自閉スペクトラム症(ASD)
「病院の待合室にいられない」「医師の前だとパニックになってしまう」「外出そのものが難しい」といった理由で、必要な医療を受けることを諦めてはいませんか。
住み慣れたご自宅で診察を受ける「訪問診療」や「在宅医療」という選択肢は、環境の変化に敏感な方にとって、心身の負担を減らす大きな支えとなります。私たちは、患者様それぞれの特性に合わせたペースで医療を提供し、ご家族の介護負担やお悩みを共に解決していくパートナーです。
訪問診療のご相談は、HPからのお問い合わせの他、直接、医師に話したいという方や、通院負担の移行を迷っている方向けに外来でのご相談も承っております。
疾患と訪問診療の対象
自閉スペクトラム症(ASD)とは
自閉スペクトラム症(ASD)は、対人関係やコミュニケーションの困難さ、特定のこだわりや感覚過敏などを特徴とする発達障害の一つです。この疾患をお持ちの方の中には、聴覚や視覚などの感覚過敏により、病院特有の音や光、匂い、そして混雑した環境に耐えられず、強い苦痛やパニックを引き起こしてしまう方がいらっしゃいます。また、予測不可能な事態への不安から、外出そのものを拒否されるケースも少なくありません。
医療的な観点からは、こうした特性によって「病院へ行けない」ことが続き、睡眠障害やてんかんなどの合併症が悪化したり、身体的な不調があっても診察を受けられずに放置されてしまったりすることが課題となります。
訪問診療では、患者様が最も安心できる「自宅」という環境で診察を行うため、環境変化によるストレスを最小限に抑えながら、継続的な健康管理を行うことが可能です。
訪問診療の対象となる方
訪問診療は、主に以下のような状況にある自閉スペクトラム症の方を対象としています。
- 病院の待合室や診察室の環境に馴染めず、通院のたびにパニックや癇癪(かんしゃく)を起こしてしまう方
- 外出への強い抵抗感や不安感があり、自宅に引きこもりがちで通院が困難な方
- 自分の体調や症状を医師にうまく伝えられず、適切な治療を受けられていない方
- 睡眠障害や精神的な不安定さがあり、定期的な投薬調整や経過観察が必要な方
- ご家族が高齢化などの理由で、患者様を病院へ連れて行くことが身体的・精神的に困難な場合
- 身体合併症(内科的疾患など)があるものの、ASDの特性により一般病院での受診・処置が難しい方
当院の訪問診療サポート
在宅で直面する具体的な不安
自閉スペクトラム症の方を在宅でケアされているご家族は、日々多くの不安や困りごとを抱えていらっしゃいます。
- 通院の移動に関する困難:公共交通機関やタクシーの中での他人の目や、予期せぬトラブルへの対処に疲れ果ててしまう。
- 医療機関での拒絶反応:白衣を見ただけで興奮したり、診察を拒否して暴れてしまったりするため、医師に診せることができない。
- 症状の発見遅れ:本人が痛みを訴えない、または感覚鈍麻があるため、内科的な病気の発見が遅れて重症化しないか心配。
- 服薬管理の難しさ:薬を飲むことを嫌がったり、こだわりから特定の薬しか受け付けなかったりして、症状が安定しない。
- 緊急時の対応:夜間や休日に突然パニックを起こしたり、体調を崩したりした際、どこに相談すればよいかわからない。
- 家族の疲弊:24時間体制で見守りが必要な場合もあり、介護者である家族自身の休息が取れず、共倒れになりそうである。
当院が提供できる専門的な治療・ケア
当院では、こうした不安を解消し、患者様とご家族が安心して生活できるよう、以下のような専門的な治療とケアを自宅で提供しています。
- 環境に配慮した診察:白衣を着用しない、大きな声を出さないなど、患者様のこだわりや苦手な刺激を事前に把握し、安心できる服装や態度で訪問します。
- 内科的疾患の管理:ASDのケアだけでなく、風邪や怪我、生活習慣病などの身体的な不調に対しても、自宅で診察・検査・処置を行います。
- 服薬調整と管理:ご本人が飲みやすい形状(シロップ、粉薬、ゼリーへの混合など)を提案し、睡眠リズムの改善や情緒安定のための薬物療法をきめ細かく調整します。
- ご家族へのサポート:患者様への接し方や生活環境の整え方について助言を行うとともに、ご家族の精神的なケアも大切にしています。
- 24時間365日の緊急往診体制:当院は24時間365日、いつでも医師に連絡が取れる体制を整えています。夜間の急な発熱やてんかん発作、激しい精神不興奮などの緊急時にも、医師や看護師が駆けつけ対応しますので、安心して療養生活を続けていただけます。
在宅療養を始めるためのサポート体制
自閉スペクトラム症の方が地域で安定して暮らすためには、医療だけでなく福祉との連携が不可欠です。当院では、地域の精神科病院や専門医療機関と連携を取りながら、日々の健康管理をサポートします。必要に応じて専門医への紹介や、入院が必要な際の調整も行います。また、ケアマネジャー(介護支援専門員)や相談支援専門員と密に情報を共有し、生活全般の課題解決に取り組みます。
日々のケアにおいては、訪問看護ステーションと連携し、服薬確認やバイタルチェック、精神的なサポートを行う看護師が定期的に訪問する体制を整えることも可能です。さらに、介護保険制度における「居宅療養管理指導」を活用することで、医師や薬剤師が定期的に自宅を訪問し、医学的な管理や指導を行うことができます。医療と介護(福祉)が一体となって患者様を支えることで、ご家族の負担を軽減し、長く穏やかな在宅生活を実現します。
ご相談方法と診療開始までの流れ
当院は、墨田区、江東区、台東区、中央区、荒川区、江戸川区、千代田区を中心に訪問診療を提供しております。その他のエリアについても、患者様の状況やご希望に応じて対応可能な場合もございますので、個別にご相談ください。
① 外来でご相談いただく場合の流れ
外来でのご相談をご希望される場合の基本的な流れは以下の通りです。
- 予約・受付:お電話またはWeb予約フォームより、外来相談の日時をご予約ください。
- 外来相談:医師が現在の患者様のご様子や通院の課題、ご家族のお悩みをじっくりお伺いします。
- 方針検討:訪問診療への移行が適切か、どのようなサポートがベストかを医師と共に検討します。
② 訪問診療を希望する場合の流れ
訪問診療をご希望される場合の基本的な流れは以下の通りです。
- お問い合わせ:HPのお問い合わせフォーム、またはお電話にてご連絡ください。現在の状況を簡単にお伺いします。
- 事前面談(相談員):当院の相談員が、ご自宅またはクリニックにて面談を行います。患者様の病状、生活状況、ご家族のご要望を詳細に確認し、制度や費用についてもご説明します。
- 初回訪問・診療開始:面談内容を基に医師が治療計画を立て、初回訪問の日程を決定します。医師と看護師がご自宅へ伺い、診療を開始します。
自閉スペクトラム症(ASD)による自宅での療養不安や症状でお悩みなら、まずご相談ください
「病院に行けないから」と医療を諦める必要はありません。自閉スペクトラム症の特性を理解した医師がご自宅へ伺うことで、ご本人様にとってもご家族様にとっても、穏やかで安心できる療養生活が実現できます。
ご本人のこだわりやパニックへの対応、不規則な生活リズム、ご家族だけで抱え込んでいる介護の悩みなど、どのようなことでも構いません。自閉スペクトラム症の在宅療養でお困りなら、まずご相談ください。私たちが一緒に、あなたらしい生活を支える方法を考えます。

