や症状でお悩みなら、まずご相談ください

「自宅でチューブの管理ができるか不安」「退院後の生活がイメージできない」など、胃ろうや経管栄養の在宅療養でお困りなら、まずご相談ください。

医療的ケアが必要であっても、適切なサポートがあれば、ご自宅で穏やかに過ごすことは可能です。私たち専門チームが、患者様とご家族の毎日に寄り添い、安心できる生活を支えます。

外来WEB予約外来WEB予約
お問い合わせお問い合わせ
電話する電話する