脳卒中後遺症(片麻痺・嚥下障害など)
脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)の発症後、後遺症による身体機能の低下で、これまで通りの通院が困難になりご不安を抱えている患者様やご家族は少なくありません。退院後の生活を支え、住み慣れた自宅で安心して療養を続けるための選択肢として「訪問診療」や「在宅医療」があります。
訪問診療のご相談は、HPからのお問い合わせの他、直接、医師に話したいという方や、通院負担の移行を迷っている方向けに外来でのご相談も承っております。
疾患と訪問診療の対象
脳卒中後遺症とは
脳卒中後遺症とは、脳の血管が詰まったり破れたりすることで脳細胞が損傷し、身体に麻痺や言語障害、嚥下障害(飲み込みの障害)などが残る状態を指します。急性期の治療を終えた後も、麻痺による転倒リスクや、飲み込みの機能低下による誤嚥性肺炎のリスクなど、継続的な医学管理が必要となるケースが多くあります。
しかし、移動の負担が大きい患者様にとって、定期的な外来通院は心身ともに大きなストレスとなります。病状のコントロールや合併症の予防を行いながら、自宅で穏やかに過ごすために、訪問診療によるサポートが重要となります。
訪問診療の対象となる方
脳卒中後遺症において、以下のような状況にある方が主な対象となります。
- 片麻痺や四肢麻痺があり、自力での通院が困難な方
- 車椅子やストレッチャーでの移動が必要で、ご家族の介助負担が大きい方
- 嚥下障害があり、経管栄養(胃ろう・経鼻栄養)の管理が必要な方
- 痰の吸引や、気管切開部の管理など、日常的な医療処置が必要な方
- 認知機能の低下や高次脳機能障害により、外出時の安全確保が難しい方
- 誤嚥性肺炎を繰り返しており、自宅での全身管理を強化したい方
当院の訪問診療サポート
在宅で直面する具体的な不安
脳卒中の後遺症を抱えながらの在宅療養では、患者様ご本人だけでなく、介護されるご家族も多くの不安を抱かれます。
- 食事の際にむせることが多く、肺炎にならないか心配
- 胃ろうや尿道カテーテルなどの管(チューブ)の管理が自分でできるか不安
- ベッド上の生活が長く、床ずれ(褥瘡)ができてしまわないか
- 夜間に急に具合が悪くなった時や、転倒した時にどうすれば良いかわからない
- 薬の飲み忘れや管理が難しくなってきた
- 麻痺側の痛みが強く、リハビリや日常生活に支障が出ている
当院が提供できる専門的な治療・ケア
当院では、脳卒中後遺症特有の課題に対し、医学的な管理と生活支援の両面からサポートを行います。
- 経管栄養・カテーテル管理: 胃ろうや経鼻経管栄養、尿道カテーテルの定期交換やトラブル対応を自宅で行います。
- 誤嚥性肺炎の予防・治療: 呼吸状態の観察や痰の吸引指導を行い、肺炎の兆候があれば早期に抗生剤投与などの治療を行います。
- 褥瘡(床ずれ)の処置: 医師と看護師が連携し、専門的な創傷処置や予防のための体位変換指導を行います。
- 疼痛コントロール・服薬管理: 麻痺に伴う痛みや痙縮(筋肉のつっぱり)に対する投薬調整や、飲みやすい剤形への変更を行います。
- 24時間365日の緊急往診体制: 夜間や休日を問わず、急変時には医師が駆けつけます。再発の兆候や誤嚥、転倒などの緊急時にも迅速に対応し、必要であれば連携病院への搬送手配も行います。
在宅療養を始めるためのサポート体制
脳卒中後遺症の在宅療養は、医療だけで完結するものではありません。当院は、これまで治療を受けてこられた病院の主治医と連携し、診療情報提供書を通じてスムーズに引き継ぎを行います。
また、日々の生活を支えるためには、ケアマネジャーや訪問看護師、訪問リハビリテーション、ヘルパーとの密な連携が不可欠です。当院は、地域の介護事業所とチームを組み、情報を共有しながら患者様を支えます。
介護保険サービスの「居宅療養管理指導」を活用し、医師や看護師が医学的な観点からケアマネジャーへ助言を行うことで、医療と介護が一体となった切れ目のないサービス提供を実現します。
ご相談方法と診療開始までの流れ
当院は、墨田区、江東区、台東区、中央区、荒川区、江戸川区、千代田区を中心に訪問診療を提供しております。その他のエリアについても、患者様の状況やご希望に応じて対応可能な場合もございますので、個別にご相談ください。
① 外来でご相談いただく場合の流れ
外来でのご相談をご希望される場合の基本的な流れは以下の通りです。
- ご予約・受付:お電話にて「外来相談希望」とお伝えいただき、ご予約ください。
- 来院・問診:ご予約の日時に来院いただき、現在の病状や生活状況について問診票にご記入いただきます。
- 医師による診察・相談:医師が直接お話を伺い、訪問診療への移行の必要性や、どのようなサポートが可能かをご説明します。
- 治療方針の検討:患者様・ご家族のご希望を踏まえ、今後の治療方針やケアの計画を決定します。
② 訪問診療を希望する場合の流れ
訪問診療をご希望される場合の基本的な流れは以下の通りです。
- お問い合わせ:お電話またはホームページのお問い合わせフォームよりご連絡ください。
- 事前面談・ご説明:相談員が患者様の状態やご家族のご要望を伺い、診療内容、費用、緊急時の対応などについて詳しくご説明します。
- 診療開始の調整:かかりつけ医からの診療情報提供書の準備や、ケアマネジャー等との連携を行い、初回訪問日を決定します。
- 訪問診療の開始:決定した日時に医師と看護師がご自宅へ伺い、定期的な診療を開始します。
脳卒中後遺症による自宅での療養不安や症状でお悩みなら、まずご相談ください
脳卒中の後遺症による障害は、患者様の生活を一変させ、ご家族にも大きな介護負担がかかることがあります。「自宅で看てあげたいけれど不安」「通院が限界になってきた」とお悩みであれば、決して一人で抱え込まず、当院へご相談ください。
私たちは、患者様が住み慣れた場所で、その人らしく安心して過ごせるよう、24時間365日体制で全力サポートいたします。

