白血病の治療は長期に及ぶことが多く、入退院を繰り返す生活の中で「少しでも長く自宅で家族と過ごしたい」「病院のような制限のない環境で療養したい」と願う患者様やご家族は少なくありません。しかし、免疫力が低下している状態での生活や、急な発熱などの体調変化に対する不安から、退院や通院治療への移行を躊躇される方もいらっしゃることでしょう。

訪問診療（在宅医療）は、医師が定期的にご自宅へ伺うことで、感染症のリスクを抑えながら、住み慣れた環境で安心して療養生活を送るための選択肢です。訪問診療のご相談は、HPからのお問い合わせの他、直接、医師に話したいという方や、通院負担の移行を迷っている方向けに外来でのご相談も承っております。

疾患と訪問診療の対象

白血病とは

白血病は「血液のがん」とも呼ばれ、骨髄の中で血液細胞ががん化し、正常な血液が作れなくなる疾患です。急性・慢性、骨髄性・リンパ性などいくつかの種類があり、治療法や経過も異なります。一般的に抗がん剤治療や造血幹細胞移植などが行われますが、治療の過程や病状の進行に伴い、正常な白血球、赤血球、血小板が減少し、感染症にかかりやすくなったり、貧血や出血傾向（血が止まりにくい）が生じたりします。

病状が落ち着いていても免疫力が低下しており人混みへの外出がリスクとなる場合や、倦怠感が強く通院自体が身体的な負担となる場合に、訪問診療の必要性が高まります。また、積極的な治療を終え、最期の時間を自宅で穏やかに過ごすための緩和ケアを必要とする段階でも、訪問診療が大きな役割を果たします。

訪問診療の対象となる方

白血病を患い、以下のような状況にある方が主な対象となります。

• 抗がん剤治療などの影響で免疫力が低下しており、通院による感染リスクを避けたい方
• 貧血や倦怠感が強く、頻繁な通院が身体的に困難な方
• 高齢であり、積極的な入院治療よりも自宅での穏やかな療養・経過観察を希望される方
• 輸血が必要なため病院へ通院しているが、それ以外の体調管理やケアを自宅で受けたい方
• 最期の時間を病院ではなく、住み慣れた自宅で家族と共に過ごしたいと希望される方（お看取り）

当院の訪問診療サポート

在宅で直面する具体的な不安

白血病の患者様がご自宅で療養される際、特有の症状やリスクにより、以下のような不安や困りごとに直面することがあります。

• 感染症への恐怖： 免疫力が下がっているため、少しの細菌やウイルスで重症化しないか、家族からの感染も心配。
• 出血の管理： 鼻血や歯茎からの出血が止まりにくい、体にアザができやすいことへの不安。
• 急な発熱への対応： 夜間や休日に熱が出た際、すぐに病院へ行くべきか、自宅で様子を見てよいか判断が難しい。
• 強い倦怠感と栄養： だるくて食事が摂れず、体力が落ちていくことへの焦り。
• 痛みのコントロール： 骨の痛みなど、がん特有の痛みが出てきた際に自宅で対処できるか不安。

当院が提供できる専門的な治療・ケア

当院では、血液疾患特有の易感染性（感染しやすさ）や全身状態を十分に理解した上で、以下のような専門的な医療ケアを提供します。

• 感染症の予防と管理： 定期的な診察で感染の兆候を早期に発見します。また、ご自宅で可能な範囲の衛生環境指導や、発熱時の迅速な抗生剤投与などを行います。
• 中心静脈栄養（IVH/CVポート）の管理： 食事が十分に摂れない場合、点滴による高カロリー輸液の管理を行い、体力維持をサポートします。
• 疼痛緩和ケア： 痛みがある場合には、内服薬や貼付剤、持続皮下注射などを用いて、ご自宅でも病院と同様に痛みをコントロールします。
• 血液内科主治医との連携： 輸血が必要な場合の通院スケジュールの調整や、治療方針の共有を病院の主治医と密に行います。
• 24時間365日の緊急往診体制： 白血病は病状が急変することもあります。夜間・休日を問わずいつでも連絡がつながり、必要であれば医師が緊急往診いたします。

在宅療養を始めるためのサポート体制

白血病の在宅療養では、専門病院（血液内科）との連携が非常に重要です。当院は、これまで治療を受けてこられた病院の主治医と緊密に情報を共有し、輸血が必要なタイミングや、病状の変化に応じた対応方針を常に確認しながら診療にあたります。

また、訪問看護師やケアマネジャー、薬剤師など、地域の医療・介護スタッフともチームを組みます。医療保険のほか、介護保険サービス（居宅療養管理指導など）も活用し、医療と介護が一体となって患者様の生活を支えます。ご家族だけで抱え込まず、安心して療養できる体制を整えます。

ご相談方法と診療開始までの流れ

当院は、墨田区、江東区、台東区、中央区、荒川区、江戸川区、千代田区を中心に訪問診療を提供しております。その他のエリアについても、患者様の状況やご希望に応じて対応可能な場合もございますので、個別にご相談ください。

①外来でご相談いただく場合の流れ

まずは外来にて、現在の病状や在宅療養への不安についてじっくりご相談いただくことも可能です。

1. 予約・受付： お電話またはHPより外来相談のご予約をお願いします。
2. ご相談・診察： 医師が現在の体調やご家族の状況を伺い、訪問診療でどのようなサポートが可能かをご説明します。

②訪問診療を希望する場合の流れ

1. お問い合わせ： HPのお問い合わせフォームまたはお電話にてご連絡ください。
2. 事前面談： 相談員または看護師が、ご自宅や病院へ伺い（あるいは来院いただき）、病状やご希望を詳しく確認させていただきます。
3. 診療開始： 医師がご自宅へ定期的に訪問し、診療を開始します。

詳しい流れはこちらのページへ

白血病による自宅での療養不安や症状でお悩みなら、まずご相談ください

白血病の在宅療養には、感染対策や体調管理など専門的な知識が必要です。「退院したいけれど不安がある」「通院が辛くなってきた」とお悩みなら、まずはご相談ください。私たちは、患者様が住み慣れたご自宅で、ご自分らしく、心穏やかに過ごせる時間を守るために全力を尽くします。主治医とも連携し、最適なサポートをご提案いたします。