訪問診療対象の疾患

気管支喘息(通院困難な方)

季節の変わり目や天候の変化、あるいは些細な刺激で突然襲ってくる咳や息苦しさは、患者様ご本人はもちろん、見守るご家族にとっても大きな不安の種となっていることとお察しします。特に、ご高齢の方や体力が低下している方にとって、発作への恐怖を抱えながらの通院は、身体的にも精神的にも過酷な負担となり得ます。「訪問診療」や「在宅医療」は、そのような通院の困難さを解消し、医師が定期的にご自宅へ伺うことで、住み慣れた環境で安心して療養を続けていただくための医療体制です。

訪問診療のご相談は、HPからのお問い合わせの他、直接、医師に話したいという方や、通院負担の移行を迷っている方向けに外来でのご相談も承っております。

疾患と訪問診療の対象

気管支喘息とは

気管支喘息は、空気の通り道である気道(気管支)に慢性的な炎症が起き、わずかな刺激にも過敏に反応して気道が狭くなる疾患です。呼吸困難、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューという音)、激しい咳などの症状が特徴です。

一般的には外来通院で吸入薬などの管理を行いますが、ご高齢で認知機能の低下が見られる場合や、ADL(日常生活動作)が低下し寝たきりに近い状態の方、あるいは重症化し頻繁な発作管理が必要な方にとっては、通院自体が発作を誘発するリスクになります。訪問診療では、病状が不安定で通院が困難な患者様に対し、生活環境に合わせたきめ細やかな呼吸管理を行います。

訪問診療の対象となる方

訪問診療は、主に以下のような状況にある気管支喘息の患者様を対象としています。

  • 足腰の筋力低下や麻痺などにより、お一人での通院が困難な方。
  • 認知症があり、服薬管理や吸入器の操作をご自身で行うことが難しく、サポートが必要な方。
  • 発作が頻回に起きるため、外出することに強い不安を感じている方。
  • COPD(慢性閉塞性肺疾患)などを併発しており、在宅酸素療法などの継続的な医療管理が必要な方。
  • 最期まで住み慣れた自宅で過ごしたいと希望されている方。

当院の訪問診療サポート

在宅で直面する具体的な不安

気管支喘息を抱えながら自宅で過ごす中で、患者様やご家族は以下のような不安や課題に直面されることが多くあります。

  • 夜間・早朝の発作への恐怖:病院が閉まっている時間帯に急に息が苦しくなったらどうすればよいか、パニックにならないか心配。
  • 吸入薬の正しい使用:吸入器の操作が複雑で、正しく薬が吸えているのか自信がない。または、認知症により吸入手順を忘れてしまう。
  • 環境因子の影響:自宅のホコリやダニ、ペット、タバコの煙などが発作の原因になっていないか判断がつかない。
  • 感染症の合併:風邪や肺炎にかかると喘息が悪化するため、体調の変化に敏感にならざるを得ない。
  • 通院の移動負担:タクシーの乗り降りや待合室での時間が長く、帰宅するとぐったりと疲れてしまう。

当院が提供できる専門的な治療・ケア

当院では、上記のような不安を解消し、安全に在宅療養を継続できるよう、以下のサポートを提供しています。

  • 適切な薬物療法と吸入指導:患者様の呼吸機能や理解度に合わせて、最も使いやすい吸入デバイスを選択し、訪問時に薬剤師や看護師と連携して確実な吸入ができるよう指導・確認を行います。
  • 呼吸状態のモニタリング:定期訪問時に聴診や酸素飽和度(SpO2)の測定を行い、炎症のコントロール状態を常に把握します。
  • 在宅酸素療法(HOT)の管理:呼吸不全を伴う場合、自宅での酸素濃縮器の設置や管理、設定調整をサポートします。
  • 環境調整のアドバイス:発作の誘因となるアレルゲンを減らすための生活環境のアドバイスを行います。
  • 感染症の早期発見・治療:肺炎などの合併症の兆候を早期に察知し、必要に応じて自宅での抗生剤投与や点滴治療を行います。

そして何より、当院には「24時間365日の緊急往診体制」があります。夜間や休日を問わず、急な発作や体調不良時にはいつでも連絡がつき、必要に応じて医師が駆けつける体制を整えています。この安心感が、在宅療養を支える大きな柱となります。

在宅療養を始めるためのサポート体制

訪問診療を開始するにあたり、当院だけでなく地域の医療・介護スタッフがチームとなって患者様を支えます。これまで通院されていた病院の主治医とは診療情報提供書を通じて連携し、急性期治療が必要になった場合のバックアップ体制を確保します。

また、日々の生活を支えるケアマネジャーや訪問看護師とも密に連携をとります。特に気管支喘息の方は、訪問看護師による定期的なバイタルチェックや吸入確認が非常に有効です。介護保険サービスの一つである「居宅療養管理指導」を活用することで、医師や薬剤師がケアマネジャー等に医学的な観点からケアプランのアドバイスを行い、医療と介護が一体となった切れ目のないサービス提供を実現します。

ご相談方法と診療開始までの流れ

当院は、墨田区、江東区、台東区、中央区、荒川区、江戸川区、千代田区を中心に訪問診療を提供しております。その他のエリアについても、患者様の状況やご希望に応じて対応可能な場合もございますので、個別にご相談ください。

① 外来でご相談いただく場合の流れ

まずは外来にお越しいただき、現在の病状や在宅医療への移行についてご相談いただくことも可能です。

  • ご予約・受付:お電話にて外来受診のご予約をお願いいたします。
  • 医師による診察:現在の症状や通院の困りごとをお伺いし、訪問診療が適しているか診断・検討します。
  • 方針の決定:患者様・ご家族のご意向を確認し、今後の治療方針を決定します。

② 訪問診療を希望する場合の流れ

訪問診療をご希望の方は、以下の流れでスムーズに診療を開始できます。

  • お問い合わせ:HPのお問い合わせフォーム、またはお電話にてご連絡ください。相談員が現在の状況をお伺いします。
  • 事前面談:クリニックまたはご自宅にて、補足的な病状確認や契約内容のご説明、診療計画の相談を行います。
  • 診療開始:決定したスケジュールに基づき、医師と看護師が定期訪問を開始します。

詳しい流れはこちらのページへ

気管支喘息による自宅での療養不安や症状でお悩みなら、まずご相談ください

気管支喘息は適切なコントロールができれば、穏やかな日常生活を送ることが可能な疾患です。しかし、通院の負担が原因で治療が中断してしまったり、発作への不安から生活の質が落ちてしまったりすることは避けなければなりません。

「通院が辛くなってきた」「もしもの時の対応が不安」など、気管支喘息の在宅療養でお困りなら、まずご相談ください。私たちは、患者様が住み慣れた場所で、呼吸の苦しさに怯えることなく、自分らしく過ごせるよう全力を尽くしてサポートいたします。

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