糖尿病(内服・インスリン管理)
糖尿病の治療は長期にわたる継続が何よりも重要ですが、ご高齢による体力の低下や認知機能の変化、あるいは合併症の影響により、定期的な通院自体が大きな負担となってしまうことが少なくありません。「インスリン注射の管理が難しくなってきた」「通院の付き添いが限界に近い」といったお悩みは、決してご家庭だけで抱え込むものではありません。
私たちは、患者様が住み慣れたご自宅で、安心して血糖コントロールや治療を続けられるよう、訪問診療(在宅医療)という選択肢をご提案しています。医師や看護師が定期的にご自宅へ伺うことで、無理のない療養生活をサポートいたします。
訪問診療のご相談は、HPからのお問い合わせの他、直接、医師に話したいという方や、通院負担の移行を迷っている方向けに外来でのご相談も承っております。
疾患と訪問診療の対象
糖尿病(内服・インスリン管理)とは
糖尿病は、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が高くなる慢性疾患であり、放置すると網膜症、腎症、神経障害などの重篤な合併症を引き起こすリスクがあります。治療の基本は食事療法、運動療法、そして薬物療法(内服薬やインスリン注射)ですが、これらを適切に継続するためには、日々の自己管理が不可欠です。
しかし、加齢や身体機能の低下により、通院が困難になったり、複雑なインスリンの手技やお薬の管理がご自身だけでは難しくなったりするケースが増えています。訪問診療では、医学的な管理はもちろん、生活環境に合わせた実践的なサポートを行うことで、病状の悪化を防ぎ、穏やかな生活を維持することを目指します。
訪問診療の対象となる方
糖尿病をお持ちで、以下のような状況にある方が主な対象となります。
- 足腰の筋力低下や車椅子生活などで、病院への定期通院が困難な方
- 認知機能の低下により、内服薬の管理やインスリン注射の手順に不安がある方
- 視力の低下(糖尿病網膜症など)により、血糖測定やインスリン量の調整が難しい方
- 独居または老老介護で、食事管理やシックデイ(体調不良時)の対応に不安がある方
- 糖尿病の合併症(壊疽による足の切断後や透析が必要な状態など)があり、自宅でのケアが必要な方
- 最期まで自宅で過ごしたいと希望されている方(看取り対応)
当院の訪問診療サポート
在宅で直面する具体的な不安
糖尿病の患者様やご家族が、ご自宅での療養生活において直面しやすい不安や困りごとは多岐にわたります。
- 低血糖への恐怖: 気づかないうちに低血糖になり、意識障害や転倒を起こさないか心配。
- インスリン手技の困難: 手の震えや視力の低下で、注射の単位数を間違えたり、針がうまく刺せなかったりする。
- 服薬管理の限界: 薬の種類が多く、飲み忘れや飲み間違い(過量内服)が頻繁に起こる。
- 食事療法の継続: 宅配弁当や惣菜に頼らざるを得ず、適切なカロリーや栄養バランスの維持が難しい。
- 足のトラブル: 感覚が鈍くなっているため、靴擦れや怪我に気づかず、足の壊疽(えそ)に進行してしまわないか不安。
- 緊急時の対応: 夜間や休日に急に体調が悪くなった際、どう対応すればよいかわからない。
当院が提供できる専門的な治療・ケア
当院では、上記のような不安を解消し、安全に療養生活を送っていただくために、以下の専門的な医療・ケアを提供しています。
- 血糖コントロールと薬剤調整: 定期的な訪問で血糖値の推移や生活状況を確認し、内服薬やインスリン量のきめ細やかな調整を行います。
- インスリン導入・管理指導: ご本人の能力に合わせた注射指導や、ご家族・介護スタッフへの指導を行います。必要な場合は、訪問看護師と連携し、注射代行の体制を整えます。
- 合併症の予防と早期発見: 特に糖尿病足病変(フットケア)に注力し、足の観察や処置を定期的に行い、壊疽などの重症化を防ぎます。
- 認知症を考慮した服薬管理: お薬カレンダーの活用や、飲みやすい剤形への変更など、服薬コンプライアンスを維持するための工夫を提案します。
- 多職種との連携による生活支援: ケアマネジャーや管理栄養士と連携し、生活環境や食事内容の改善に向けたアドバイスを行います。
- 24時間365日の緊急往診体制: 低血糖症状や急な発熱、体調変化があった際には、夜間・休日を問わず医師が対応できる体制(24時間365日の緊急往診体制)を整えていますので、安心してご自宅でお過ごしいただけます。
在宅療養を始めるためのサポート体制
訪問診療をスムーズに開始し、安定した療養生活を送るためには、地域の医療・介護スタッフとの連携が不可欠です。
当院は、これまで通院されていた病院の主治医と密に連携を取り、診療情報提供書を通じて治療経過をしっかりと引き継ぎます。また、日々のケアを支える訪問看護師やケアマネジャーとも情報を共有し、「チーム医療」で患者様を支えます。
また、介護保険サービスの一つである「居宅療養管理指導」を活用することで、医師や薬剤師がご自宅を訪問し、療養上の管理や指導を行うことが可能です。医療保険と介護保険を一体的に組み合わせることで、患者様の生活全般を包括的にサポートできる体制を構築します。
ご相談方法と診療開始までの流れ
当院は、墨田区、江東区、台東区、中央区、荒川区、江戸川区、千代田区を中心に訪問診療を提供しております。その他のエリアについても、患者様の状況やご希望に応じて対応可能な場合もございますので、個別にご相談ください。
① 外来でご相談いただく場合の流れ
「まずは医師と直接会って話を聞きたい」という方は、外来でのご相談をおすすめします。
- ご予約・受付: お電話またはWebから外来診療のご予約をお願いします。
- 外来診察・ご相談: 現在の病状やお悩みをお伺いし、訪問診療の適応や具体的なサポート内容についてご説明します。
- 治療方針の検討: 訪問診療へ移行する場合の時期や計画を一緒に検討します。
② 訪問診療を希望する場合の流れ
最初から訪問診療をご希望される場合の基本的な流れは以下の通りです。
- お問い合わせ: お電話またはHPの専用フォームよりご連絡ください。専門の相談員が対応いたします。
- 事前面談・ご説明: 患者様の状態やご希望を確認し、診療内容や費用について詳しくご説明します(入院中の場合は病院へ伺うことも可能です)。
- 診療開始: 初回訪問日時を決定し、定期的な訪問診療を開始します。
糖尿病(内服・インスリン管理)による自宅での療養不安や症状でお悩みなら、まずご相談ください
糖尿病は日々の管理が重要な病気だからこそ、通院の負担や自己管理の難しさが生活の質に大きく影響します。「自宅でインスリン注射を続けられるか不安」「血糖値が安定せず体調がすぐれない」など、糖尿病の在宅療養でお困りなら、まずご相談ください。
当院は、患者様お一人おひとりの生活スタイルや価値観を尊重し、医学的な管理だけでなく、心の通ったケアを提供することをお約束します。ご本人様はもちろん、支えるご家族皆様が安心して過ごせるよう、私たちが全力でサポートいたします。まずはお気軽にお問い合わせください。

