ずっとクリニックに通っているが同じ薬を処方されていて改善されない
「毎月一生懸命クリニックに通っているのに、症状が良くならない」
「診察は数分で終わり、いつも同じ薬が出されるだけ……」
「先生には『変わりないですか?』と聞かれるから、つい『はい』と答えてしまう」
このようなモヤモヤとした不安を抱えてはいませんか?
長年通院を続けていると、治療がマンネリ化しているように感じたり、本当にこのままで良いのかと疑問を持ったりすることは、決して珍しいことではありません。特に、ご高齢で通院自体が負担になってきている場合、その不安はより大きなものになるでしょう。
この記事では、「なぜ同じ薬が処方され続けるのか」という背景と、「現状を打開するために患者様やご家族ができること」について、医療の現場目線でわかりやすく解説します。
少し視点を変えるだけで、より納得のいく医療を受けるきっかけが見つかるかもしれません。ぜひ最後までお読みください。
なぜ「いつも同じ薬」なのか?考えられる3つの理由
「どうして薬を変えてくれないんだろう?」と不満に思う前に、まずは医師がなぜ同じ薬を処方し続けているのか、その背景にある可能性を知っておくことが大切です。
主に以下の3つのパターンが考えられます。
1. 「現状維持」が治療の目標になっている場合
高血圧や糖尿病などの慢性疾患の場合、病気を「完治」させることよりも「今の状態を悪化させないこと(現状維持)」が治療の第一目標になることが多くあります。
もし、検査数値が安定していて、急激な悪化が見られない場合、医師は「今の薬が身体に合っており、うまくコントロールできている」と判断します。この場合、あえて薬を変えるリスクを避けるために、同じ処方を継続することが医学的に正解であるケースも多いのです。
2. 「困っていること」が医師に伝わっていない場合
多くの外来診療では、限られた時間の中で診察を行わなければなりません。
医師が「お変わりないですか?」と聞いたとき、患者様が遠慮して「大丈夫です」と答えてしまうと、医師は「今の治療で問題ない(満足している)」と捉えてしまいます。
「実は薬を飲むと少し気持ち悪い」「症状は変わらないけれど、生活する上でここが不便だ」といった具体的な悩みは、言葉にしない限り、残念ながら伝わらないことが多いのです。
3. 薬以外の要因(生活習慣など)が影響している場合
薬はあくまで治療のサポート役です。いくら良い薬を使っていても、食事や水分摂取、睡眠などの生活習慣に原因がある場合、薬の効果が十分に発揮されないことがあります。
また、ご高齢の方に多いのが「実は薬を正しく飲めていない」というケースです。
- 飲み忘れが多い
- 飲み込みにくくて、こっそり捨ててしまっている
- 袋から出すのが難しくて飲んでいない
これらは外来の診察室では見えにくいため、医師は「薬を飲んでいるのに効かないのかな?」と首を傾げつつも、原因が特定できずに同じ処方を続けてしまうことがあります。
症状が改善しないときに、まず試してほしいアクション
「先生に意見するのは怖い」「クレーマーだと思われたくない」と考える必要はありません。より良い治療を受けるために、次回の診察で以下のような工夫をしてみることをお勧めします。
具体的なメモを持参して伝える
「なんとなく良くならない」という感覚的な伝え方だと、医師も対策が立てづらいものです。以下のような情報をメモして持参すると、スムーズに相談できます。
- 一番困っている具体的な症状(例:夜に足が痛くて眠れない、食欲がない)
- それはいつから続いているか
- 今の薬を飲んでいて気になること(例:粒が大きくて飲み込みにくい、眠気が強い)
「この症状がつらいので、何か別の方法はありますか?」と質問形式で尋ねてみると、角が立たずに相談できます。
かかりつけ薬局の薬剤師に相談する
医師に直接言いにくい場合は、調剤薬局の薬剤師を頼ってください。
「実は先生には言えなかったんだけど、この薬を飲むと調子が悪くて……」と相談すれば、薬剤師から医師へ疑義照会(処方内容の確認や提案)を行ってくれることがあります。薬剤師は、患者様と医師の橋渡し役でもあるのです。
「通院」から「訪問診療」へ切り替えるという選択肢
もし、現在通院が大変になってきている状況で、かつ治療方針に疑問を感じているのであれば、「訪問診療(在宅医療)」への切り替えを検討するのも一つの解決策です。
外来通院と訪問診療には、診察のアプローチに大きな違いがあります。
生活の場を見ることで「原因」が見つかる
訪問診療では、医師や看護師が患者様のご自宅へ伺います。
診察室ではよそ行きのお顔をしていても、ご自宅ではリラックスした本来の姿が見られます。
- 実際の食事内容や冷蔵庫の中身
- テーブルの上に置きっぱなしの「飲み残しの薬」
- ベッドの配置や生活動線
これらを直接見ることで、「薬が効かないのではなく、飲めていなかったんだ」「食事の内容が影響していたんだ」といった本当の原因に気づくことができます。その結果、薬の種類を減らしたり、飲みやすい形状(粉薬やゼリー状)に変えたりといった、きめ細やかな調整が可能になります。
じっくりと対話ができる
外来の「3分診療」とは異なり、訪問診療では比較的ゆったりとした時間の中で、患者様やご家族のお話に耳を傾けることができます。
「本当はもっとこうしたい」「ここが不安だ」という想いを共有することで、納得感のある治療方針を一緒に決めていくことができます。
信頼できる医療機関と出会うために
「今の先生に悪いから……」と、疑問を抱えたまま通院を続けることは、患者様ご本人の心身にとって良いことではありません。
治療の効果が実感できず、信頼関係を築くのが難しいと感じた場合は、セカンドオピニオン(別の医師の意見を聞くこと)や、通院先を変えることを検討しても全く問題ありません。それは患者様が持つ正当な権利です。
特に、通院が身体的な負担になっている場合は、無理をして通い続けるよりも、自宅に来てくれる医師に相談する方が、結果として生活の質(QOL)が向上するケースが多くあります。
まとめ:一人で悩まず、まずは「相談」からはじめましょう
ずっと同じ薬で改善が見られないとき、それは「仕方のないこと」ばかりではありません。伝え方を工夫したり、診療の形式を変えたりすることで、状況が良い方向へ変わる可能性は十分にあります。
- 今の治療方針について、医師に具体的に質問してみる。
- 薬局の薬剤師を味方につける。
- 通院が大変なら、自宅に来てくれる「訪問診療」を検討する。
私たちすみだ両国まちなかクリニックは、地域に根ざした訪問診療を行っています。
「今の治療に不安がある」「通院がつらくなってきたけれど、どうすればいいか分からない」といったご相談も大歓迎です。
当クリニックでは、患者様の生活環境やご家族の想いまでを含めて診察を行い、「薬を出すこと」だけでなく「安心して生活できること」を目指したサポートを心がけています。
今の状況を少しでも良くするために、まずはお気軽にお問い合わせください。スタッフ一同、親身になってお話を伺います。

