小児科
嘔吐下痢症
症状・疾患の概要
嘔吐下痢症は、ウイルスや細菌による感染で胃腸に炎症が生じ、嘔吐や下痢を引き起こす病気です。乳幼児や小児に多く見られ、ロタウイルスやノロウイルスなどが主な原因です。感染力が非常に高く、家庭内や保育園・学校での集団感染がしばしば発生します。
主な症状
- 嘔吐:突然起こり、数回続くことが多い
- 下痢:水様便が特徴で回数が増える
- 発熱(38~39℃程度が多い)
- 腹痛や腹部の不快感
- 脱水症状(口の渇き、尿量の減少、ぐったりする)
症状は通常1週間以内に改善しますが、脱水症状に注意が必要です。
診断と検査について
嘔吐下痢症は、以下の方法で診断されます:
- 問診:嘔吐や下痢の回数、発症時期、発熱の有無を確認。周囲で同様の症状の人がいるかを確認。
- 視診:脱水症状の有無や全身状態を確認。
- 便検査(必要に応じて):ウイルスや細菌の特定を行う。
多くの場合、症状の経過と特徴から診断が可能です。
治療法について
嘔吐下痢症の治療は、原因を問わず対症療法が中心です。
- 脱水の予防と治療:経口補水液(ORS)を少量ずつ頻繁に与える。脱水が重い場合は点滴による補水が必要。
- 胃腸の安静:嘔吐が落ち着くまでは食事を控える。消化に良いもの(おかゆ、スープ、リンゴのすりおろしなど)から再開。
- 薬物療法(必要に応じて):下痢止めや抗生物質は通常使用しませんが、重症の場合は医師が判断します。痛みが強い場合は鎮痛剤を使用。
注意が必要な合併症や重篤な兆候
以下の症状が見られた場合は、速やかに医療機関を受診してください:
- 嘔吐が止まらない、または緑色や血液を伴う
- 激しい腹痛
- 尿が半日以上出ていない
- ぐったりして反応が鈍い
- 目がくぼむ、口の中が乾燥する(重度の脱水症状)
家庭でできるケア
- 経口補水液の活用:嘔吐後30分ほど経過してから、少量ずつ与える。
- 胃腸に優しい食事:消化に良いものを少量ずつ与える。
- 適切な清潔管理:嘔吐物や便に触れた際は、手洗いやアルコール消毒を徹底。
予防方法
- 手洗い:食事の前後やトイレの後にしっかりと手を洗う。
- 食品の衛生管理:生ものや調理済み食品は適切に保存する。
- 消毒:嘔吐物や便を処理した場所を次亜塩素酸ナトリウムで消毒する。
- 予防接種:ロタウイルスによる嘔吐下痢症は予防接種で重症化を防げます。
よくある質問(FAQ)
Q1: 嘔吐下痢症はどれくらいで治りますか?
A1: 通常、症状は数日から1週間以内に改善します。
Q2: 家族内で感染しないためにどうしたら良いですか?
A2: 嘔吐物や便を適切に処理し、手洗いを徹底してください。食器やタオルを共有しないことも重要です。
Q3: 食事はいつから再開すれば良いですか?
A3: 嘔吐が落ち着き、本人が食欲を示してから消化の良い食べ物を少量ずつ与えましょう。