朝起きられない・昼夜逆転(学校に行けない)
「朝、どうしても体が動かない」「夜眠れず、昼夜逆転して学校に行けない」。ご本人にとって、それは怠けではなく、自分の意志ではどうにもならない苦しみです。また、見守るご家族にとっても、出口が見えない毎日は大きな不安かと存じます。
当院では、こうした症状に悩む方や、通院が難しく訪問診療を検討されている方のご相談をお受けしています。まずは医師と直接話したいという方や、通院と訪問診療どちらが良いか迷っている方に向けた外来相談も承っております。おひとりで抱え込まず、私たちにお話しください。
訪問診療を検討すべき主な症状・状態
「朝起きられない・学校に行けない」という悩みは、単なる生活リズムの乱れではなく、起立性調節障害やメンタルヘルスの不調が背景にある場合が少なくありません。
無理に通院しようとすると、症状が悪化したり、親子関係が緊張したりすることがあります。以下のような状態が見られる場合は、自宅でリラックスして受診できる訪問診療が有効な選択肢となります。
| 状態の分類 | 具体的な症状・状態 | 関連疾患 |
| 自律神経・身体症状 | 朝起き上がれない、立ちくらみ、失神、動悸、頭痛、倦怠感が強く学校へ行けない | 起立性調節障害(OD)、過敏性腸症候群など |
| 不安・情緒面の不調 | 外出への強い恐怖、パニック発作、広場恐怖、気分の落ち込み、意欲低下、不登校に伴う抑うつ | 不安障害/パニック障害、社交不安障害、うつ病(思春期・若年者)、適応障害 |
| 発達・行動特性 | 集団生活への不適応、こだわりが強い、衝動性、感覚過敏、対人関係の構築困難 | 自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、チック障害/トゥレット症候群 |
| 行動嗜癖・その他 | ネット・ゲームへの没頭による昼夜逆転、食事の極端な拒否または過食、暴力・暴言 | ゲーム障害・インターネット依存、摂食障害(神経性やせ症・過食症) |
訪問診療で対応可能な医療処置・管理
訪問診療では、ご自宅という安心できる環境(セーフティネット)の中で、少しずつ心身の健康を取り戻すためのサポートを行います。ご本人のペースを尊重し、無理に登校を促すのではなく、生活リズムの調整や症状の緩和を目指します。
- 生活リズムの調整・指導: 睡眠スケジュールの見直しや、日光を浴びるタイミングなどの具体的なアドバイス。
- 薬物療法・管理: 起立性調節障害に対する昇圧剤や、精神的な安定を図るための漢方薬・抗不安薬などの処方と服薬管理。
- ご家族へのサポート: 接し方や家庭環境の調整に関する助言、心理的なケア。
自宅で実施可能な基本的な診療・検査
- バイタルチェック: 血圧(起立試験含む)、脈拍などの測定による自律神経機能の確認。
- 血液検査: 貧血や甲状腺機能異常、栄養状態など、身体的な要因を除外するための検査。
- 問診・カウンセリング: 医師による定期的な対話を通じた精神状態の観察とケア。
在宅療養を始めるためのサポート体制
不登校や引きこもりの解決には、医療だけでなく、多職種との連携が不可欠です。当院は、地域の訪問看護ステーションと連携し、看護師による生活指導や精神的なサポート体制を整えます。また、必要に応じて学校医やスクールカウンセラー、専門病院とも情報共有を行います。
介護保険が適用となるケースでは、居宅療養管理指導を活用し、ケアマネジャーと連携して医療と生活支援を一体的に提供することで、ご本人とご家族が孤立しない環境を作ります。
早めの相談・検討が重要な理由(訪問診療のメリット)
1. 二次的な精神疾患や重症化の予防
「学校に行けない」という自己嫌悪や、家族からのプレッシャーが続くと、うつ状態などが重症化するリスクがあります。早期に医療が介入し「病気が原因である」と理解することで、精神的な負担を軽減し、回復への土台を築けます。
2. 通院負担の解消によるストレス軽減
体調が悪い中での無理な通院は、ご本人にとって大きなストレスとなり、回復を遅らせる原因にもなります。医師が自宅へ伺うことで、通院に伴う身体的・精神的疲労をなくし、安心できる環境で治療に専念できます。
3. ご家族の不安解消と適切な関わり方
どう接すれば良いか分からないご家族に対し、医学的な根拠に基づいたアドバイスを提供します。第三者である医師が間に入ることで、家庭内の緊張が和らぎ、親子関係の改善につながるケースも多くあります。
ご相談方法と診療開始までの流れ
当院は、墨田区、江東区、台東区、中央区、荒川区、江戸川区、千代田区を中心に訪問診療を提供しております。その他のエリアについても、患者様の状況やご希望に応じて対応可能な場合もございますので、個別にご相談ください。
① 外来でご相談いただく場合の流れ
訪問診療に迷っている方や、症状の相談をご希望の方は外来受診をご利用ください。
- 予約・受付: 電話またはWebで予約後、受付で症状と保険証を確認します。
- 診察・相談: 医師が症状について問診・診察を行います。
- 今後の治療方針検討: 診察結果に基づき、外来継続か訪問診療への移行かを患者様・ご家族と検討します。
② 訪問診療を希望する場合の流れ
通院困難な方、終末期で在宅緩和ケアを希望される方は訪問診療をご検討ください。
- お問い合わせ(HPフォーム/電話): 現在の症状についてご相談ください。
- 事前面談(情報共有・病状確認): 訪問診療の適応確認と病状を詳しく伺うための面談(初回訪問)を行います。
- 診療開始: 診療計画を立案後、定期的な医師の訪問診療を開始します。
朝起きられない・昼夜逆転でお悩みなら、まずご相談ください
朝起きられないことや学校に行けないことは、決して「甘え」ではありません。適切な医療的サポートがあれば、少しずつ前へ進むことができます。ご家族だけで悩まず、まずは私たちにご相談ください。ご本人が自分らしさを取り戻せるよう、全力でサポートいたします。

