食道がん
食道がんの進行や治療に伴い、「食事が喉を通らない」「急激に痩せてしまった」といった切実な悩みを抱え、不安な日々を過ごされている患者様やご家族は少なくありません。また、抗がん剤治療の副作用や体力の低下により、これまでの通院が大きな負担となり、ご自宅での療養を考え始める方もいらっしゃいます。
住み慣れたご自宅で、痛みや苦痛を和らげながら穏やかに過ごすための選択肢として、「訪問診療」や「在宅医療」があります。私たち専門職がチームとなり、患者様らしい生活を支えます。
訪問診療のご相談は、HPからのお問い合わせの他、直接、医師に話したいという方や、通院負担の移行を迷っている方向けに外来でのご相談も承っております。
疾患と訪問診療の対象
食道がんとは
食道がんは、喉と胃をつなぐ食道の粘膜に発生するがんです。初期には自覚症状が少ないものの、進行すると食道が狭くなり(狭窄)、食べ物を飲み込むことが困難になる嚥下障害が現れます。
食事量の減少による栄養状態の悪化や体重減少が顕著になりやすく、体力低下を招きやすいのが特徴です。また、手術や放射線治療、化学療法を経ても症状が残る場合や、再発・転移により全身状態が不安定になることもあります。
このように、病状の変化が激しく通院自体が身体的な重荷となる場合や、点滴や栄養管理などの医療処置が日常的に必要となる状態では、訪問診療による継続的なサポートが不可欠となります。
訪問診療の対象となる方
食道がんを患い、以下のような状況にある方が主な対象となります。
- がんの進行や体力の低下により、病院への定期的な通院が困難になってきた方
- 食道の狭窄により口からの食事が難しく、高カロリー輸液(点滴)や経管栄養などの管理が自宅で必要な方
- 抗がん剤治療中であり、副作用の緩和ケアや自宅での体調管理を希望される方
- 最期まで自分らしく自宅で過ごしたいと希望され、在宅での看取り(緩和ケア)を検討されている方
当院の訪問診療サポート
在宅で直面する具体的な不安
食道がんの患者様がご自宅で過ごす際、ご本人やご家族は以下のような不安や課題に直面することが多くあります。
- 食事の苦痛: 食べ物がつかえる、飲み込めない、ムセてしまうことへの恐怖がある。
- 栄養管理の不安: 口から食べられない場合、どのように栄養を摂ればよいかわからない。
- 痛みのコントロール: がんによる痛みや、背中・胸の痛みが強くならないか心配。
- 急変時の対応: 突然、呼吸が苦しくなったり、吐血したりした場合どうすればよいか。
- 家族の負担: 点滴の管理や痰の吸引など、家族だけで医療ケアを行えるか自信がない。
当院が提供できる専門的な治療・ケア
当院では、食道がん特有の症状や不安に対し、ご自宅で以下の専門的な医療処置やケアを提供し、安心して療養できるようサポートします。
- 専門的な栄養管理: 中心静脈栄養(CVポート)の管理や、胃ろう・腸ろうなどの経管栄養の管理を医学的根拠に基づき行います。
- 疼痛・症状緩和: 飲み薬だけでなく、貼付薬や注射薬(持続皮下注射など)を用い、がん性疼痛や呼吸困難感を緩和します。
- 点滴・輸液療法: 脱水予防の点滴や、在宅での抗生剤投与など、病院に近い医療処置を行います。
- 吸引・呼吸ケア: 誤嚥による痰の貯留に対し、吸引の指導や管理を行います。
患者様やご家族が孤立しないよう、24時間365日の緊急往診体制を整えており、夜間や休日でも医師や看護師と連絡が取れ、必要に応じて駆けつける体制を約束します。
在宅療養を始めるためのサポート体制
在宅療養は、医師だけで支えるものではありません。地域の基幹病院やこれまで通院されていた主治医と緊密に連携し、治療経過や情報を共有します。
また、日々の生活を支えるケアマネジャーや、実際に処置やケアを行う訪問看護ステーションとも密に連絡を取り合います。
介護保険サービスの一つである「居宅療養管理指導」を活用し、医師や薬剤師がご自宅を訪問して療養上の指導や助言を行うことで、医療と介護が一体となった切れ目のない支援体制を構築します。ご家族の介護負担を軽減し、患者様が安心して過ごせる環境を整えます。
ご相談方法と診療開始までの流れ
当院は、墨田区、江東区、台東区、中央区、荒川区、江戸川区、千代田区を中心に訪問診療を提供しております。その他のエリアについても、患者様の状況やご希望に応じて対応可能な場合もございますので、個別にご相談ください。
① 外来でご相談いただく場合の流れ
通院から在宅への切り替えを迷われている場合は、まずは外来でご相談ください。
お電話またはWEBからご予約いただき、現在の病状や生活のご希望をお伺いします。その上で、今後の治療方針や在宅医療への移行時期について、医師と一緒に検討していきます。
② 訪問診療を希望する場合の流れ
訪問診療をスムーズに開始するための流れは以下の通りです。
- お問い合わせ: お電話またはホームページのお問い合わせフォームよりご連絡ください。
- 事前面談: ソーシャルワーカーや看護師が、ご自宅や入院先の病院へ伺い(または来院)、病状やご希望を確認し、制度等の説明を行います。
- 診療開始: 初回訪問の日程を調整し、医師・看護師がご自宅へ伺い診療を開始します。
食道がんによる自宅での療養不安や症状でお悩みなら、まずご相談ください
食道がんによる「食べられないつらさ」や「これからの生活への不安」を、一人で抱え込まないでください。ご自宅であっても、痛みを取り除き、適切な栄養管理を行うことで、穏やかでその人らしい時間を過ごすことは十分に可能です。
私たちは、患者様とご家族の「家で過ごしたい」という想いに寄り添い、全力を尽くしてサポートいたします。食道がんの在宅療養でお困りなら、まずはお気軽に当院までご相談ください。

