ネット・ゲーム時間が極端に長い
ご家族が部屋に閉じこもり、昼夜逆転してネットやゲームに没頭している状況は、見守るご家族にとって大変な心労かと存じます。「病院に連れて行きたいけれど、本人が拒否して動かない」「無理に連れ出そうとすると暴れる」といった理由で、医療機関への受診が叶わず、途方に暮れている方も少なくありません。
当院では、そのような通院が困難な方のために、医師がご自宅へ伺う訪問診療を行っています。まずはご家族だけでのご相談や、訪問診療はハードルが高いと感じる方に向けた外来でのご相談も承っております。HPからのお問い合わせ、または外来受診にて、現状をお聞かせください。
訪問診療を検討すべき主な症状・状態
ネット・ゲーム依存が疑われる場合、背景には発達障害や精神的な疾患、あるいは身体的な不調が隠れていることが多々あります。特に、生活リズムが崩れて外出が困難な場合や、対人恐怖が強く待合室にいられない場合は、訪問診療の適応となる可能性があります。
以下の表に、訪問診療の検討が必要な状態と、関連する可能性のある疾患をまとめました。
| 状態の分類 | 具体的な症状・状態 | 関連疾患 |
| 依存・行動の問題 | 昼夜逆転、ゲーム・ネットへの過度な没頭、暴力・暴言、ひきこもり | ゲーム障害・インターネット依存(依存症)、不眠症、睡眠覚醒リズム障害 |
| 発達・特性の課題 | こだわりが強い、衝動性が抑えられない、集団行動への不適応 | 自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、チック障害/トゥレット症候群 |
| 情緒・精神の不調 | 強い不安、気分の落ち込み、対人緊張、パニック発作、現実検討能力の低下 | 不安障害/パニック障害、社交不安障害、うつ病(思春期・若年者)、適応障害、統合失調症 |
| 身体・自律神経症状 | 朝起きられない、立ちくらみ、極端な痩せ・過食、体調不良による不登校 | 起立性調節障害(OD)、摂食障害(神経性やせ症・過食症) |
訪問診療で対応可能な医療処置・管理
ネット・ゲーム時間が極端に長い方への訪問診療では、まずは信頼関係の構築(ラポール)を最優先とします。その上で、背景にある不眠、不安、衝動性に対する薬物療法や、生活リズムを整えるための指導を行います。また、ご家族への接し方のアドバイスも重要な医療管理の一環です。
自宅で実施可能な基本的な診療・検査
ご自宅では、問診や視診による精神状態の把握に加え、必要に応じて採血検査を行い、栄養状態や内臓機能(肝機能・血糖値など)のチェックを行います。身体的な不調が依存を悪化させていないかを確認し、心身両面からのアプローチを行います。
在宅療養を始めるためのサポート体制
長期にわたるひきこもりや依存状態からの回復には、医師だけでなく多職種の連携が不可欠です。当院では、訪問看護ステーション(精神科訪問看護など)や、地域の保健所、精神保健福祉センターと連携し、社会復帰に向けた支援体制を整えます。
また、必要に応じて介護保険サービスや障害福祉サービスの利用を検討し、居宅療養管理指導を通じて、医療とケアが一体となった継続的なサポートを提供します。
早めの相談・検討が重要な理由(訪問診療のメリット)
1. 医療中断・未治療期間の解消
本人が受診を拒否している場合、長期間にわたり医療の手が入らず、症状が固定化・悪化するリスクがあります。訪問診療により、自宅という安心できる環境で早期に医療とつながることで、適切な診断と治療介入が可能になります。
2. 身体的健康の維持と管理
長時間のゲーム・ネット利用は、食事・睡眠の乱れによる栄養失調や体力低下、起立性調節障害などを引き起こします。定期的な訪問診療によって身体状態を管理し、健康悪化を防ぐことができます。
3. ご家族の精神的負担の軽減
「どう接していいかわからない」というご家族の孤立感は深刻です。第三者である医師や看護師が定期的に介入することで、家庭内の閉塞した空気が変わり、ご家族の不安や負担を軽減する相談相手となります。
ご相談方法と診療開始までの流れ
当院は、墨田区、江東区、台東区、中央区、荒川区、江戸川区、千代田区を中心に訪問診療を提供しております。その他のエリアについても、患者様の状況やご希望に応じて対応可能な場合もございますので、個別にご相談ください。
① 外来でご相談いただく場合の流れ
訪問診療に迷っている方や、症状の相談をご希望の方は外来受診をご利用ください。
- 予約・受付:電話またはWebで予約後、受付で症状と保険証を確認します。
- 診察・相談:医師が症状について問診・診察を行います。
- 今後の治療方針検討:診察結果に基づき、外来継続か訪問診療への移行かを患者様・ご家族と検討します。
② 訪問診療を希望する場合の流れ
通院困難な方、自宅での療養・ケアを希望される方は訪問診療をご検討ください。
- お問い合わせ(HPフォーム/電話):現在の症状についてご相談ください。
- 事前面談(情報共有・病状確認):訪問診療の適応確認と病状を詳しく伺うための面談(初回訪問)を行います。
- 診療開始:診療計画を立案後、定期的な医師の訪問診療を開始します。
ネット・ゲーム時間が極端に長くお悩みなら、まずご相談ください
「部屋から出てこない」「会話ができない」という状況でも、諦めずにご相談ください。ご本人が診療を拒否する場合でも、まずはご家族からの相談を通じて解決の糸口を探ることができます。医療が関わることで、膠着した状況が動き出すきっかけになります。お一人で抱え込まず、私たち専門家にお話をお聞かせください。

