訪問診療対象の疾患

統合失調症

統合失調症による幻覚や妄想、あるいは意欲の低下によって、外出が難しくなり通院が途絶えてしまうことは珍しくありません。ご本人様が治療の必要性を感じられず、ご家族だけで悩みを抱え込んでしまうケースも多く見受けられます。「このままでは症状が悪化してしまうのではないか」という不安に寄り添い、住み慣れた自宅で安心して治療を継続するための選択肢として「訪問診療」や「在宅医療」があります。

訪問診療のご相談は、HPからのお問い合わせの他、直接、医師に話したいという方や、通院負担の移行を迷っている方向けに外来でのご相談も承っております。

疾患と訪問診療の対象

統合失調症とは

統合失調症は、考えや気持ちがまとまりにくくなる脳の疾患です。幻聴や妄想が現れる「陽性症状」や、意欲が低下し感情の表現が乏しくなる「陰性症状」、臨機応変な対応が苦手になる「認知機能障害」などが主な症状です。

訪問診療の視点から見ると、単に病気があるというだけでなく、「人混みや外出への恐怖心が強く通院ができない」「病識(自分が病気であるという認識)が薄く、自ら病院へ行くことを拒否してしまう」「薬の管理が難しく、服薬中断による再発を繰り返している」といった状態にある方が、在宅医療の導入を検討すべき段階と言えます。

訪問診療の対象となる方

この疾患において、以下のような状況にある方が主な対象となります。

  • 通院困難な状態: 被害妄想や対人緊張が強く、外出そのものが精神的な負担となっている方。または高齢化に伴い足腰が弱り、精神科への通院が物理的に難しくなった方。
  • 服薬管理の支援が必要: 飲み忘れや自己判断での中断があり、症状が不安定になりがちな方。
  • 生活リズムの乱れがある: 昼夜逆転やセルフケア(入浴や食事など)の不足があり、自宅での継続的な見守りや医療的介入が必要な方。
  • 長期入院からの移行: 長期入院を経て退院することになったが、すぐに外来通院へ移行することに不安があり、まずは自宅でのケアを希望される方。

当院の訪問診療サポート

在宅で直面する具体的な不安

統合失調症の患者様やご家族は、自宅療養において以下のような不安や課題に直面することが多くあります。

  • 服薬拒否と症状悪化: 薬を飲んでくれず、幻聴や妄想が再燃し、興奮状態になってしまうことへの恐怖。
  • 家族への負担と疲弊: 常に家族が対応しなければならず、精神的・肉体的に限界を感じてしまう(共倒れの不安)。
  • 身体合併症の発見遅れ: 精神症状により体調不良を訴えなかったり、身体の病気(糖尿病や高血圧など)の管理がおろそかになったりすること。
  • 社会的な孤立: 近隣トラブルへの懸念や、引きこもり状態が長期化し、社会との接点がなくなってしまうこと。

当院が提供できる専門的な治療・ケア

当院では、上記のような不安を解消し、精神面と身体面の両方をサポートします。

  • 確実な服薬管理と調整: 患者様の生活リズムや副作用の状況に合わせ、飲みやすい薬の調整を行います。必要に応じて、効果が長く続く持続性注射剤(LAI)の導入検討や管理も在宅で行うことが可能です。
  • 信頼関係の構築と心理的サポート: 医師や看護師が定期的に訪問し、対話を重ねることで信頼関係を築きます。孤立感を和らげ、治療への意欲を引き出すアプローチを行います。
  • 身体合併症の管理: 統合失調症の方は生活習慣病などを併発しやすい傾向にあります。当院は内科的な管理も同時に行えるため、全身状態をトータルで診察します。
  • 24時間365日の緊急往診体制: 夜間や休日に急な精神状態の悪化や身体的な不調が起きた際も、いつでも連絡が取れ、必要に応じて医師が駆けつける体制を整えています。ご家族の安心感にもつながります。

在宅療養を始めるためのサポート体制

地域での生活を支えるためには、当院だけでなく多職種との連携が不可欠です。精神科病院との連携はもちろん、日々の生活状況を確認し服薬をサポートする「訪問看護ステーション」や、福祉サービスの調整を行う「ケアマネジャー(介護支援専門員)」、相談支援専門員と密に情報を共有します。

また、介護保険サービスにおける「居宅療養管理指導」を活用することで、医師や薬剤師が定期的に指導・助言を行い、ケアマネジャーと連携してケアプランに反映させることが可能です。医療と介護・福祉が一体となって、患者様らしい生活を支えるチームを作ります。

ご相談方法と診療開始までの流れ

当院は、墨田区、江東区、台東区、中央区、荒川区、江戸川区、千代田区を中心に訪問診療を提供しております。その他のエリアについても、患者様の状況やご希望に応じて対応可能な場合もございますので、個別にご相談ください。

① 外来でご相談いただく場合の流れ

外来でのご相談をご希望される場合の基本的な流れは以下の通りです。

  • 予約・受付: お電話またはWebから外来予約をお取りください。
  • 医師による診察・相談: 患者様ご本人、またはご家族のみでの相談も可能です。
  • 治療方針の検討: 現在の状況を踏まえ、外来通院を継続するか、訪問診療へ移行するかなど、最適なプランをご提案します。

② 訪問診療を希望する場合の流れ

訪問診療をご希望される場合の基本的な流れは以下の通りです。

  • お問い合わせ: HPの専用フォームまたはお電話にてご連絡ください。相談員が対応します。
  • 事前面談・ご説明: 患者様の状態やご希望を確認し、診療内容や費用についてご説明します。
  • 診療開始: 契約手続き完了後、初回訪問の日程を決定し、定期的な診療を開始します。

詳しい流れはこちらのページへ

統合失調症による自宅での療養不安や症状でお悩みなら、まずご相談ください

「家族が通院を嫌がって困っている」「自宅での薬の管理がうまくいかない」など、統合失調症の在宅療養には特有の難しさがあります。しかし、適切な医療サポートが入ることで、ご本人の症状が安定し、ご家族の負担も大きく軽減されるケースは数多くあります。

一人で抱え込まず、まずは当院へご相談ください。住み慣れた場所で、安心して穏やかに過ごせるよう、私たちが全力でサポートいたします。

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