小児科
腹痛
症状・疾患の概要
小児の腹痛は、成長期にしばしば見られる症状で、原因も多岐にわたります。成長に伴う一時的なものから、感染症や消化器の疾患、ストレスが関与する場合もあります。軽度の腹痛であれば家庭でケア可能ですが、重篤な疾患が隠れている場合もあるため、症状を注意深く観察することが大切です。
主な症状
腹痛に伴う症状や痛みの特徴から、考えられる原因が異なります:
便秘が原因
- 排便回数の減少、硬い便
- 下腹部の鈍痛や不快感
感染症が原因(胃腸炎など)
- 下痢、嘔吐、発熱を伴う
- 食欲不振や倦怠感
急性虫垂炎が疑われる場合
- 右下腹部の痛み、吐き気、発熱
- 痛みが次第に強くなる
ストレス性の腹痛
- 学校の登校前やストレスを感じる場面で痛みが現れる
- 腹部に明らかな異常は見られない
重篤な病気が隠れている場合
- 血便や黒い便、ぐったりしている、発熱が続く
診断と検査について
小児の腹痛の診断は、問診や視診で行うのが基本です。必要に応じて以下の検査を行います:
- 問診
- 痛みの場所、痛み始めた時期、強さ、持続時間を確認。
- 食事内容、排便状況、発熱や嘔吐の有無を確認。
- 視診・触診
- 腹部の圧痛、腫れ、硬さを確認。
- 痛みが特定の場所に集中しているかを観察。
- 必要な検査
- 尿検査:尿路感染症や腎結石を確認。
- 便検査:感染症や消化不良を調べる。
- 血液検査:炎症や感染症の有無を確認。
- 超音波検査:虫垂炎や腸閉塞の可能性を評価。
治療法について
原因によって治療法が異なります。主な対応は以下の通りです:
軽度の場合
- 便秘:水分と食物繊維を増やし、排便を促します。
- 一過性の腹痛:安静にし、痛みが収まるのを観察。
感染症による場合
- 胃腸炎:経口補水液で水分補給をし、嘔吐や下痢が収まるのを待ちます。
- 重症の場合は抗生物質や点滴治療が必要です。
急性疾患(虫垂炎など)
- 病院での早急な診断と、必要に応じて手術。
ストレス性の腹痛
- 痛みの原因となるストレス要因を特定し、心のケアを行います。
- 必要に応じてカウンセリングを利用します。
注意が必要な合併症や重篤な兆候
以下の症状が見られた場合は、緊急に医療機関を受診してください:
- 高熱を伴う激しい痛み
- 嘔吐が続く、または緑色の嘔吐物
- 血便や黒い便が出る
- 呼びかけに反応が鈍い、ぐったりしている
- 腹部が硬く張っている
家庭でできるケア
- 水分補給:脱水を防ぐため、少量ずつ水や経口補水液を与える。
- 食事の工夫:消化に良い食事(おかゆ、スープなど)を少量ずつ与える。
- 安静:痛みが収まるまで安静にさせる。
- 腹部を温める:湯たんぽやカイロを使用して腹部を優しく温めます。
予防方法
- バランスの良い食事:便秘予防のため、食物繊維や水分を十分に摂取。
- 感染症の予防:手洗いを徹底し、適切な衛生管理を行う。
- ストレス管理:安心して話せる環境を整え、子どもの心の健康に配慮。
- 規則正しい生活:十分な睡眠と適度な運動を心掛ける。
よくある質問(FAQ)
Q1: 子どもが腹痛を訴える場合、いつ病院に行けば良いですか?
A1: 痛みが数時間続く、発熱や嘔吐を伴う、痛みが強くなる場合は受診してください。
Q2: 病院でどんな検査が行われますか?
A2: 問診、視診、触診のほか、必要に応じて血液検査や尿検査を行います。
Q3: 腹痛がストレスによるものかどうかはどう判断しますか?
A3: 症状が学校や特定の状況で悪化し、休日などリラックスした環境で軽快する場合は、ストレスが関与している可能性があります。