小児科
クループ症候群
症状・疾患の概要
クループ症候群は、主に乳幼児に発症するウイルス感染による呼吸器疾患です。喉(喉頭)や気管の粘膜が腫れ、特有の「犬が吠えるような咳」と呼吸困難を引き起こします。風邪をきっかけに発症することが多く、夜間に症状が悪化することがあります。
主な症状
- 犬が吠えるような咳(咽頭狭窄性咳嗽)
- 声がかすれる(嗄声)
- 吸気性喘鳴(吸うときにヒューヒューという音が聞こえる)
- 呼吸困難(重症の場合)
- 発熱(軽度~中程度)
軽症の場合は家庭で管理できますが、重症例では医療機関での治療が必要です。
診断と検査について
クループ症候群は以下の方法で診断されます:
- 問診:症状の経過や夜間の咳の特徴、発熱の有無を確認。
- 視診・聴診:喉頭部の腫れや呼吸音の異常を確認。
- 胸部X線検査(必要に応じて):喉頭狭窄の「鋭いすり鉢状」像を確認。
多くの場合、症状の特徴と聴診で診断が可能です。
治療法について
クループ症候群の治療は、症状の重症度に応じて行われます。
軽症の場合
加湿:部屋を適切に加湿し、冷たい空気を吸わせて気道の腫れを和らげる。
解熱剤:必要に応じて使用。
水分補給:喉を潤し、体力回復を助けます。
重症の場合
酸素投与:呼吸を助けるため。
吸入薬:アドレナリン吸入で気道の腫れを抑える。
ステロイド薬:気道炎症の軽減。
入院治療:症状が重い場合は集中管理が必要です。
注意が必要な合併症や重篤な兆候
クループ症候群は、以下の兆候が見られた場合、命に関わることがあります。速やかに医療機関を受診してください。
- 呼吸が非常に苦しそう(胸や肋骨の間がへこむ)
- 唇や顔色が青白くなる(チアノーゼ)
- 飲食ができない、またはぐったりして反応が鈍い
- 吸気性喘鳴が強くなる
家庭でできるケア
- 加湿:部屋を適度に加湿し、蒸気を吸入させる。
- 冷たい空気を吸わせる:外の冷たい空気を吸わせると症状が和らぐことがあります。
- 安静:発作を起こさないように、落ち着いた環境を整える。
- 水分補給:喉を潤し、体力を保つ。
予防方法
- 風邪の予防:手洗いやうがいを徹底。
- 予防接種:RSウイルスやインフルエンザが原因となることがあるため、ワクチン接種を推奨。
- 適切な体調管理:十分な睡眠とバランスの取れた食事で免疫力を高める。
よくある質問(FAQ)
Q1: クループ症候群は何歳くらいの子どもがかかりやすいですか?
A1: 主に6か月~3歳の乳幼児に多いですが、小学生程度まで発症することがあります。
Q2: 発作時に自宅でできる応急処置はありますか?
A2: 部屋を加湿したり、冷たい空気を吸わせたりして気道の腫れを和らげてください。それでも改善しない場合は医療機関を受診してください。
Q3: クループ症候群は何日くらいで治りますか?
A3: 軽症であれば2~3日で改善しますが、重症の場合は1週間程度かかることがあります。