小児科
はしか
症状・疾患の概要
麻疹(はしか)は、麻疹ウイルスによって引き起こされる非常に感染力の高いウイルス性疾患です。特に予防接種を受けていない乳幼児や子どもがかかりやすい疾患で、発熱や発疹、呼吸器症状が特徴です。まれに重篤な合併症を引き起こすことがあります。
主な症状
麻疹の症状は感染後7~10日ほどで現れ、以下のような経過をたどります:
前駆期(感染初期)
- 高熱(38~39℃)
- 咳、鼻水、くしゃみ
- 結膜炎(目の充血や涙)
- コプリック斑(頬の内側に小さな白い斑点)
発疹期
- 再び高熱(39~40℃以上)
- 顔から体全体へ広がる赤い発疹
- 全身の倦怠感や強い不快感
回復期
- 熱が下がり、発疹が徐々に薄くなる
診断と検査について
麻疹は、以下の方法で診断されます:
- 症状の確認:発熱、発疹、コプリック斑の有無。
- 流行状況の確認:地域での麻疹感染者の発生状況。
- 血液検査や咽頭ぬぐい液検査:麻疹ウイルスの抗体や遺伝子を確認する。
治療法について
麻疹に特効薬はなく、対症療法が行われます。
- 発熱や痛みの緩和:解熱剤や鎮痛剤を使用。
- 水分補給:脱水を防ぐため、こまめな水分摂取。
- 十分な休養:安静に過ごし、免疫力の回復を促す。
重症の場合は入院治療が必要になることがあります。
注意が必要な合併症や重篤な兆候
麻疹は重篤な合併症を引き起こす可能性があります:
- 肺炎:高熱、息苦しさ、呼吸困難
- 中耳炎:耳の痛みや聞こえづらさ
- 脳炎:強い頭痛、けいれん、意識障害
- 亜急性硬化性全脳炎(SSPE):発症は稀ですが、感染後数年経ってから神経症状が現れる致命的な合併症。
これらの症状が見られた場合は、速やかに医療機関を受診してください。
家庭でできるケア
- 部屋を加湿し、咳や喉の痛みを和らげる。
- 食事は消化の良いものを与え、栄養を補給。
- 熱がある場合は、涼しい環境で過ごす。
- 他の人への感染を防ぐため、適切な隔離を行う。
予防方法
- 予防接種(MRワクチン):1歳と就学前の2回接種が推奨されています。
- 感染者との接触を避ける:流行中は人混みを避け、予防接種を受けていない子どもへの注意が必要です。
- 基本的な衛生管理:手洗いやうがいを徹底。
よくある質問(FAQ)
Q1: 麻疹は大人もかかりますか?
A1: はい。予防接種を受けていない大人も感染する可能性があります。重症化しやすいため、注意が必要です。
Q2: 麻疹は何日くらいで治りますか?
A2: 通常、発症から2~3週間で回復しますが、重症例では長引くことがあります。
Q3: 麻疹に感染した場合、再びかかることはありますか?
A3: 麻疹に1度感染すると、生涯免疫が得られるため再感染はありません。