訪問診療対象の症状

通院がむずかしい(歩行困難・寝たきり)

通院時の移動や待ち時間は、ご本人様だけでなく、ご家族様にとっても大きな負担となります。そのご苦労に心から共感いたします。当院は、歩行困難や寝たきりなどで通院が難しい方を、住み慣れたご自宅で支える訪問診療を専門としております。訪問診療の利用を検討されている方、あるいはまだ通院は可能だが負担を感じ始めた方は、まずは外来でのご相談も承ります。まずはお気軽にご連絡ください。

訪問診療を検討すべき主な症状・状態

訪問診療は、疾病の有無だけでなく、「通院が困難な状態」にある場合に適用されます。通院の介助が大きな負担となっている場合や、病状により自宅安静が必要な場合など、特に訪問診療が必要となる具体的な状態を分類し、関連疾患と併せてご案内いたします。

訪問診療を検討すべき主な状態と関連疾患

状態の分類具体的な症状・状態関連疾患
神経・運動機能の低下歩行困難、寝たきり、片麻痺、嚥下障害、リハビリテーション継続の必要性脳卒中後遺症、パーキンソン病/パーキンソン症候群、ALSなど神経難病
重度な内科・慢性呼吸器疾患誤嚥性肺炎をくり返す、慢性的な呼吸困難、心不全による在宅安静、糖尿病・高血圧などの在宅管理慢性呼吸不全/COPD(肺気腫)、慢性心不全、糖尿病、慢性腎臓病(保存期)、肝硬変・腹水管理
がん(緩和ケア・看取り)疼痛管理(麻薬使用含む)、倦怠感、終末期ケア、ご自宅での看取り肺がん、胃がん、大腸がん、乳がん、膵臓がん、血液のがん・脳腫瘍など
精神疾患・認知症BPSD(行動・心理症状)、うつ病、統合失調症などによる外出困難、摂食障害認知症、うつ病、統合失調症、不安障害/パニック障害、摂食障害、ゲーム障害・インターネット依存
高度な管理処置胃ろう・経管栄養、中心静脈栄養(IVH)、尿道カテーテル・ストーマ管理、褥瘡(床ずれ)胃ろう・経管栄養の管理、中心静脈栄養(ポート/IVH)の管理、留置カテーテル・膀胱瘻の管理、ストーマのトラブルケア

訪問診療で対応可能な医療処置・管理

ご自宅にいながら、専門的な医療処置から日常の健康管理まで対応可能です。訪問診療は、外来で行われる多くの医療行為を、患者様の生活環境の中心で提供するものです。

高度な医療処置への対応

当院では、通院が困難な患者様が抱える重度の症状や、継続的な管理が必要な状況に対応するため、専門的な医療処置を自宅で実施します。これは、在宅医療が単なる介護の延長ではなく、「積極的な治療の場」であることを意味します。具体的には、慢性呼吸不全の方の在宅酸素療法(HOT)の管理、麻薬を用いた疼痛緩和ケア、脱水や栄養補給のための点滴、中心静脈栄養(IVH)の管理、経管栄養(胃ろう含む)の管理を行います。また、褥瘡(床ずれ)や創傷の適切な処置、尿道カテーテルや膀胱瘻、人工肛門・人工膀胱(ストーマ)の交換やトラブルケアにも対応いたします。

自宅で実施可能な基本的な診療・検査

定期的な医師による診察(全身状態、バイタルチェック、症状の確認)、処方薬の調整・管理(薬局との連携含む)、療養上の相談・指導を行います。訪問診療の最大のメリットの一つは、患者様が最もリラックスできる住み慣れた場所で、生活中心の医療を受けられることです。これにより、体調不良や些細な変化にも気がつきやすくなり、早期対応が可能です。迅速な体調変化の把握のため、自宅で採血、尿検査、インフルエンザや新型コロナウイルスの感染症検査なども実施可能です。

在宅チーム(多職種)との連携体制

多職種連携による包括的ケア

当院は、訪問看護師やケアマネジャー、リハビリスタッフなど、多職種と密に連携し、患者様にとって最適なケアを提供します。これにより、医療、看護、リハビリテーション、生活支援を一体となって提供し、患者様が住み慣れた環境で快適に過ごせるよう支援します。

早めの相談・検討が重要な理由(訪問診療のメリット)

1. 重症化・入院リスクの予防

定期的な診察により、体調の急変や病状の悪化の兆候を早期に発見できます。早期介入は、誤嚥性肺炎や心不全の急性増悪など、緊急入院が必要になる事態を未然に防ぎます。これにより、病状のコントロールを維持し、安心した在宅療養の継続を可能にします。

2. ご本人様とご家族の負担軽減

通院が困難な方を抱えるご家族は、身体的介助だけでなく、通院のための待ち時間、スケジュール調整、付き添いといった「見えない労働」に疲弊しています。訪問診療は、これらの労力と時間からご家族を解放し、介護者の精神的・身体的な疲労を劇的に軽減します。これにより、患者様との時間をより質の高いものにすることに繋がります。

3. 住み慣れた場所でのQOL(生活の質)維持

慣れ親しんだご自宅で、ご本人の生活スタイルや尊厳を尊重した質の高い医療・ケアを受けられます。患者様のQOL向上を最優先とし、生活環境や人生観を考慮した診療計画を立てることで、「家で過ごしたい」という願いを可能にします。

4. 24時間365日の安心サポート

病状が急変した場合や夜間・休日であっても、当院は24時間体制で電話相談や緊急往診に対応できる体制を整えています。この強固なサポート体制は、自宅療養に対する最大の不安要素である「もしもの時」への備えを確実なものとし、患者様とご家族に安心を提供します。

ご相談方法と診療開始までの流れ

当院の訪問診療対応エリアは、墨田区、江東区、台東区、中央区、荒川区、江戸川区、千代田区です。その他のエリアについては、個別にご相談ください。患者様の状況やご希望に応じて対応可能な場合もございます。

① 外来でご相談いただく場合の流れ

まずは電話またはHPから外来予約をお願いいたします。来院いただき、医師が患者様の症状やご希望を詳しく伺います。まだ通院に迷いがある、あるいは訪問診療への移行を検討し始めた段階でも、今後の治療方針(訪問診療への移行、または外来継続)を共に検討できます。

② 訪問診療を希望する場合の流れ

訪問診療を希望される場合、最初はお問い合わせ(HPフォームまたはお電話)をいただきます。その後、事前面談(患者様の状況確認と契約説明)を経て、診療計画を立案し、定期的な訪問診療開始となります。

詳しい流れはこちらのページへ

通院がむずかしい(症状)でお悩みなら、まずご相談ください

通院の負担を我慢することは、重症化や介護疲れに繋がるリスクがあります。まずは小さな不安でもご相談ください。当院は、多職種連携を重視し、患者様とご家族の安心した在宅生活を全力でサポートします。ご自宅での質の高い療養生活を共に築きましょう。

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