小児科
便秘
症状・疾患の概要
小児の便秘は、排便回数が減ったり、硬い便が出て痛みを伴う状態を指します。成長段階における食事の変化や生活習慣、心理的な要因が関与することが多く、適切な対応をしないと慢性化し、さらに排便が困難になることがあります。便秘が続くと、おなかが張る、食欲が低下するなどの症状も見られます。
主な症状
- 排便が2~3日以上ない
- 硬い便で排便時に痛みがある
- 腹部の膨満感、張り
- 排便を怖がる(便意を我慢する)
- 食欲低下やぐずり
- 下着に少量の便がつく(便失禁、いわゆる「お漏らし」)
診断と検査について
小児の便秘の診断は、以下の方法で行います:
- 問診:排便の頻度、便の硬さ、痛みの有無。食事内容や水分摂取量、運動状況。ストレスや生活習慣の変化の有無(保育園や学校生活の影響)。
- 視診・触診:おなかの張りや腸の動き、便がたまっているかを確認。
- 追加検査(必要に応じて):腸閉塞や他の疾患を疑う場合には、腹部超音波検査を実施。
通常、詳細な問診と視診・触診で診断が可能です。
治療法について
小児の便秘治療は、生活習慣の改善と薬物療法が中心です。
生活習慣の改善
食事改善
- 野菜や果物、全粒穀物など、食物繊維を多く含む食品を増やす。
- 水分を十分に摂取させる(1日4~5杯程度の水や牛乳)。
- 朝食後にトイレに行く習慣をつける。
運動
- 適度な運動で腸の動きを促進する(外遊びや軽い運動)。
リラックス
- 排便時の緊張を和らげるため、落ち着いた環境を整える。
薬物療法
- 便軟化剤:便を柔らかくして排便を助けます。
長期間使用しても安全とされる薬もあります。 - 刺激性下剤や浣腸:急を要する場合に使用しますが、常用は避けるよう指導します。
注意が必要な合併症や重篤な兆候
以下の場合は、速やかに医療機関を受診してください:
- 排便が1週間以上ない
- 激しい腹痛や嘔吐を伴う
- 血便が出る
- おなかが硬く、腫れている
- 便意を我慢する行動が続く
これらは腸閉塞や腸炎などの可能性を示唆します。
家庭でできるケア
- 規則正しい生活:毎朝トイレに行く時間を作り、排便のリズムを整える。
- 水分補給:こまめに水や白湯を飲ませる。
- 食事の工夫:野菜スープや果物、ヨーグルトなどを取り入れる。
- 排便をポジティブに促す:トイレトレーニングを焦らず進め、できた時には褒める。
予防方法
- バランスの取れた食事:野菜や果物、ヨーグルトを毎日の食事に取り入れる。
- 適度な運動:公園遊びやスポーツで体を動かす習慣をつける。
- 排便習慣の確立:便意があるときに我慢しないよう教える。
- ストレス管理:子どもの不安やストレスに気付き、安心できる環境を整える。
よくある質問(FAQ)
Q1: 子どもが便秘で排便を怖がる場合、どう対応すれば良いですか?
A1: 便が硬くて痛い場合は便軟化剤を使い、排便時の痛みを軽減します。リラックスできる環境を作り、排便をポジティブに捉えられるようサポートしてください。
Q2: 子どもに便秘薬を使っても大丈夫ですか?
A2: 医師の指示のもとで安全な便軟化剤を使用することは問題ありません。自己判断で刺激性下剤を常用しないよう注意してください。
Q3: 学校でのトイレを嫌がって便意を我慢しているようです。どうすれば良いですか?
A3: 家庭で朝食後にトイレに行く習慣をつけることで、学校での排便を減らすことができます。また、子どもが安心して学校のトイレを使えるよう、先生に相談するのも良いでしょう。