訪問診療対象の症状

痛みが続く(腰痛・関節痛・神経痛)

長引く腰痛や関節の痛み、しびれるような神経痛にお悩みではありませんか。「病院へ行きたいけれど、痛みが強くて動くのがつらい」「通院のために階段の上り下りや移動をするだけで症状が悪化してしまう」といったジレンマを抱え、我慢を重ねてしまう方は少なくありません。ご自宅での療養生活において、痛みを取り除くことは、生活の質を守るために最も優先されるべき課題の一つです。

当院では、通院が困難な方のご自宅へ医師が伺う訪問診療を行っております。訪問診療のご相談は、HPからのお問い合わせの他、直接、医師に話したいという方や、通院負担の移行を迷っている方向けに外来でのご相談も承っております。ご本人様やご家族だけで悩まず、まずは私たちにご相談ください。痛みのない穏やかな生活を取り戻すための一歩を、一緒に考えていきましょう。

訪問診療を検討すべき主な症状・状態

痛みが慢性化すると、単に「痛い」だけでなく、動く意欲の低下や食欲不振、睡眠障害など、全身の健康状態に悪影響を及ぼします。特に以下のような状態にある場合、無理をして外来通院を続けるよりも、訪問診療による計画的な疼痛管理(ペインコントロール)への切り替えを検討することをお勧めします。

  • 移動に伴う激痛がある:歩行や車への乗り降りだけで激しい痛みが生じ、通院自体が身体的・精神的な大きな負担となっている。
  • 痛み止めが手放せず、管理が難しい:内服薬の効果が切れると動けなくなり、薬の調整や副作用の管理が不十分になっている。
  • 寝たきり、またはそれに近い状態:腰椎圧迫骨折や変形性関節症、神経難病などが原因で、自宅内での移動も困難である。
  • がん性疼痛がある:がんの進行に伴う痛みがあり、自宅で最期まで穏やかに過ごしたい(緩和ケア)と希望されている。

また、痛みの背後には、整形外科的な疾患だけでなく、内科的な疾患や神経難病、悪性腫瘍などが隠れている場合や、それらが併存しているケースが多く見られます。当院では、痛みの緩和だけでなく、以下の表にあるような全身の疾患管理も同時に行います。

状態の分類具体的な症状・状態関連疾患
悪性腫瘍・緩和ケアがんに伴う痛み(疼痛)、呼吸苦、倦怠感の緩和、自宅での看取り支援肺がん、胃がん、大腸がん、食道がん、膵臓がん、肝臓・胆道がん、乳がん、前立腺がん、婦人科系がん、血液のがん・脳腫瘍など
呼吸器・循環器疾患息切れで動けない、在宅酸素療法が必要、心機能低下による活動制限誤嚥性肺炎をくり返す、慢性呼吸不全/COPD(肺気腫)、気管支喘息(通院困難な方)、慢性心不全、心房細動など抗凝固療法の在宅管理、高血圧・脂質異常症の在宅管理
神経・脳疾患麻痺による拘縮痛、しびれ、筋力低下、嚥下障害脳卒中後遺症(片麻痺・嚥下障害など)、パーキンソン病/パーキンソン症候群、ALSなど神経難病
代謝・栄養・排泄管理インスリン注射やカテーテル類の管理が必要で通院が難しい糖尿病(内服・インスリン管理)、慢性腎臓病(保存期の在宅管理)、肝硬変・腹水管理、胃ろう・経管栄養の管理、中心静脈栄養(ポート/IVH)の管理、留置カテーテル・膀胱瘻の管理、ストーマ(人工肛門・人工膀胱)のトラブルケア
精神・心理的症状認知機能の低下、不安やうつ状態、外出困難認知症(行動・心理症状ふくむ)、うつ病、統合失調症、不安障害/パニック障害、社交不安障害、適応障害

訪問診療で対応可能な医療処置・管理

「自宅でどこまで痛みの治療ができるのか」と不安に思われるかもしれませんが、訪問診療では病院とほぼ同等の薬物療法や処置が可能です。特に「痛み(疼痛)」に関しては、患者様の生活スタイルに合わせたきめ細やかな調整ができる点が在宅医療の強みです。

  • 内服薬・貼付薬の調整: 痛みの種類(侵害受容性、神経障害性など)に応じた鎮痛薬(NSAIDs、アセトアミノフェン、オピオイド鎮痛薬など)の処方と調整。
  • がん性疼痛の緩和: 麻薬性鎮痛薬(医療用麻薬)を用いた持続的な疼痛コントロール、PCAポンプ(自己調節鎮痛法)の管理、皮下注射による薬剤投与など。
  • 褥瘡(床ずれ)の処置: 寝たきりによる褥瘡からくる痛みのケア、軟膏処置、ドレッシング材の交換。

自宅で実施可能な基本的な診療・検査

医師が定期的に訪問し、診察(問診、聴診、触診など)を行うことで、日々の体調変化を早期に発見します。

血液検査、尿検査、便検査などの検体検査はもちろん、心電図検査や酸素飽和度の測定など、内科的な全身管理に必要な基本的な検査をご自宅で行うことが可能です。また、処方箋を発行し、薬剤師がご自宅へお薬をお届け・説明する体制も整えることができます。

在宅療養を始めるためのサポート体制

在宅での療養生活を安心して継続するためには、医師による診療だけでなく、多職種との連携が不可欠です。当院は、地域の基幹病院と連携し、緊急時のバックアップ体制を確保しつつ、日々のケアを支えるケアマネジャーや訪問看護ステーションとも密に情報を共有しています。

特に重要となるのが、医療と介護の一体的な提供です。訪問診療では、介護保険制度における「居宅療養管理指導」を提供します。これは、医師や薬剤師などが、ケアマネジャーに対してケアプラン作成に必要な医学的情報を提供したり、患者様やご家族に対して療養上の指導・助言を行ったりするサービスです。

痛みが原因で入浴や排泄が困難な場合でも、医師の指示のもと、訪問看護師や訪問介護ヘルパーが適切な介助を行うことで、清潔で快適な生活環境を整えることができます。

早めの相談・検討が重要な理由(訪問診療のメリット)

1. 痛みの悪循環を断ち切り、重症化を防ぐ

痛みがあると動かなくなり、筋肉が痩せ、関節が固まり、さらに痛みが強くなるという悪循環(廃用症候群)に陥ります。定期的な訪問診療により、適切な鎮痛と状態管理を行うことで、この悪循環を断ち切り、寝たきりや新たな合併症の予防につなげることができます。早期介入が、身体機能の維持に直結します。

2. 通院の負担を解消し、生活の質(QOL)を向上させる

「通院のための体力」を「生活を楽しむための体力」に変えることができます。移動の苦痛や待ち時間の疲労から解放されることで、ご本人には笑顔が戻り、付き添われるご家族の身体的・精神的負担も大幅に軽減されます。住み慣れた自宅のリラックスした環境で治療を受けることは、精神的な安定にも寄与します。

3. 最期まで自分らしく過ごす選択肢を持てる

慢性的な痛みや進行性の疾患を抱えていても、適切な医療サポートがあれば、施設や病院ではなくご自宅で過ごすことが可能です。どのような最期を迎えたいか、どのような時間を過ごしたいかという患者様の価値観を尊重し、医学的な管理と緩和ケアによって、その人らしい生活を最期まで支え続けることができます。

ご相談方法と診療開始までの流れ

当院は、墨田区、江東区、台東区、中央区、荒川区、江戸川区、千代田区を中心に訪問診療を提供しております。その他のエリアについても、患者様の状況やご希望に応じて対応可能な場合もございますので、個別にご相談ください。

① 外来でご相談いただく場合の流れ

訪問診療に迷っている方や、症状の相談をご希望の方は外来受診をご利用ください。

  • 予約・受付:電話またはWebで予約後、受付で症状と保険証を確認します。
  • 診察・相談:医師が症状について問診・診察を行います。
  • 今後の治療方針検討:診察結果に基づき、外来継続か訪問診療への移行かを患者様・ご家族と検討します。

② 訪問診療を希望する場合の流れ

通院困難な方、終末期で在宅緩和ケアを希望される方は訪問診療をご検討ください。

  • お問い合わせ(HPフォーム/電話):現在の症状についてご相談ください。
  • 事前面談(情報共有・病状確認):訪問診療の適応確認と病状を詳しく伺うための面談(初回訪問)を行います。
  • 診療開始:診療計画を立案後、定期的な医師の訪問診療を開始します。

詳しい流れはこちらのページへ

痛みが続く(腰痛・関節痛・神経痛)でお悩みなら、まずご相談ください

「痛み」は我慢するものではなく、適切な医療によって緩和すべきものです。ご自宅で療養中の方、あるいは通院の限界を感じている方が、痛みから解放され、穏やかな日常を取り戻せるよう、私たちが全力でサポートいたします。

ご家族だけで抱え込まず、まずは一度、当院までお気軽にご相談ください。あなたの「家にいたい」という想いに寄り添います。

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