訪問診療対象の症状

不眠・昼夜逆転

「夜なかなか眠れない」「昼夜が逆転してしまい、日中ずっと寝ている」といった症状は、ご本人の生活の質を下げるだけでなく、ケアを行うご家族にとっても身体的・精神的に大きな負担となります。

通院が難しくなり、自宅での療養を検討されている方は、ぜひ当院へご相談ください。訪問診療のご相談は、HPからのお問い合わせの他、直接、医師に話したいという方や、通院負担の移行を迷っている方向けに外来でのご相談も承っております。

訪問診療を検討すべき主な症状・状態

不眠や昼夜逆転は、単なる睡眠の不調だけでなく、認知症の進行や精神疾患、あるいは身体的な苦痛(痛みや息苦しさ)が背景にある場合があります。

特に、外出が困難で通院がおっくうになっている場合や、夜間の行動によりご家族の介護負担が限界に近い場合は、訪問診療による介入が推奨されます。

以下のような疾患や状態にある方が対象となります。

状態の分類具体的な症状・状態関連疾患
認知症・精神疾患夜間せん妄、徘徊、暴言、暴力、幻覚、妄想、強い不安、気分の落ち込み、意欲低下認知症(行動・心理症状ふくむ)、うつ病、統合失調症、不安障害/パニック障害、社交不安障害、適応障害
神経・脳血管疾患手足の震え、体の強張りによる入眠障害、嚥下機能低下、麻痺による寝返り困難パーキンソン病/パーキンソン症候群、ALSなど神経難病、脳卒中後遺症(片麻痺・嚥下障害など)
小児・思春期・発達障害朝起きられない、登校困難、ゲームやネットへの没頭による生活リズムの崩れ、こだわり行動起立性調節障害(OD)、うつ病(思春期・若年者)、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、摂食障害(神経性やせ症・過食症)、チック障害/トゥレット症候群、ゲーム障害・インターネット依存(依存症)
がん・緩和ケアがん性疼痛による不眠、呼吸苦、終末期における精神的ケア、看取り対応肺がん、胃がん、大腸がん、食道がん、膵臓がん、肝臓・胆道がん、乳がん、前立腺がん、婦人科系がん、血液のがん・脳腫瘍など
慢性疾患・臓器障害夜間の咳き込み、起座呼吸(横になると苦しい)、頻尿、在宅酸素やインスリン管理が必要誤嚥性肺炎をくり返す、慢性呼吸不全/COPD(肺気腫)、気管支喘息(通院困難な方)、慢性心不全、心房細動など抗凝固療法の在宅管理、高血圧・脂質異常症の在宅管理、糖尿病(内服・インスリン管理)、慢性腎臓病(保存期の在宅管理)、肝硬変・腹水管理
医療的ケア・処置栄養管理や排泄管理に伴う夜間のケア、トラブル対応胃ろう・経管栄養の管理、中心静脈栄養(ポート/IVH)の管理、留置カテーテル・膀胱瘻の管理、ストーマ(人工肛門・人工膀胱)のトラブルケア

訪問診療で対応可能な医療処置・管理

不眠や昼夜逆転に対しては、単に睡眠薬を処方するだけでなく、その原因となっている「痛み」「痒み」「不安」「環境要因」などを特定し、総合的にアプローチします。

  • 睡眠コントロールと薬物療法:患者様の年齢や基礎疾患に合わせ、転倒リスクの少ない薬剤調整を行います。また、日中の活動量を増やすための生活指導も行います。
  • 身体症状の緩和:疼痛、呼吸苦、頻尿など、睡眠を妨げる身体的要因に対する治療や処置を行います。
  • 精神的ケア:不安やうつ症状が強い場合、対話を通じた精神的サポートや、必要に応じた専門的な薬物療法を行います。

自宅で実施可能な基本的な診療・検査

心身の状態を把握するため、バイタル測定(血圧・脈拍・体温・SPO2)、血液検査、尿検査、心電図検査などを自宅で行います。必要に応じてポータブル機器を用いた検査を行い、全身状態を管理します。

在宅療養を始めるためのサポート体制

不眠や昼夜逆転のケアは、医師だけでなく多職種での連携が不可欠です。地域の基幹病院と連携し、緊急時のバックアップ体制を整えています。また、ケアマネジャーと情報を共有し、デイサービスなどの介護サービスの利用時間を調整することで、生活リズムの改善を図ります。訪問看護師と連携し、服薬管理や夜間の安否確認を行うことで、ご家族のレスパイト(休息)も支援します。

さらに、介護保険サービスの「居宅療養管理指導」を活用することで、医師や薬剤師が定期的に訪問し、療養上の管理や指導を行います。これにより、医療と介護が一体となった切れ目のないサポートを提供します。

早めの相談・検討が重要な理由(訪問診療のメリット)

1. 転倒や「せん妄」などのリスクを低減

不眠は、夜間の転倒や骨折、あるいは「せん妄(急激な精神状態の混乱)」を引き起こす大きなリスク因子です。定期的な訪問診療により、睡眠状態を適切に管理することで、これらの事故や症状悪化を未然に防ぎ、入院のリスクを減らします。

2. 介護者の負担軽減と共倒れの防止

昼夜逆転は、同居するご家族の睡眠も奪い、介護疲れによる共倒れを招きかねません。医師が介入し、適切な医療コントロールを行うことで、患者様ご本人は夜ぐっすり眠れるようになり、ご家族も休息を取れるようになります。生活全体のリズムを整えることが可能です。

3. きめ細やかな薬の調整によるQOL向上

高齢者や基礎疾患のある方にとって、睡眠薬の調整は非常に繊細です。効きすぎれば日中のふらつきや眠気を招き、効かなければ不眠が続きます。訪問診療では、生活の様子を直接確認しながら微調整ができるため、安全かつ効果的な処方が可能となり、生活の質(QOL)が向上します。

ご相談方法と診療開始までの流れ

当院は、墨田区、江東区、台東区、中央区、荒川区、江戸川区、千代田区を中心に訪問診療を提供しております。その他のエリアについても、患者様の状況やご希望に応じて対応可能な場合もございますので、個別にご相談ください。

① 外来でご相談いただく場合の流れ

訪問診療に迷っている方や、症状の相談をご希望の方は外来受診をご利用ください。

  • 予約・受付: 電話またはWebで予約後、受付で症状と保険証を確認します。
  • 診察・相談: 医師が症状について問診・診察を行います。
  • 今後の治療方針検討: 診察結果に基づき、外来継続か訪問診療への移行かを患者様・ご家族と検討します。

② 訪問診療を希望する場合の流れ

通院困難な方、終末期で在宅緩和ケアを希望される方は訪問診療をご検討ください。

  • お問い合わせ(HPフォーム/電話): 現在の症状についてご相談ください。
  • 事前面談(情報共有・病状確認): 訪問診療の適応確認と病状を詳しく伺うための面談(初回訪問)を行います。
  • 診療開始: 診療計画を立案後、定期的な医師の訪問診療を開始します。

詳しい流れはこちらのページへ

不眠・昼夜逆転でお悩みなら、まずご相談ください

「夜になると騒ぎ出す」「家族も眠れず限界だ」など、不眠や昼夜逆転の問題を家庭内だけで抱え込む必要はありません。適切な医療介入によって、穏やかな夜と生活リズムを取り戻すことができます。患者様とご家族が安心して暮らせるよう、私たちが全力でサポートいたします。まずは一度、お気軽にご相談ください。

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